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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
シミック・フラッシュ(スタンダード)
2019ミシックチャンピオンシップⅦ(MTGアリーナ)は『エルドレインの王権』環境の終盤のビッグイベントとなった。紆余曲折を経た同環境は《魔女のかまど》デッキ vs 《創案の火》デッキの2大勢力の激突を中心に、それを取り巻くデッキたちの乱戦となった。
この戦国の世で、最大の勝ち組となったデッキがいる。世界最高峰のプレイヤーであるMPLメンバーの3人が集い調整し、3名ともが同大会のトップ8に入賞するという圧倒的な強さを見せつけた。2015年世界王者セス・マンフィールド/Seth Manfield、2018年世界王者ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez、そして2010年プレイヤー・オブ・ザ・イヤーのブラッド・ネルソン/Brad Nelsonの3名だ。
そもそもメンバーが強すぎる!というのは置いといて、セスが2人に共有したデッキはスキルが高いプレイヤーが用いることで天下無敵の強さを発揮するデッキだった。《戦争の犠牲》《ニヴ=ミゼット再誕》などの大ぶりなカードが飛び交うゲームにて、それらをシャットアウトするクールなデッキが使いたければこれしかない。「シミック・フラッシュ」!
7 《森》 7 《島》 4 《繁殖池》 4 《神秘の神殿》 2 《ヴァントレス城》 2 《寓話の小道》 -土地(26)- 3 《楽園のドルイド》 2 《厚かましい借り手》 4 《エリマキ神秘家》 4 《夜群れの伏兵》 2 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(15)- |
4 《成長のらせん》 3 《火消し》 2 《霊気の疾風》 1 《否認》 3 《悪意ある妨害》 2 《神秘の論争》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(19)- |
4 《恋煩いの野獣》 1 《ハイドロイド混成体》 2 《魔術遠眼鏡》 1 《ケンリスの変身》 1 《霊気の疾風》 1 《否認》 2 《神秘の論争》 1 《押し潰す梢》 2 《薬術師の眼識》 -サイドボード(15)- |
瞬速(フラッシュ)能力持ちのクリーチャーと打ち消し呪文を用いる「シミック・フラッシュ」自体は、『基本セット2020』発売直後にはすでにスタンダードの有力デッキの1つであった。《夜群れの伏兵》《塩水生まれの殺し屋》とそういうデッキを組めと言わんばかりのカードが同セットに収録されており、青と緑の2色であれば《エリマキ神秘家》など既存のカードでも強いものがあったからだ。
このデッキは『エルドレインの王権』発売に伴うローテーション後にもその姿を見かけたものだが、同じ青と緑であれば《王冠泥棒、オーコ》や《死者の原野》を用いたデッキパワーが高く、個々のカードではなくそれらの噛み合わせで戦うこのデッキは押されがちに。また打ち消しの天敵である《夏の帳》も飛び交っていたのも、デッキを否定されるほどの大きな痛手だった。
それらのカードがスタンダードから去った2019ミシックチャンピオンシップⅦこそ、再びフラッシュ・デッキが飛躍するタイミングだったのである。そしてこのフラッシュ・デッキは従来の噛み合わせに頼った構成ではなく、カードパワーも重視したものになっている。《塩水生まれの殺し屋》のような他のカードと組み合わせてナンボのカードは排除し、スタンダード最強格のプレインズウォーカーである《世界を揺るがす者、ニッサ》を4枚ドーンと採用。さらにはニッサと相性抜群の《ハイドロイド混成体》も備えてバリュー勝負も挑める仕様にカスタマイズだ。
デッキの動きは基本的に「構える」。2ターン目から《火消し》《霊気の疾風》《否認》などを構えつつ、相手のアクションがなければ《成長のらせん》で使えるマナを増やす。
以後のターンも《悪意ある妨害》や《エリマキ神秘家》を構えて相手のアクションへの打ち消しを狙いつつ、問題ないカードであればスルーしてターン終了時に《夜群れの伏兵》を出す。自分のターンでは極力土地を置いて攻撃するだけに留めて、夜群れの能力を誘発させて狼・トークン生成を狙う。そのまま、相手にしたいことをさせず要所を抑えつつ殴り切る。どの呪文に対してどの打ち消しを用いるかというところや、そもそも打ち消すか否かという判断が求められる。
また、ここに《世界を揺るがす者、ニッサ》が加わったことでカードパワーで押すことができるようになったのと同時に、どのタイミングでニッサを出すのか? そのタイミングを伺う能力も求められるようになった。相手のデッキにもよるが、理想的なのは土地が6枚ありその中に《繁殖池》が含まれている状況。ニッサを出すためにタップした《繁殖池》をニッサで3/3にしてアンタップしつつ、それと余った土地からのマナで《エリマキ神秘家》や《悪意ある妨害》を構えられれば完璧だ。
ニッサからあふれるマナで、打ち消しと瞬速持ちを構えつつ毎ターン3/3を突撃させる。この完璧なゲームプランに持ち込めれば勝利は君のもの。
デッキが強いのでなんとなく適当にプレイしても勝利できるが、やればやるほど理解が深まり、このデッキの奥深さを知ることができよう。今年の日本国内のイベントを締めくくるThe Finals 2019でも有力デッキの1つとして活躍することになるだろう。
強豪プレイヤーの完璧なプレイを拝見しつつ、君も腕を磨くために日々練習だ!
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