マジックをやっていて楽しい理由、それはまさしく自分が何でもできる無敵の存在であるかのような……いわゆる「全能感」を味わえるからだ！と豪語するプレイヤーもいるんじゃないかな。

　あれ、今なんでもできちゃうぞ、って気付いた瞬間は、このゲームをやっていて良かったと心の底から実感できる。ちょうどスタンダードでそんな気持ちを満たしてくれるデッキを見つけたので、なんかこうスカッとしたい・満たされたいという気分のプレイヤーのために共有しておこう。

　味わえ、全能感！

　青赤緑の通称ティムール・カラー。このデッキの特徴はクリーチャー陣を見れば一目瞭然だ。出来事、出来事。そう、出来事能力を持ちインスタントやソーサリーとして用いることのできるクリーチャーを用いて、これを《幸運のクローバー》でコピーして得しちゃおうという、「ティムール・アドベンチャー」と呼ばれるデッキだ。

　《幸運のクローバー》がもたらす恩恵は大きく、カード１枚と２マナを使って下準備をする価値は十分にある。

　最も強力な動きは、２ターン目にクローバー設置からの３ターン目《豆の木の巨人》。

　この巨人の出来事《肥沃な足跡》はライブラリーから基本土地を戦場に出す。これをコピーして一気に２枚持ってきてマナ加速をするわけなのだが、それにプラスしてこの出来事により戦場に出る土地はなんとアンタップ状態。つまり得た土地をすぐに使うことが可能なのだ。この２マナを使って《成長のらせん》を唱えれば、早くも次のターンに巨人本体を唱えられてしまう。

　あるいは《砕骨の巨人》《厚かましい借り手》などの出来事を唱えてしまうってのも最高だ。

　クリーチャーなどのパーマネントを２枚対処して相手の行動を遅れさせれば、こちらが最高に気持ちの良い体験をするまでの時間が稼げるというもの。ガンガンマナを伸ばしてジャンジャン除去する、序盤はコントロールデッキとして立ち回ろう。クローバーがなくてもこれらの出来事は単体で十分な仕事をするというのも、デッキを成立させている重要なポイント。

　十分なマナとクローバーが揃えば、全知全能っぷりを体感する時が来たってやつだ。その貪欲な願いを叶えるのは《願いのフェイ》！

　クローバーがある状態で《成就》として唱えればゲーム外、すなわちサイドボードから好きなカードを２枚手札に加えられる。これがたまらんのですよ。

　《溶岩コイル》《炎の一掃》などのクリーチャー除去を持ってきてとりあえず目の前の状況を切り抜けつつ、同時にその後こちらが優位になるためのカードもgetして盤石の盤面を作り上げよう。

　１枚でコントロールもフィニッシャーもこなす《目覚めた猛火、チャンドラ》や、膨大なアドバンテージを弾き出す《僻境への脱出》《発展 // 発破》などなど……状況に合わせたベストな１枚を手に入れよう。

　危険域に落ちたライフをグイッと回復させつつ、盤面も手札も強くする《次元を挙げた祝賀》はこのデッキならではの１枚と言える。

　個人的にこのデッキをプレイしていて、最も手札に加えた回数の多いカードは《投げ飛ばし》。

　相手の攻勢を凌いで全能モードに突入しても、だらだらゲームを続けるのは得策ではない。土地が並ぶことでパワーが10を超えた《豆の木の巨人》をこれで投げつけてサクッと勝つ、これが実に合理的なフィニッシュで、大いに気に入ってしまった。

　結局のところマナ食い虫なこのデッキを支えているのは、現スタンダードにおける緑の象徴である《世界を揺るがす者、ニッサ》であることは間違いない。

　どう使っても本当に強いカードなのだが、このデッキでは《繁殖池》や《踏み鳴らされる地》をクリーチャー化させてアンタップし、攻撃してから《砕骨の巨人》《厚かましい借り手》を出来事で唱えてクローバーでコピーして、という動きが惚れ惚れするほど強い。時に堂々と、時に慎重に。最強クラスのプレインズウォーカーを戦場に送り出して、その圧倒的なパワーですべてを踏み潰していただきたい。パワフルなデッキで心を満たそう！