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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

青単マーフォーク(モダン)

岩SHOW

 プレインズウォーカーが世に初登場したセットは『ローウィン』だ。その数は増えに増え、物語の中心になり、そして『灯争大戦』でひとつのクライマックスを迎える……感慨深い。

 『ローウィン』の背景世界において最初のプレインズウォーカー5名が何をしたか、最近マジックを始めたプレイヤーは知らないことだろう。アジャニ・ジェイス・リリアナ・チャンドラと現在進行形で物語の中心にいる4名と、最近めっきり出番のないガラク。彼らは……

 答え:何もしていない、そもそも登場しない。カード化されたもの、次元ローウィンの物語にはかすりもしなかったのである。ローウィンは珍しく人間がいない次元で、おとぎ話風の世界にかわいらしい住人たちが住んでいる。セット自体もそれらの童話の住人的なクリーチャーたちをフィーチャーしたもので、特定のタイプで固めたデッキを大幅強化するカードが多数。例えばキスキンとかエルフとかね。こういうセットは俗に部族セットと呼ばれる。プレインズウォーカーたちはあくまで新しいカードタイプのお披露目として登場しただけだった。

 『ローウィン』に続く『モーニングタイド』も同じく特定のタイプを強化するセットだったが、このセットは部族というよりも職業をプッシュするものだった。戦士とかシャーマンとかね。このあたりからクリーチャーの持つタイプの重要性は大きく増したのである。部族と職業、両方とも強いカードはそうでないカードよりも多くのデッキでお声がかかる可能性が高いってわけだ。ファンデッキを作る楽しさもマシマシ。

 『ローウィン』で青が担当したのはマーフォーク、『モーニングタイド』ではウィザードだ。マーフォークは水を自在に操る術に長けた者が多く、この2つのタイプを併せ持つクリーチャーは多い。スタンダードでも《マーフォークのペテン師》がマーフォーク・デッキだけでなく、ウィザードなことを活かして《魔術師の反駁》をコストダウンさせたりして活躍中だね。

 タイプが強くて能力もイカす、ってことはローウィン時代のマーフォークたちと組ませてもいい仕事をするんじゃないか? ということで、ペテン師+反駁パッケージを取り込んだマーフォークデッキをご紹介だ!

GeneralSmallChild - 「青単マーフォーク」
Magic Online Modern MCQ #11835161 5位 / モダン (2019年3月31日)[MO] [ARENA]
14 《
4 《変わり谷
1 《水辺の学舎、水面院
1 《雲の宮殿、朧宮
-土地(20)-

3 《水底の生術師
2 《霧の呼び手
4 《アトランティスの王
4 《真珠三叉矛の達人
4 《マーフォークのペテン師
4 《銀エラの達人
4 《波使い
-クリーチャー(25)-
4 《霊気の薬瓶
3 《蒸気の絡みつき
4 《広がりゆく海
4 《魔術師の反駁
-呪文(15)-
4 《大祖始の遺産
1 《墓掘りの檻
2 《儀礼的拒否
1 《払拭
2 《否認
2 《残響する真実
3 《四肢切断
-サイドボード(15)-
 

 モダンのマーフォークといえば、《アトランティスの王》《真珠三叉矛の達人》など、通称ロードと呼ばれる部族強化能力持ちを多数並べて、サイズで圧倒することを狙ったデッキが組まれる。

 これら2種8枚では足りんとばかりに《メロウの騎兵》も加えたり《幻影の像》で水増ししたりすることが多いが、このリストでは脳みそ筋肉マッチョマンなだけではなく、対戦相手への妨害も重要視されそのためにスロットが割かれている。ペテン師でタップして攻撃を通しやすくしつつ、反駁を構えて次なるブロッカーや除去を弾いた方が、結果的に速やかに殴り勝つというプランを推し進めるということだ。反駁を唱えるために必要なウィザードも、なんと17枚入っているのでほぼ《対抗呪文》として運用できるだろう。

 《広がりゆく海》で相手の土地を攻めるのもマーフォークのお家芸である。

 多色デッキの展開を足止めし、《ウルザの鉱山》や《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》など特定の土地に頼るコンボを封じるのはモダンでは効果的なアプローチだ。アトランティス&三叉矛の与える島渡り能力も、青くないデッキに効果を発揮するのがエライ。また、戦場に残り続ける形の妨害なので、《波使い》の能力でカウントする青の信心も水増ししてくれるのが地味ながらもステキ。

 《波使い》はトークンを大量展開して一気に勝負を決めることのできる大技だが、隙が大きく、全体除去で信心元ごとまとめて吹っ飛ばされると悲しいカードなのだが、そこは反駁でどうにかしようと。2マナ立てていればとりあえず安心、というのは現実的でいいね。

 1マナ域に《水底の生術師》が採用されているのも、新たな戦力を得たという意味で注目だが……もっと目を引くのは《霧の呼び手》。唱える以外の方法で戦場にクリーチャーカードを出す戦略を否定する1枚だ。

 《御霊の復讐》《裂け目の突破》《召喚の調べ》、そして今大人気の《弧光のフェニックス》などなど、唱えずにクリーチャーを展開してやるというのはモダンではメジャーな戦略。これらに抗う手段をメインからデッキの形を歪めずに採用しているのはスマートだね。この、デッキの本来の構造を歪めないというのが重要。選択肢の多い主要部族にはこういう選択肢が多数あるのも魅力だ。

 単色という組みやすさからも推せるウィザード・マーフォークデッキ、モダンデビューにいかがです?

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