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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アゾリウス・スピリット(スタンダード)
個人的には基本セットの良さのひとつとして「昔のカードが再録される」ということを挙げたい。昔からプレイしているベテランは「うわ~懐かしい!」と過ぎ去ったあの日を回顧し、そのカードの初出を知らない新参も「昔にこんなカードがあったのか!」と熱くなれるからだ。
再録されたカードというのは、環境の変化によって当時ほどは活躍できなかったり、その逆でついに本領を発揮したりと、新規カードと同じく未知数の存在であることも魅力的だ。あの日の思い出はこの2019年でも通用するのか?
『基本セット2020』でもそんな戦いに挑むことのできる1枚がある。《地下牢の霊》だ。
いやぁ懐かしい、これが活躍したのはプロツアー『闇の隆盛』。プロツアー殿堂顕彰者であるジョン・フィンケル/Jon Finkelとイェルガー・ヴィーガーズマ/Jelger Wiegersmaの2名がこの不気味なアンタップ阻害スピリットを用いた白青黒3色のスピリット・デッキでトップ8に入賞し、大きなインパクトを与えたのだ。4マナ3/3飛行を《ドラグスコルの隊長》で強化して殴る、あの動きは楽しかったな……《未練ある魂》でスピリット・トークンをばら撒くのも強かった……。
このスピリット・デッキのキーカードは、今のスタンダードでも代役を務められるものが多数存在する。《ドラグスコルの隊長》とそれをコピーしていた《幻影の像》の枠は《至高の幻影》と《天穹の鷲》で。先代のように呪禁こそ与えられないが、全体強化8枚体制は言うまでもなく強力!
これを活かすために1枚で複数のスピリットを並べるカードとして、《未練ある魂》の現代調整版とも言えるのが《絞首された処刑人》!
1枚で2体の飛行持ちスピリットを出しつつ、いざとなれば除去カードとしても機能するのがニクいやつ。これと《地下牢の霊》により大型クリーチャーを食い止め、空中からの攻撃で殴り合いに勝利する……現代版「アゾリウス・スピリット」推参!
9 《島》 4 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 -土地(21)- 4 《幽体の船乗り》 4 《悔恨する僧侶》 4 《至高の幻影》 4 《天穹の鷲》 4 《絞首された処刑人》 4 《地下牢の霊》 -クリーチャー(24)- |
4 《送還》 3 《呪文貫き》 4 《順風》 4 《翼ある言葉》 -呪文(15)- |
2 《黎明をもたらす者ライラ》 2 《啓蒙》 4 《不可解な終焉》 2 《ドビンの拒否権》 1 《イクサランの束縛》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 2 《時を解す者、テフェリー》 -サイドボード(15)- |
クリーチャー24体はすべてスピリットであり飛行持ち、これらをマナに沿って展開しつつ《至高の幻影》《天穹の鷲》の強化能力を最大限に発揮させるビートダウン・デッキだ。
《順風》もあるので全体強化役は全部で12枚!
カードに印刷されたパワー/タフネスは低くとも、これだけの強化手段があればバリバリと相手のライフを削っていく打点が見込める。繊細に行動しつつも時に大胆な展開を行って、長期戦になる前にゲームを終わらせよう。飛行クリーチャーばかりなので《翼ある言葉》でドローはしやすいが、それでも長期戦のアドバンテージ勝負となると苦戦を強いられることだろうからね。
このデッキを成立させている影の立役者は《送還》。
緑や赤と真正面からまともに殴り合ってもパワー負けしがちな青白デッキにとって、1マナで相手の攻撃を1回しのげるというのは地味に見えて大変に重要である。1マナで行えるので他のアクションを行いつつこれができるのが大きい。また、各種スピリットが除去されるときにこれで回避するという手もある。同じ1マナで《呪文貫き》も構えられ、《島》1枚を立てているだけでどちらかが飛んでくるというプレッシャーをかけられるのも強み。これらのインスタントを使うことがなければ《幽体の船乗り》を唱えて盤面を強くしていこう。
あの日のフィンケルたちに憧れ、スピリットでブンブンやっていたプレイヤーには、ぜひともこの2019年版スピリットを手に取っていただきたい。この時代を知らないプレイヤーは、過去の記録をさかのぼって、今日に至るまでのトーナメントシーンを築き上げたレジェンドの雄姿を一度見てみるのも良い経験になることだろう。7年半前と今を繋ぐ、『基本セット2020』に感謝の意を。
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