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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
無限の潜在能力(パイオニア)
カードには無限の可能性が秘められている。
う~ん、良いこと言ったぞ。実際にカードというものは、それ単体で完結したわかりやすいカードパワーを持ったものもあれば、一体どのように用いるのかわからないが何かできそうな怪しいものまで、さまざまだ。前者を用いて気持ちよく勝ち進むもよし、後者を軸にした自分だけの勝ち方を追求したマニアックなデッキを探求するもよし。カードに秘められた力を引き出すことに成功し、楽しくてそして強いデッキを生み出すことが出来ればもうそれに勝る喜びはないとも言える、万々歳だ。
毎週のように活躍するデッキが移り変わるパイオニアで今、そんなロマンとリアリティが融合したデッキが活躍している。主役となるカードは、その名も《吹き荒れる潜在能力》!
可能性に満ちあふれた素晴らしいネーミングである。このエンチャントはちょっとわかりにくいことが書いてあるのだが、かいつまんで言えば、お互いのプレイヤーは手札から唱えた呪文の代わりに、ライブラリーからランダムに選ばれた同じタイプの呪文を唱えることになる、という混沌とした状況にゲームをもつれ込ませる1枚だ。
ただただカオスなゲームを楽しむのも良いが、どうせならうまく使いこなしてみたいものである。《ショック》を唱えたら《焼尽の風》になった、というような最低レベルのコストで最大の効果を得られるってのが理想的。
その点、今日のデッキはすごい、実によく出来ている。カギは「アドベンチャー」にあったのだ。
9 《森》 4 《山》 4 《根縛りの岩山》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《獲物道》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ラノワールのエルフ》 3 《金のガチョウ》 4 《恋煩いの野獣》 4 《砕骨の巨人》 4 《風雲船長ラネリー》 2 《探索する獣》 1 《怒れる腹音鳴らし》 1 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(27)- |
4 《吹き荒れる潜在能力》 1 《呼応した呼集》 1 《無限への突入》 1 《ビヒモスを招く者、キオーラ》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(10)- |
3 《漁る軟泥》 3 《再利用の賢者》 1 《探索する獣》 1 《意地悪な狼》 2 《チャンドラの誓い》 1 《漸増爆弾》 1 《魔術遠眼鏡》 3 《霊気圏の収集艇》 -サイドボード(15)- |
クリーチャー・カードでありながらインスタントやソーサリーとしても唱えられる、アドベンチャーこと出来事能力を持ったカード。
それらを複数枚採用しつつ、インスタントやソーサリーを1枚だけ挿しておく。そのような構築を施しておいて《吹き荒れる潜在能力》設置後に出来事で唱えれば、必ずや狙った呪文を唱えられる。このトリックを用いて唱えるのは……12マナという馬鹿げたコストのソーサリー《無限への突入》だ!
《無限への突入》はライブラリーからすべてのカードを引き、手札から1枚を戻すという、とてつもないドローを生み出す。
これが通っただけで勝ったような気持ちになれるが、問題はこの後。ライブラリーは残りたった1枚。すなわち残されたターンは次のターンのみ。それまでに、あふれかえった手札を使って勝たなければならないが、それだけのマナが生み出せるのかどうかという話になってくる。
ただ、そんな悩みも《吹き荒れる潜在能力》の前ではナンセンスだ。なぜなら、無限へと突入した次の瞬間には勝利しているからである。コンボの流れを以下にまとめてみた。
1. 《吹き荒れる潜在能力》を設置
2. 《恋煩いの野獣》を出来事《切なる想い》で唱える。潜在能力が誘発し、ライブラリー内で唯一のソーサリーである《無限への突入》が公開され唱えられる
3. 《無限への突入》を解決。ライブラリーをすべて引いたら《怒れる腹音鳴らし》をライブラリーに戻す
4. 《歩行バリスタ》をX=0で唱える。潜在能力が誘発、ライブラリー内で唯一のクリーチャーである《怒れる腹音鳴らし》が公開され唱えられる
5. 手札に有り余る土地をコストに腹音鳴らしの能力を起動しまくり、相手のライフを0にする
どうです、ロマンにあふれながらも現実的、しかもタイムラグなしですぐに勝てる! 6マナあれば決められる即死コンボだ。これはぜひとも決めてみたくなる魅力にあふれている。
キーカードである《恋煩いの野獣》を引き当てるのが重要だが、潜在能力があれば《砕骨の巨人》を《踏みつけ》として唱えて《呼応した呼集》に置き換えることでサーチしてくることが可能だ。隙がなく、よくできている。とりあえず潜在能力を置いてしまえば相手もすべての行動が不確定になるので、焦らずに1ターン挟んでも決められるだろう。無限の潜在能力は今、完全に発揮されようとしている!
潜在能力コンボを抜きしても、普通のビートダウンデッキとして戦えるようにも作ってある。《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》から繰り出す《恋煩いの野獣》のシンプルな強さ、《砕骨の巨人》の手堅さ。これらと相性の良い《ビヒモスを招く者、キオーラ》と、1枚でゲームに勝てる強さの《反逆の先導者、チャンドラ》などで、十分に他のデッキと渡り合っていけるだろう。
弱点は1つあって、《無限への突入》を引いてしまうとコンボが決められないという事態に陥る点(笑)。さあこのターンコンボを決めて勝ちだ、アンタップアップキープ、ここで突入を引いたらダメなんだけどねHAHAHAとかフラグは決して立ててはいけない。2枚入れればそういうことも回避できるが、それはそれで無駄ドローになってしまいかねないし、難しいところ。
まあ、これぐらいのスリルがあった方がコンボデッキは楽しいんだと割り切るのが一番かな! あとは《時を解す者、テフェリー》を出されると呪文が一切唱えられないというセルフロックに陥るので気を付けよう。ヤツを見かけたらまず殴り倒せ!
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