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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ラクドス・アグロ:サイドボードを考えよう(新スタンダード)
様変わりしたスタンダード、新規カードやこれまで鳴りを潜めていたカードにチャンスが回ってきて、どれもこれも魅力的に見える。
あれも試そう、これも使おう。感情に対して素直にデッキを組むと90枚くらいに膨れ上がっていたりするよね。そこから60枚にダイエットさせるのがなかなか難しく、枚数は減らさないといけないがデッキに入れるカードのバリエーションは増やしたい……というジレンマに陥るものだ。
そこからベストバランスのデッキにたどり着いた時の達成感ったらないもんだが、破綻してしまうことの方が多かったり……こうして人は学んで、より完成度の高いデッキに近づいていくのである。失敗は恐れずに何でもトライしよう。
マジックが強い・上手いプレイヤー、いわゆるプロと呼ばれる方々はこういう環境初期でも美しい無駄のないデッキを組み上げてサクッと勝ったりするもの。かのミシックインビテーショナル優勝者アンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciも実に美しいリストでアーリーアクセス時に10連勝を達成している。
そのリストがこれだ!
9 《沼》 8 《山》 4 《血の墓所》 2 《ロークスワイン城》 1 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《熱烈な勇者》 4 《どぶ骨》 4 《漆黒軍の騎士》 4 《義賊》 4 《嵐拳の聖戦士》 4 《砕骨の巨人》 4 《残忍な騎士》 4 《朽ちゆくレギサウルス》 4 《騒乱の落とし子》 -クリーチャー(36)- |
-呪文(0)- |
『エルドレインの王権』新規カードを7種類採用した「ラクドス・アグロ」だ!
土地24枚に対して残りの36枚のスロットは9種類×4枚という、ごちゃごちゃしていない見た目にスッキリした美しい構成である。
クリーチャーで序盤からガツガツ殴るデッキというものは、可能な限りムラなく毎ゲームで1・2・3ターンと連続で動きたいもので、そのためこのように全部4枚ずつ採用する形が良いとされる。金太郎飴的にデッキのどこを切っても軽いクリーチャーがみっしりと入っているのがベストってことだ。
このリストをパッと見たら「なんだこれ、クリーチャーしか入っていないじゃないか!」と思うかもしれない。事実そうなのだが、このリストは別の見方をすることもできる。ほら、こんな感じに……。
9 《沼》 8 《山》 4 《血の墓所》 2 《ロークスワイン城》 1 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《熱烈な勇者》 4 《どぶ骨》 4 《漆黒軍の騎士》 4 《義賊》 4 《嵐拳の聖戦士》 4 《朽ちゆくレギサウルス》 4 《騒乱の落とし子》 -クリーチャー(28)- |
4 《踏みつけ》 4 《迅速な終わり》 -呪文(8)- |
当事者カード(出来事を持つカード)はクリーチャーでありながら、インスタントかソーサリーとして唱えることもできる。それらの中でも《砕骨の巨人》の《踏みつけ》と、《残忍な騎士》の《迅速な終わり》はどちらもコストが軽く、かつクリーチャーやプレインズウォーカーが除去できて殴り合いを後押ししてくれるものだ。
さらにこれらの除去として使った後、ちょうど手札が切れるころには追放領域からクリーチャーとして唱えられる、と良いことばっかり! そんなわけで、こういう土地以外クリーチャーオンリーのデッキでありながら、通常の構築が為されたデッキと遜色なく相手の盤面にも触れていくことが可能なのである。
デッキとしては「とにかく殴れ」がモットー。《熱烈な勇者》は《漆黒軍の騎士》などこのデッキが抱える多数の騎士を強化してくれる理想の1マナ域。
たとえ1点だけでも、威迫持ちの《嵐拳の聖戦士》や絆魂持ちの《残忍な騎士》のパワーを上げることには大きな意味がある。
《嵐拳の聖戦士》はカードをもたらしつつ相手のライフを減らしてくれる便利なヤツ。
睨み合いで攻撃ができない状況下でも確実にライフを減少させ、かつ《どぶ骨》を回収したり《騒乱の落とし子》を絢爛で唱えられるのもGood。
同じく2マナ圏を務める《義賊》は、1マナクリーチャーを12枚も採用し最序盤から手札を吐き出し、《朽ちゆくレギサウルス》で手札も貯まらないこのデッキであれば能力の条件を満たすことは容易だ。
何がめくれるかは運次第だが、決定的なカードをこちらのものにして勝負を決めることシーンを見ることは少なくないだろう。こういう、ただ殴るだけが能じゃないクリーチャーが入っているのもデッキの安定感向上に一役買っているね。
10連勝を達成したこのリストだが、問題としてはBO1(1本先取)用のものなのでサイドボードが用意されていないこと。BO3(2本先取)でプレイするためにはここを自分で考えなくちゃいけない。入り得るカードを列挙してみよう。
手札破壊枠
《強迫》:定番中の定番。対コントロールにおいて《時の一掃》などの除去を抜いたり、コンボデッキにおける《荒野の再生》などを未然に処理したりと、やれることは多いので頼りたくなってしまうが、ただこれを入れるということはその分攻め手が減ることには注意。攻めるために必要なカードが減って殴り切れないってんじゃお話にならないからね。
《死霊の金切り声》:黒を相手にした際にはノーリスクの《思考囲い》になり、しかも墓地に置くのではなく追放する点が強力。クリーチャーも捨てさせられる分、《強迫》よりもヒットする範囲は広い。黒くない相手にも手札1枚追放のデメリットがそれほど痛くないのであれば、《強迫》に取って代わる可能性はある。2:2くらいの採用がベストかもね。
除去枠
《溶岩コイル》《軍団の最期》:追放除去2種。同型のような軽量クリーチャーを並べるデッキが流行るか、あるいはある程度大きなクリーチャーでどっしりと構えるデッキが流行るか、そこを考えながら使い分けていきたい。《死者の原野》を使うデッキが相変わらず強いのか、《弧光のフェニックス》がまた飛び交うのか、その辺もここらのバランスに作用してくるだろう。インスタントであることと、プレインズウォーカーにも飛ばせることが評価されれば、この枠を《焦熱の竜火》が担う日も来るかも。
《害悪な掌握》《丸焼き》《レッドキャップの乱闘》:色対策除去シリーズ。このあたりも、何のカードが流行っているかを判断して使い分けることになるが、新しい《レッドキャップの乱闘》は赤対策でありつつもデメリットを飲めばそれ以外の相手にも効く点に注目。これを採用すると《溶岩コイル》の枠をカットできるかもしれない。色を選ばずにプレインズウォーカーを狙える点も見逃せない。
《日和見ドラゴン》:人間・クリーチャーを用いないデッキの方が少ないので広い範囲に効果があり、アーティファクトも《グレートヘンジ》など新規の伝説アーティファクトが強力なのでこれらを無効化できる点は評価されそうだ。パワー4の飛行なので、デッキの攻撃力を下げることなく相手のキーカードに対抗できるのも良い感じ。
《アングラスの暴力》:万能パーマネント除去。《ガラスの棺》からクリーチャーを解放できる点が評価される可能性あり。
これらの各種対策カードに加えて、《炎の職工、チャンドラ》などのアドバンテージ源・別の勝ち手段となるカードを採用すると、さまざまな局面に対応できるサイドボードが組めることだろう。
まずはふんわりとまんべんなく効きそうなカードから、仮想敵が絞り込めたら専用カードで固める。こんな感じでやればサイドボードを組むことにも慣れてくるはずだ。
環境最初期、各プレイヤーが提示するたたき台をもとに、自分のデッキを組み上げてみよう!
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