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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ホガーク・ヴァイン(モダン)
836。2019ミシックチャンピオンシップⅣにて使われた《虚空の力線》の枚数である。
同トーナメントの参加者が416名。単純に考えると《虚空の力線》はその性質上、1~2枚だけ採用するというカードでもない。以上のことから、単純計算でおよそ200人がこのカードを用いていたと推察できる。2人に1人が力線ユーザーってわけだ。
これだけでも十分恐ろしいのだが、この836枚中、なんと73枚はメインデッキにて使用されている。メインゲームから墓地を追放したいという思いを爆発させたプレイヤーが20人前後とときたもんだよ。
なぜ、ここまでの事態になってしまったのか? それは《甦る死滅都市、ホガーク》率いる「ホガーク・ヴァイン」なるデッキが引き起こした真夏の衝撃。
「このデッキが最大勢力になる」とほとんどのプレイヤーが予測して、これだけの墓地対策でその身を固めることになったのだ。事実、「ホガーク・ヴァイン」は2位とダブルスコアの98名という最大勢力として君臨した。
それでは、そのリストを確認してみよう。
1 《沼》 1 《湿った墓》 2 《血の墓所》 2 《草むした墓》 1 《蒸気孔》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《宝石鉱山》 2 《マナの合流点》 -土地(19)- 4 《屍肉喰らい》 4 《墓所這い》 4 《面晶体のカニ》 4 《縫い師への供給者》 2 《墓所破り》 4 《恐血鬼》 4 《サテュロスの道探し》 4 《復讐蔦》 4 《甦る死滅都市、ホガーク》 -クリーチャー(34)- |
4 《信仰無き物あさり》 2 《致命的な一押し》 1 《稲妻の斧》 -呪文(7)- |
2 《疫病を仕組むもの》 4 《思考囲い》 1 《致命的な一押し》 3 《暗殺者の戦利品》 3 《活性の力》 2 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
こちらは日本のプロプレイヤーたちが合同で製作した「カニ・ホガーク」。その名の通り《面晶体のカニ》がキーカード。
1ターン目にこのカニを出して、2ターン目に《血染めのぬかるみ》か《汚染された三角州》を置く→能力起動でライブラリーから土地を出す、と動くことでカニの能力が2回誘発。対象を自分自身とすることでライブラリーから墓地に計6枚のカードを墓地に落とすことができる。
《縫い師への供給者》《サテュロスの道探し》といったクリーチャーに《信仰無き物あさり》も併せて、これでゲーム開始と同時に墓地にカードをバンバン落としていく。
すると《復讐蔦》や《甦る死滅都市、ホガーク》が墓地に落ちることになる。これらの墓地肥やし要員クリーチャーは軽く、1ターンに2枚唱えることが大変に容易なので、《復讐蔦》がその能力で墓地から戦場へと蘇る。またこれらのクリーチャーをタップして召集コストを、墓地のカードを追放して探査コストを払うことでホガークも最速2ターン目に戦場に出る!
マナを支払わずに4/3速攻と8/8トランプルを早いターンに並べて一瞬で殴り勝つ、というのが「ホガーク・ヴァイン」系デッキの勝利へのシナリオだ。
エンジン全開のブン回りでなくとも、例えば《屍肉喰らい》で《墓所這い》を何度も生け贄に捧げて育てながら《墓所破り》でドローを進めるとか、そういう戦い方もできる。
順当に回れば3ターン目には戦場をクリーチャーで覆うことが可能で、そりゃこんなデッキが跋扈したら《虚空の力線》を2人に1人が使うのも納得がいくというものだ。マナを支払わない相手にはこちらもマナを支払わずに墓地対策!
ただ、そんな一見万能で致命的に見える力線に対しても、《活性の力》という、これまたマナ不要のアンサーカードがある。
力線2枚貼りスタートなんて、かつてはこの手のデッキを絶望させる必殺技だったが、もうそんな時代でもないというのか……。
2 《冠雪の沼》 2 《血の墓所》 2 《草むした墓》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《新緑の地下墓地》 1 《汚染された三角州》 3 《黒割れの崖》 -土地(19)- 4 《屍肉喰らい》 4 《墓所這い》 4 《縫い師への供給者》 3 《傲慢な新生子》 4 《恐血鬼》 4 《サテュロスの道探し》 4 《復讐蔦》 4 《甦る死滅都市、ホガーク》 -クリーチャー(31)- |
4 《信仰無き物あさり》 2 《稲妻の斧》 2 《暗殺者の戦利品》 2 《虚空の力線》 -呪文(10)- |
2 《朽ちゆくレギサウルス》 3 《思考囲い》 2 《致命的な一押し》 1 《自然の要求》 2 《暗殺者の戦利品》 1 《悪ふざけ》 2 《虚空の力線》 2 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
肝心のトップ8に残り、日曜日の決勝ラウンドに進出した「ホガーク・ヴァイン」使用者はマーティン・ミュラー/Martin Müller1名のみに留まった。あれだけ多くて1人だけだったと見るべきか、《虚空の力線》祭りを泳ぎ切ったデッキパワーはやべぇなと捉えるべきか。
特筆すべきは、メインから《虚空の力線》を2枚採用していること。同型との対戦が最も多いものになると踏んで、クリティカルなカードをこっそり忍ばせている。こんなものを入れて安定感は大丈夫なのかと思われるかもしれないけど、そもそも同型戦はブン回った方が勝つもの、より運に恵まれた方が勝つというのであれば、たまたま初手に力線があったという都合の良い展開を願うのは悪いことじゃないのだ。ミシックチャンピオンシップのようなハードなトーナメントを勝ち抜くにはこれぐらいの大胆さが必要ってわけだね。
同じ意志で臨んでいる力線ホガークに対しても、メインから投入した《暗殺者の戦利品》というアンサーを用意しているあたりが、半歩進んだ構築だなと唸らされる。サイドボードの《朽ちゆくレギサウルス》もセクシー!
というわけで、今回はミシックチャンピオンシップⅣの台風の目だった「ホガーク・ヴァイン」のバリエーションを紹介した。ただ、これ以外にもこのトーナメントで活躍したデッキはもちろん多数ある。明日はそんなライバルたちを紹介する予定なのでよろしく!
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