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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

向こう見ずな掘葬(モダン)

岩SHOW

 コンボと一口に行っても、それぞれが目指すところは全く違う。難解で、要求するカードの枚数は大きいものは、決まればそれだけで勝利まで一直線。逆に必要なパーツが少ないものは、決まっても特定のデッキには効果がなかったり、ゲーム的には有利になるが勝ちが確定するわけじゃやない軽めのものとなる(時折、壊れたカードがこの法則を無視してくる)。

 この軽めのものは、それ自体に必要なパーツが少ない分、デッキに余裕がある。ドローやサーチを詰め込んで圧縮したり、手札破壊や打ち消しなどのコンボを通すためのものやその後のサポート、単純にコンボが決まるまで生き延びるための除去などで残りの枠を埋めていくわけだが……要求枚数が少ないもの同士であれば、60枚デッキの中に同居するのだって不可能じゃない。今日はそんな、2つのコンボを共存させたデッキを紹介しよう。

 今日のデッキのうち、1つのコンボはなんと「1枚コンボ」というやつだ。もちろんコンボと言うからには2枚はカードが必要なのだが、それを始めるのに必要なものが1枚だけ、という意味だ。

 その1枚とは《向こう見ずな実験》。

 ライブラリーからアーティファクトを直接戦場に出せるソーサリーで、これで普通に唱えるのが難しい巨大なアーティファクトを降臨させることができるが、それがライブラリーから姿を現すまでの間にめくったカードの枚数分だけ、ライフを失うことになる。下手すりゃこれ1枚で敗北、なんてことも。また、受けるダメージを減らそうとして複数のアーティファクトを採用すると、どれがめくれるかがまったくわからず、状況によってはハズレを引きかねない。

 そんなかなり癖の強いソーサリーなのだが、これと併せて使うために作られた、と言っても過言ではない1枚がある。《白金の帝像》だ。

 《向こう見ずな実験》はアーティファクトを戦場に出した後に、あなたにダメージを与える。ただその出したアーティファクトが帝像であった場合、あなたのライフは変動しない。すなわち、ノーダメージ! デッキ内のアーティファクトをこの帝像1~2枚のみにすることで、4マナ+カード1枚で8/8を戦場に出し、しかも以降のダメージは受け付けない。ダメージで勝利するデッキは、まずこれを倒さなければならないという……攻防一体の1枚コンボだ。

 実験と帝像、併せて5枚前後と要求するスロットが少ないので、さまざまなデッキに出張することがある、モダンでもコアなファンがいるお手軽コンボだ。今日この向こう見ずコンボとセットになるのは……

Chase Chapell - 「向こう見ずな掘葬」
Qualifier @ Collector Legion ベスト8 / モダン (2019年2月10日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
1 《平地
2 《血の墓所
2 《神無き祭殿
1 《聖なる鋳造所
4 《血染めのぬかるみ
4 《湿地の干潟
3 《竜髑髏の山頂
2 《感動的な眺望所
-土地(22)-

1 《ゲトの裏切り者、カリタス
1 《墓所のタイタン
1 《大修道士、エリシュ・ノーン
2 《白金の帝像
1 《グリセルブランド
1 《エメリアの盾、イオナ
-クリーチャー(7)-
4 《信仰無き物あさり
4 《流刑への道
4 《コジレックの審問
2 《思考囲い
2 《集団的蛮行
2 《稲妻のらせん
1 《削剥
4 《未練ある魂
3 《向こう見ずな実験
3 《掘葬の儀式
2 《ヴェールのリリアナ
-呪文(31)-
2 《配分の領事、カンバール
1 《熱烈の神ハゾレト
3 《減衰球
2 《苦花
2 《集団的蛮行
2 《安らかなる眠り
1 《稲妻のらせん
2 《先駆ける者、ナヒリ
-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)
 

 《掘葬の儀式》によるリアニメイトだ!

 このカードは墓地からクリーチャーを釣り上げることができるのだが、普通に唱える場合よりも墓地からフラッシュバックで唱えた方がコストが軽くなる。そこで、自らの手札を捨てるカードを使ってうまくクリーチャーと一緒に墓地にセットしてやることで、最速4ターン目に大型クリーチャーを出すことが可能だ。

 目指すところは向こう見ず×帝像コンボとも似ている。リアニメイトと同居したということは、手札に来てしまった帝像を捨てて釣り上げたり、向こう見ずコンボが決まって着地した帝像を破壊されてしまっても墓地から再度出撃させることができるというわけだ。別のコンボを採用し、弱点を補完する。これはよくできている、何より楽しそうだ!

 《信仰無き物あさり》《集団的蛮行》《ヴェールのリリアナ》といったカードで墓地の下準備をすることになる。

 クリーチャーを横並べしたりトークンを大量展開して勝つというデッキには《大修道士、エリシュ・ノーン》、ライフ回復や手札を補充したい場合には《グリセルブランド》、単色のデッキ相手には《エメリアの盾、イオナ》といった具合に、そのケースによって最適な大型クリーチャーを出せれば100点だ。この中で、《グリセルブランド》だけは帝像と並ぶと絆魂が働かず、ライフの支払いもできない点には注意だ。

 この2大コンボ以外のスロットは、手札破壊と除去で手堅くまとめてある。《未練ある魂》でコンボ成立までの時間を稼いでも良いし、状況によってはリリアナでコントロールしながらこれで殴り勝つというゲームプランを狙うこともあるだろう。コンボを2種類入れてもまだ別の勝ち手段を用意できるというのはなかなかにすごいことだ。

 壊しても壊しても立ち上がる帝像、というのは一部のデッキにとっては悪夢そのものだ。バーンのようなデッキが多いと読んだ時には、このデッキは悪くないかもね。ありそうでなかったコンボの組み合わせ、というのはこれからもモダンで登場し続けるんだろうなぁ。

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