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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
虚ろな骨精霊(モダン)
マジックにはオマージュやパロディがあふれている。それも自らを題材にしたものだ。25年以上続いているので、過去のカードを元ネタにした新しいカードというものが、それはもう定期的に姿を現し、長年遊んでいるプレイヤーをニヤリとさせ、過去を知らない若い層にはロストテクノロジーに触れるような目新しさを提供している。
『モダンホライゾン』はそんなカードにあふれたセットだ。このセットを契機にモダンを始めたというプレイヤーには、いくつかのカードに隠された元ネタを調べていって、古き時代を知ってもらえたら嬉しいな。
今日はこのセットから《稲妻の骨精霊》を紹介しよう。
3マナ6/1速攻&トランプル、この上なく攻撃的なデザインが目を引くこのエレメンタルには2つの元ネタがある。
1つは《ボール・ライトニング》。
初出は暗黒時代を描いたセット『ザ・ダーク』で、その後にいくつかのセットに再録された。骨精霊とスペックは全く同じで、ターン終了時に生け贄に捧げなければならない点も共通。クリーチャーでありながらプレイヤーに直撃して去っていくその姿から「歩く火力」というフレーズが生まれ、その後の同様な使い捨て速攻クリーチャーたちはこう呼ばれるようになった。赤いクリーチャーといえばボーライ!というプレイヤーも少なくはないだろう。
もう1つの元ネタは《荒廃稲妻》。
{1}{B}{R}のソーサリーでプレイヤー(かプレインズウォーカー)に3点ダメージを与えつつ、そのプレイヤーの手札を2枚捨てさせる。カード1枚でカード2枚を対処でき、同時にライフも詰めるので赤黒の前のめりなデッキを大きく後押しした。《血編み髪のエルフ》との組み合わせは異次元のアドバンテージをもたらし、多くのプレイヤーを悶絶させたものだ。
この2つのライトニングなカードを融合させたのが《稲妻の骨精霊》! ボーライのスペックに、ダメージが通ったら手札を2枚捨てさせる《荒廃稲妻》のアドバンテージを絡めた超攻撃的なクリーチャー、これを用いるデッキを今日は紹介するぞ!
3 《冠雪の山》 2 《冠雪の沼》 4 《血の墓所》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《沸騰する小湖》 2 《黒割れの崖》 -土地(18)- 4 《炎刃の達人》 4 《恐血鬼》 4 《稲妻の骨精霊》 3 《炎跡のフェニックス》 2 《歴戦の紅蓮術士》 1 《疫病を仕組むもの》 4 《虚ろな者》 4 《通りの悪霊》 1 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(27)- |
4 《稲妻》 4 《信仰無き物あさり》 2 《燃え立つ調査》 2 《発掘》 3 《ゴブリンの知識》 -呪文(15)- |
1 《疫病を仕組むもの》 2 《思考囲い》 1 《致命的な一押し》 3 《古えの遺恨》 1 《悪ふざけ》 2 《血染めの月》 4 《虚空の力線》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
ちょいと久しぶりに見たね、《虚ろな者》!
これをキーカードとした「赤黒ホロウワン」に《稲妻の骨精霊》を投入したデッキだ! 《虚ろな者》といえば、手札を捨てまくりコストを0にして4/4を唱え、低コストでの多数展開により手札から捨てた《復讐蔦》を墓地から戦場に出して圧倒的な盤面を作る「ホロウ・ヴァイン」なるデッキも存在したが……ヴァインこと《復讐蔦》はすっかり《甦る死滅都市、ホガーク》とよろしくやっているので、《虚ろな者》も新たなパートナーとして骨精霊を迎え入れたというわけだ。
《虚ろな者》といえば、ともに用いるのは赤の手札を捨てる呪文。モダンを代表する1枚である《信仰無き物あさり》や、捨てる枚数が多く運の要素は強いがハマった時には最強とも言える《燃え立つ調査》と《ゴブリンの知識》。
これらに加えて、コストは少々かさばるが《歴戦の紅蓮術士》が新たに加わった。トークンもばら撒ける点が素晴らしい。
そして同じくクリーチャーなら、マナ不要で捨てることのできる《通りの悪霊》も忘れちゃいけない。
これらで《虚ろな者》のコストを下げ、《炎刃の達人》のパワーを上げ、《恐血鬼》《炎跡のフェニックス》を捨ててから戦場に戻し、《グルマグのアンコウ》の探査コストを支払い……と、序盤からゴリゴリに動いてクリーチャーのラッシュで圧倒するというのが「赤黒ホロウワン」というデッキだ。
ここに加わった骨精霊。ただ単純にパンチ力もあり、相手の手札を削ってゲームプランを崩せる色の合うカード、というだけで採用されているわけではないのだ。
これがこのデッキに入るようになった理由は、《発掘》の加入。
手札捨てカードで1~2ターン目に骨精霊を捨てて、《発掘》で釣り上げるという強襲が強いのだ! そもそも自身の能力で死んでしまう骨精霊を次のターンに《発掘》で釣り上げるだけでも強いのが嬉しい。1ターン目《信仰無き物あさり》で骨精霊を2枚捨て、2ターン目に《発掘》2連発で12点+4枚手札破壊というぶっ飛んだ荒業も可能! 「赤黒ホロウワン」は元々都合の良い手札が来た時に圧殺するというスタイルのデッキなので、ブン回りパターンが増えるのは喜ばしい限りだ。
《歴戦の紅蓮術士》を釣り上げることで、2ターン目《虚ろな者》という動きも以前より安定して狙うこともできるだろう。《発掘》はかなり強いカードなので、このデッキに限らず要注目!
《稲妻の骨精霊》はインパクトのある能力と、懐かしさを併せ持った実に良いカードだ。今後も過去に元ネタを持つカードはどんどんと増えることだろう。このカードのように過去の人気カードを1つに合わせたデザインも出てくるに違いない。皆はどんなカードが欲しいかな? 僕は《適者生存》と《繰り返す悪夢》を合体させたエンチャントが欲しいなぁ……(夢を見るのは自由なのだ)。
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