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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

白日×再誕コントロール(モダン)

岩SHOW

 僕は「何が好きでマジックをやっているのか?」と聞かれると、「面白いカードを使ったデッキ構築ができること」と答えると思う。

 変な能力、オンリーワンの効果、オーバーキルも甚だしいド派手なカード……そんな愛すべきカードたちを使って精神的な充足感を得ること、それがマジックの大好きなところで、それを第一に遊んでいる側面がある。楽しむことがメインのデッキ、いわゆるファンデッキというやつでプレイするのがやっぱり楽しいね。

 ただ、ファンデッキの宿命として「楽しいがなかなか勝てない」という現実に直面することが多々ある。洗練されたトーナメントレベルのデッキに比べると、運用が現実的でないカードで構成されがちなファンデッキは安定して勝てるものではない。ガンガンヒットを打つ3割バッターと、ホームランしか狙っていない2割未満のバッターの対決って感じだ。たまに特大のホームランが飛び出すから、数は勝てなくても良いんだ……という、ある種の諦めの感情を持ってやっている節はある。

 しかしながら、「楽しけりゃ勝てなくても良い」という開き直りでやってはいても、勝てなさすぎると辛くなってくるものだ。そもそも勝負事で勝てなきゃ、楽しくないのも当然のことなのだ。楽しいカードを諦めて、真面目なデッキで戦った方が良いのか……そんな風に悩むことはしばしばある。

 そんな時に「諦めるな! 楽しいカードで勝ちまくれ!」と檄を飛ばしてくるようなデッキリストと出会い、まだまだ自分の構築力が足りなかっただけなのかもなと、もっともっと頑張るぞ!と元気づけられることがある。世の中には派手で楽しいフルスイングなカードに愛を捧げ、それを使ってガンガンと勝ちまくるプレイヤーがたくさんいるものだ。

 今日はモダンにてその腕白ぶりを見せつけたデッキを紹介しよう!

Ihavethefire - 「白日×再誕コントロール」
Magic Online Modern Premier #11965103 優勝 / モダン (2019年9月7日)[MO] [ARENA]
2 《冠雪の平地
1 《冠雪の島
1 《冠雪の沼
1 《冠雪の山
2 《冠雪の森
1 《寺院の庭
1 《繁殖池
1 《草むした墓
1 《踏み鳴らされる地
1 《吹きさらしの荒野
1 《霧深い雨林
1 《新緑の地下墓地
1 《樹木茂る山麓
4 《虹色の眺望
3 《パルンズの柱
1 《幽霊街

-土地(23)-

1 《氷牙のコアトル
1 《高原の狩りの達人
1 《反体制魔道士、ケス
3 《ニヴ=ミゼット再誕
1 《狼の友、トルシミール

-クリーチャー(7)-
4 《アーカムの天測儀
2 《守美者の探索
4 《稲妻のらせん
3 《暗殺者の戦利品
1 《戦慄掘り
1 《イゼットの魔除け
1 《思考消去
2 《ケイヤの手管
2 《コラガンの命令
1 《漂流自我
1 《至高の評決
3 《白日の下に
3 《レンと六番
2 《時を解す者、テフェリー

-呪文(30)-
1 《大爆発の魔道士
1 《イゼットの静電術師
1 《配分の領事、カンバール
1 《秋の騎士
1 《人質取り
1 《突然の衰微
1 《ラクドスの魔除け
1 《嵐の乗り切り
1 《轟音のクラリオン
1 《漂流自我
1 《塵への崩壊
1 《引き裂く突風
1 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ
2 《夢を引き裂く者、アショク

-サイドボード(15)-

 

 5色デッキ! この時点でもう楽しい。

 このデッキは、スタンダードでもその派手さから一部のプレイヤーに人気の1枚《ニヴ=ミゼット再誕》と、2色のカードではあるが実質5色のソーサリー《白日の下に》を使うために作られた、愛があふれる逸品である。

 このデッキは400名近いプレイヤーが参加し、予選ラウンドと決勝ラウンドからなるMagic Onlineのトーナメントにおいて無敗の優勝を飾っている。強さと楽しさを両立させたデッキとして、これ以上のサンプルもないだろう。

 《ニヴ=ミゼット再誕》は2色のカードが大量に手に入る可能性に満ちた1枚。これのパフォーマンスを最大限に活かしたいのであれば、各2色の組み合わせ10種類のカードをなるべくデッキに入れる必要がある。

 幸い、モダンには5色デッキを支えるマナ基盤がある程度揃っている。いま最も注目されているのが《虹色の眺望》で氷雪基本土地を持ってきて、氷雪マナで《アーカムの天測儀》を出し、5色のマナを生み出すフィルターとして用いる構築だ。

 眺望は《レンと六番》で使いまわすことでもマナ基盤を整える役目を果たす。このデッキでもそのメジャーな手法を取り入れつつ、ニヴ=ミゼットのためにデッキ内が多色の呪文だけという点を活かして《パルンズの柱》という5色土地を採用している。

 ノーリスクで運用できるし、フレイバーにも富んでいて100点満点でございます。《守美者の探索》という珍しい土地サーチが採用されているのも、この土地との兼ね合いだ。

 ニヴ=ミゼットと《パルンズの柱》にフォーカスして多色カードのみの5色デッキになってるってんなら、《白日の下に》を採用しないわけもないだろうと。5色のマナで5マナ払うことはこのデッキでは容易で、それすなわちこのソーサリーからニヴ=ミゼットを叩きつけられるということ。実質7枚体制であればデッキの主役を引かずに負けるというケースはかなり軽減でき、このデッキの目指す常に手札がパンパンでウハウハという状況を作りやすくなる。また、ニヴに限らずその状況下でベストな1枚を探してこれるというのも魅力だ。《至高の評決》とかね。

 デッキの基本の動きは典型的なボード・コントロールと呼ばれるもの。相手が出してきたクリーチャーなどのパーマネントを数多ある除去で徹底的に打ち落とす。そうやって1:1のカード交換を続けていると、お互いに手札が切れてトップデッキしたカードの叩きつけ合い勝負になる。そんな状況下でニヴと白日が手札をモリモリっと増やして、相手の心をへし折って勝負アリ!というのが理想の展開だ。

 これらのカードで得たアドバンテージも、結局それを使い切るための余裕、すなわちライフがなければ意味がない。そんなわけで《稲妻のらせん》がメイン除去に据えられている。その他、《石鍛冶の神秘家》に対するアンサーである《コラガンの命令》など、採用されているカードにはそれぞれに理由があるので、そこを考えてみてほしい。

 遊び心を忘れずに、かつ現実的に勝利を狙えるアプローチに落とし込む……これはマジックプレイヤーのひとつの夢だ。こういう夢を実現したリストを見ると、勇気を分けてもらえる気がする。さあ、皆も今日もデッキ構築、やっていこうぜ!

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