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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
太古のリズムに乗せて(スタンダード)
マジックやってて、悲しい時ィィィ! せっかく唱えた大型クリーチャーが、打ち消されてしまった時ィィィ!
……これね、ほんまに悲しいんですわ。こっちが頑張って用意したマナからパワフルなお友達を呼び出そうとすると、たった2~3マナでそいつとの楽しい時間を引き裂かれる……青いデッキ許すまじ!となってしまうものだ。
ただ、それも結局のところ、対策しなかった自分が悪いと言える。今の時代には、打ち消しに対しての怒りを打ち出したカードが少なからず存在するのだから、それらを使って心置きなく君のジャイアント・フレンドと戯れれば良いのである。
怒りを体現している、フレイバー的にもおあつらえ向きなカードが《野生の律動》。
かつてラヴニカにおいて自然保護を行っていたグルールは、他のギルドに追いやられて都市から離れた郊外にて生活することを余儀なくされた。反・文明という思想は最高潮に達し、新たな若きギルドマスター・ドムリの元にそれは爆発。彼らの伝説に語られる猪の祟神とともに、グルールの軍勢は都市に突撃した!というシーンをカード化したものだ。
文明に対する怒りの象徴らしく、自軍のクリーチャーは打ち消されなくなる。さらにキーワード能力・暴動も与える。速攻かサイズアップか、状況によって選べるこの能力、打ち消しと除去で戦うデッキ相手には速攻を与えることで、ソーサリー除去を喰らっても最低一発はぶん殴ってやることができるという、コントロールデッキにとってはなかなかに恐ろしい1枚だ。
前評判は高かったが実際にこのカードを用いるデッキはなかなか現れなかった……が、環境最終盤になってこれを軸にした、なかなかに豪快なデッキを見つけたので紹介しよう! その律動は、太古の時代より聞こえてきた!
2 《森》 1 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 3 《寺院の庭》 3 《陽花弁の木立ち》 3 《聖なる鋳造所》 3 《断崖の避難所》 -土地(23)- 4 《グルールの呪文砕き》 4 《打ち壊すブロントドン》 4 《切り裂き顎の猛竜》 2 《豊潤の声、シャライ》 4 《レギサウルスの頭目》 2 《殺戮の暴君》 1 《原初の飢え、ガルタ》 -クリーチャー(21)- |
4 《恐竜との融和》 4 《溶岩コイル》 4 《轟音のクラリオン》 4 《野生の律動》 -呪文(16)- |
3 《クロールの銛撃ち》 1 《殺戮の暴君》 2 《シヴの火》 2 《イクサランの束縛》 3 《争闘 // 壮大》 1 《苦悩火》 2 《ビビアン・リード》 1 《戦場の詩人、ファートリ》 -サイドボード(15)- |
恐竜を主役にした、赤緑白の3色デッキ…「ナヤ・ダイナソー」とでも言おうか。『イクサラン』以降このコラムでもこの手のデッキは何度か取り上げてきた(完全に趣味)。恐竜はいつだってロマンがあるものだ。
3マナ以上の彼らを、《野生の律動》で打ち消しから護ってやりながら心置きなく叩きつける! わかりやすい、中速デッキだ。中速と言っても恐竜のサイズが優れており、かつ律動に加えて《レギサウルスの頭目》もいるので殴りだしてから勝つまでには時間はかからない。《殺戮の暴君》や《原初の飢え、ガルタ》がドドドドドッと駆け抜けていく様は爽快そのものだ。
赤と緑で恐竜は事足りるのだが、自分よりも早いターンにクリーチャーを展開するデッキに対して《轟音のクラリオン》で吹き飛ばし、恐竜たちに絆魂を与えてライフを回復して殴り合いを制するために白が足されている。これで《豊潤の声、シャライ》も使えて、さらにアンチコントロールな姿勢を高められるのも嬉しいね。
クラリオンを使う関係もあって、このデッキにはこの手の緑のデッキにはほぼ確実に採用されていたクリーチャーが不採用となっている。《ラノワールのエルフ》だ。重めのクリーチャーで戦う緑のデッキにとっては必需品とも言えるカードだが、ゲーム後半に引いても嬉しくないカードであることも事実だ。
このデッキではラノワールの枠を《恐竜との融和》にすることで、加速はしなが確実にマナを確保して3~4マナまで滞りなく動くことをサポートし、後半には大型の恐竜たちにアクセスできるようにしてある。この構成は、恐竜デッキをやり込んでいる感があって良いね。
また、グランプリ・京都2019でも《野生の律動》or《レギサウルスの頭目》で速攻を得たガルタをねじ込んで勝つ、というコンセプトのグルールデッキがトップ8に名を連ねた。ここにきて恐竜が強さを示すとは、嬉しい限りだ!
8 《森》 7 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 -土地(23)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《成長室の守護者》 4 《クロールの銛撃ち》 1 《原初の飢え、ガルタ》 4 《グルールの呪文砕き》 2 《打ち壊すブロントドン》 1 《貪る死肉あさり》 3 《再燃するフェニックス》 3 《レギサウルスの頭目》 -クリーチャー(26)- |
2 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 2 《野生の律動》 2 《争闘 // 壮大》 1 《混沌をもたらす者、ドムリ》 -呪文(11)- |
1 《凶兆艦隊の向こう見ず》 1 《貪る死肉あさり》 4 《溶岩コイル》 3 《燃えがら蔦》 2 《焦熱の連続砲撃》 1 《野生の律動》 1 《争闘 // 壮大》 2 《苦悩火》 -サイドボード(15)- |
恐竜の大ぶりな攻めのみならず、《グルールの呪文砕き》《成長室の守護者》《再燃するフェニックス》などで盤面を形成して手堅く勝てるのも強み。これらのクリーチャーは「赤単」や「白単」に強く、《クロールの銛撃ち》4枚で「青単」へのガードもバッチリと、単色アグロデッキには負けないという姿勢が見られる。《混沌をもたらす者、ドムリ》でアドバンテージ勝負も狙えるのが素敵だ。
というわけで、打ち消しに苦しんでいるプレイヤー向けのデッキを紹介してみた。解答は探せばあるのがマジックの良いところ。存在するカードをすべて把握することで、仮想敵に対抗することができるはずだ!と、意気込んだところで、今度はまた別の戦略を用いるデッキに苦戦を強いられる……というのがお約束でもある。
解答はあるが、完全はない。だからこのゲーム、たまらないんだよね。
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