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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
むかしむかし、猛毒の大蛇がおったそうな(モダン)
世界中にデカい蛇の伝承がある。面白いことだと思わないかい?
人類にとって、巨大な蛇というのは抗えない自然の脅威を象徴したものなのだろう。巻きつかれ、骨を砕かれ、飲み込まれる……想像するだけでも超怖い。蛇特有のあのスローな動きもまた、巨体を蠢かせるイメージと噛み合うんだわ。
伝説の蛇の怪物ってのは毒を持っているのもデフォだったりするな。本来、ニシキヘビやアナコンダのような大型の蛇ってのは毒を持っていないのだけれども、伝承の世界では蛇の強いとこ全部乗せってわけ。
そんなわけで、むかしむかしある山に、人を喰らう大蛇がおったそうな……という導入からスタートする物語はファンタジーって感じがするね。
なんでこんな話をしているのかというと、今モダン環境で強いデッキが、まさしくそんなストーリーをたどるものだからだ!
2 《森》 1 《ドライアドの東屋》 2 《繁殖池》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 2 《ペンデルヘイヴン》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(19)- 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《貴族の教主》 4 《荒廃の工作員》 -クリーチャー(12)- |
4 《地うねり》 4 《古きクローサの力》 4 《巨森の蔦》 4 《怨恨》 4 《厚鱗化》 3 《呪文貫き》 2 《空間の擦り抜け》 4 《むかしむかし》 -呪文(29)- |
3 《ぬめるボーグル》 2 《林間隠れの斥候》 4 《不可視の忍び寄り》 2 《シラナの岩礁渡り》 4 《造反者の解放》 -サイドボード(15)- |
マジックにおける猛毒=感染能力!というわけで「感染」デッキである。
感染とはダメージの代わりにプレイヤーに毒カウンターを(クリーチャーには-1/-1カウンターを)与える能力のこと。毒カウンターを10個得たプレイヤーはゲームに敗北するため、感染持ちはパワーが倍と換算することができる。
そんな感染能力でサクッと相手を毒殺しようとするデッキ、メジャーなものはブロックされない《荒廃の工作員》と打ち消しを擁する青、そして1マナと最軽量の感染持ち《ぎらつかせのエルフ》とクリーチャー強化呪文を抱える緑の2色からなり、これもそのオーソドックスなスタイルを踏襲したリストだ。
ただ、この2019年に手に入れた新戦力によりデッキパワーは大きく底上げされている。カードの役割ごとに説明していこう。
まずは何と言ってもクリーチャー。感染持ちの2種に加えて、《貴族の教主》も採用されるのがこのデッキの基本。
感染を持っていないのに、なぜこのマナクリーチャーが採用されるのか? まず、土地の枚数を切り詰めつつも序盤から1ターンに複数回アクションを取って勝利したいこのデッキにとって、青と緑の両方の色マナが得られる1マナのマナクリーチャーというのはありがたい存在。しかもそれが賛美能力で感染クリーチャーを強化してくれるのだから最高だ。複数枚引いても無駄にならないという点も助かる。いざともなれば教主自身が殴りに行けるというのも、実は案外バカにならない。
土地でありクリーチャーであるカードを用いるのもこのデッキの特徴だ。
感染かつ飛行の《墨蛾の生息地》は起動コストも軽く、勝負を決める最終兵器となることが多い。《ドライアドの東屋》は《吹きさらしの荒野》《樹木茂る山麓》から戦場に出せるという点に注目。クリーチャーを生け贄に捧げるように要求する除去に合わせて引っ張ってきたり、消耗戦の末にはこれを強化して通常ダメージでの勝利を狙ったりとシブい活躍をする。
このデッキにおいて重要なのがクリーチャーを強化する呪文。これぞ緑のお家芸、古今東西あらゆるセットからマナ効率の良い強化呪文を取りそろえてある。トランプルを与えて除去されても手札に戻る《怨恨》、除去対策にもなり勝ち確定の瞬間をもたらす《巨森の蔦》、条件満たせば1マナで+4/+4と破格の修整《古きクローサの力》と《地うねり》。
これらのラインナップに新たに加わったのが……《厚鱗化》!
クリーチャーを6/4のワームにしてしまう、ちょっと変わった強化呪文だ。ワームになってサイズは変わっても、持っている能力は失わないのがポイントで、猛毒の大蛇どうこうの話はこれに基づくものだったってわけですわ。《荒廃の工作員》をただの1/1と思っていたら、いきなりブロックされないワームになって殴ってくる……これは死を覚悟するものだろう。
実際問題、これにあと1枚強化を重ねるだけでこのデッキでは相手を仕留められる。1ターン目《ぎらつかせのエルフ》、2ターン目に《厚鱗化》からの《古きクローサの力》のでなんと2キル! こりゃあ狙っちゃうしかないでしょう。
強化するわけではないが、エルフと墨蛾の攻撃を確実に通すために《空間の擦り抜け》も用いる。
ドローがついているので手札が減らずに攻撃をねじ込める、すなわち強い。
では、クリーチャーではなく強化でもない残りの枠を。《呪文貫き》は《巨森の蔦》とともに相手の除去からかわいいクリーチャーを護ってやるために用いる。何も考えずにぶっ放した末にサクッと除去されちゃ目も当てられないので、こういったカードは必須だ。
逆にこれがあれば少々強気に動くことも許されるので、わざと相手のアクションを引き出すように仕掛けるのも良いね。手札破壊とかコンボとか、そういったものへの対抗手段でもある。
そしてもう1つが、新たにデッキに加わった《むかしむかし》!
大蛇の伝承どうのこうの言っていたのは以下略。このカードはこのデッキにおいて良~い仕事をするね。
まず、そもそもクリーチャーの枚数が少ない「感染」において、それを探しに行ける呪文は重要。しかも1ターン目、最初のアクションがこれであればタダで唱えられる。これで《ぎらつかせのエルフ》を見つけてそのまま出したり、そもそも土地の枚数を切り詰めているデッキなので2枚目の土地を手に入れたり。序盤でなくてもゲームが長引いた際にクリーチャーや墨蛾にアクセスできるのはありがたい。あと1点上乗せすれば勝てるという状況で、これで《貴族の教主》を発見したら……とか考えると胸が熱くなる。
今回はパワーアップした「感染」デッキを紹介した。序盤から細心の注意を払いつつ、大胆不敵にクリーチャーを強化して殴る! 感性を研ぎ澄まし、読みと思い切りの良さを爆発させて猛毒ワームで一飲みしてやろうじゃないか。
このリストはサイドボード後の工夫にも注目。こちらが感染とわかると、対戦相手は軽い除去呪文をサイドボードから投入してくることが読める。それを逆手にとって、呪禁能力を持った軽量クリーチャーと入れ替えることで空振りさせようというものだ。
注意を払うべきは対象を取らない全体除去の類に絞られるので、《呪文貫き》の使いどころも間違えずに済む。このプランが取れるようになったのも《厚鱗化》のおかげだ。ワーム化した《不可視の忍び寄り》《シラナの岩礁渡り》で大ダメージを叩き込め!
サイド後も強くなっちゃって、感染デッキは今後危険なハンターとしてモダンでひと暴れしそうな予感だ!
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