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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
いつまでも続くターンを味わおう(モダン)
『エルドレインの王権』では新たな2色土地は登場しなかった。毎セットごとに多色デッキのお供となるこれらの土地の新顔は期待されているものなので、少し残念に思ったプレイヤーもいるかもしれない。
代わりにこのセットには、特定の基本土地タイプを参照する土地がレアとコモンに登場した。レアのサイクルはそのタイプの土地を1つでもコントロールしていればアンタップ状態で戦場に出て使いやすく、いずれも強力な起動型能力を持っているので、さまざまなデッキで活躍中だ。
対してコモンのサイクルは、そのタイプの土地を3つコントロールしていないとタップ状態で出るし、さらに能力も誘発しないということもあってレアよりは使いにくいものになっている。ただ、しっかりと運用できるように単色寄りでデッキを組めば、ただ土地を置くだけでは得られないようなボーナスをもたらしてくれる。
中でも、島を参照する《神秘の聖域》は一度使ったインスタントかソーサリーをライブラリーの上に置いてもう1回使えるという、これまでにありそうでなかった強力な能力を持っている。
この土地でライブラリーに積んで一番嬉しいものってなんだろう? そりゃ……追加ターンを得るやつでしょう!
7 《冠雪の島》 3 《蒸気孔》 2 《沸騰する小湖》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 1 《霧深い雨林》 4 《神秘の聖域》 2 《ヴァントレス城》 1 《海の中心、御心》 -土地(24)- 2 《猿人の指導霊》 -クリーチャー(2)- |
4 《血清の幻視》 2 《稲妻》 1 《選択》 3 《吠えたける鉱山》 4 《瞬間の味わい》 2 《クルフィックスの指図》 2 《疲労困憊》 4 《創案の火》 2 《謎めいた命令》 4 《時間のねじれ》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 1 《ジェイス・ベレレン》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(34)- |
3 《氷の中の存在》 2 《稲妻》 1 《払拭》 1 《呪文貫き》 2 《削剥》 1 《紅蓮地獄》 1 《否認》 2 《神秘の論争》 2 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
というわけで、《神秘の聖域》で追加ターンを得るソーサリーを何度も使いまわす、というコンセプトのモダンのデッキを紹介だ。
この手のデッキは、いつまでもターンが続くことから「エターナル・ブルー」と呼ばれ、モダンでも歴史あるデッキの1つである。その設計思想はシンプルなもので、「毎ターンドローしまくれば追加ターン呪文が見つかるでしょ♪」というなんともポジティブなもの。ドローというのも毎ターン呪文を唱えてどうこうというわけではなく、自動的に手札を補充してくれるパーマネントを用いるのが主流だ。
このリストでも《吠えたける鉱山》《クルフィックスの指図》に始まる、カードを引く置物を設置してカードをザクザク引き込んで、ターンを得て……という動きを続けていくのが狙いだ。それを《神秘の聖域》でサポートしようってわけだ。
このリストではもう1つ新カードを主役に据えている。《創案の火》だ。
1ターンに唱えられる呪文は2つに限定されるものの、マナを支払わずに唱えられるようになる特殊なマナ加速的なエンチャントだ。これを採用したことで、「土地は5枚しかないが1ターンに2回《時間のねじれ》が唱えられる」などのビッグアクションを起こしやすくなった。
呪文自体にマナが要らないので、余ったマナは《ヴァントレス城》での占術や《海の中心、御心》でのドローに充てることで無駄なくライブラリーを掘り進め、追加ターンの連打に繋げられるようになっている。
そして……ここが一番大事なのだが、このカードのおかげで評価が大きく変わった1枚がある。それが追加ターンを担う《瞬間の味わい》だ。
3マナと軽いのだが、「追加ターンのアンタップ・ステップを飛ばす」という大きなデメリットを持っている。せっかくターンを得てもアンタップなし=マナが使えないんじゃ意味ないよな、ってことでこれまでは敬遠されていたのだが、《創案の火》でマナが不要になった状態であれば問題なし!
追加ターンを得るカードの多くは何度も使えないように唱えた後に追放されるのだが、この《瞬間の味わい》は使いにくいのでこの縛りをかけられていない。墓地に落ちるので《神秘の聖域》で拾える! パズルのピースは今、一気に繋がった!
《瞬間の味わい》《時間のねじれ》、そして相手の土地やクリーチャーの相手を防ぐ《疲労困憊》も実質的にターンを得るカードだ。これらのカードを毎ターン唱えて行動不能の置き去り状態にして、自分だけ動き続けよう。《謎めいた命令》でクリーチャーを全タップして攻撃を防ぐのも相手のデッキによってはターンを封じるのと同義になるね。
ターンを得る仕組みがわかったら、大事なのは勝ち方。そこはプレインズウォーカーに一任している。
《ジェイス・ベレレン》と《精神を刻む者、ジェイス》は毎ターンドローをサポートしつつ、大マイナス能力で相手のライブラリーを削り落とし、その後「じゃあ、どうぞ」とターンを返して敗北させる。
《反逆の先導者、チャンドラ》もまたカードをもたらしつつ、紋章を得たら毎ターン呪文を唱えているだけでボンボンと相手のライフが吹っ飛んでいく。
これらのプレインズウォーカーを延々と続くターンの中で安全に育て、奥義を目指す。そんなソリティア系のコンボデッキだ。
この手のデッキはネタがバレると少々苦戦することになる。何が危険なカードかバレてそれへの対策を用意されると脆いからね。だからサイドボードには追加ターンなどに関係なく、《血清の幻視》や《稲妻》、打ち消しなどを唱えて勝利へと繋げるための《氷の中の存在》が備えられている。
皆もこういった独創性で勝負するデッキを使う時には、夢が砕かれた際の現実的な勝ち手段を用意しておくと安心だぞ。
しかしまあ、《瞬間の味わい》がこんなに注目されるタイミングがここにきてやってくるとは、マジックってやつは本当に続け得なゲームだなぁ。
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