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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
木こりビッグマナ(レガシー)
マジックには時折、とてつもなくパンチの効いたカードが登場する。特に黎明期には、効果・能力はもちろんのこと、アートのインパクトが凄まじいカードがゴロゴロ。今ではあまり見られなくなったかなりコミカルなイラストのものは、リアルな描写のカードと組み合わせて使うとそのパンチ力が増して見え、でもそれが不思議と「この世界観こそマジック」という感じがしたものだ。
好きなアートをあげていけばキリがないが、このカードはぜひ覚えてほしいというものがある。《オークの木こり》だ。
『アイスエイジ』版のイラストでは、オークが回転のこぎりのついた歩行機械でバッサリ伐採している姿を見ることができる。なんなんだよこの光景は。氷河期がテーマで、他のカードは皆真面目に北欧ファンタジーっぽい雰囲気を醸し出しているのに、90年代の悪の組織が毎週送り出してくるポンコツロボットのようなマシーンでノリノリで木を伐るシーンって……世界観をいろいろとぶち壊してるのに、でもこれがなきゃ『アイスエイジ』って感じがしない。なくてはならない1枚なのだ。
このカードは実は能力がかなり強い。森タイプの土地を生け贄に捧げれば、赤と緑の好きな組み合わせの3マナを生み出す。マナ加速としてはとても優秀だ。伐った木からにじみ出る魔力や、それを薪にして燃やして赤マナを得ているってことなんだろうね。当時、一時的なマナ加速と言えば黒、次いで緑が担っていたのだが、後にそれは赤の仕事となる。先駆者的なカードでもあったわけだ。個人的にはこんな強そうなマシーンなのに1/1な点がとても気になる。
今日はこの強力なマナクリーチャー《オークの木こり》を用いたレガシーのデッキを紹介しよう!デッキの方もいろいろとカオスだ!
2 《森》 1 《平地》 1 《ドライアドの東屋》 1 《Savannah》 1 《まばらな木立ち》 2 《Taiga》 4 《吹きさらしの荒野》 1 《霧深い雨林》 1 《新緑の地下墓地》 3 《燃え柳の木立ち》 1 《カラカス》 1 《セジーリのステップ》 1 《ボジューカの沼》 2 《演劇の舞台》 1 《暗黒の深部》 4 《不毛の大地》 -土地(27)- 2 《極楽鳥》 2 《オークの木こり》 1 《森を護る者》 1 《ガドック・ティーグ》 4 《聖遺の騎士》 3 《アルゴスの庇護者、ティタニア》 1 《原始のタイタン》 1 《龍王アタルカ》 -クリーチャー(15)- |
4 《モックス・ダイアモンド》 3 《輪作》 3 《罰する火》 2 《壌土からの生命》 1 《森の知恵》 2 《自然の秩序》 4 《緑の太陽の頂点》 -呪文(19)- |
3 《スレイベンの守護者、サリア》 1 《漁る軟泥》 1 《秋の騎士》 2 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 2 《剣を鍬に》 1 《真髄の針》 1 《古えの遺恨》 2 《窒息》 1 《コジレックの帰還》 -サイドボード(15)- |
木こりによるマナ加速から重めのカードを叩きつける構成ではあるが、それを狙いすぎると木こりがいなければ動けなくなってしまうので、他のマナ加速も採用しつつ頼り過ぎないような構築になっている。具体的には土地を多めに採用し、《モックス・ダイアモンド》を運用できるようにしている。
このカードのために捨てた土地は《壌土からの生命》で回収するか、あるいは《聖遺の騎士》のサイズアップに役立ち無駄にはならない……これはレガシー初期に活躍した名デッキ「アグロローム」を思い出させてくれる。また、《極楽鳥》か、《聖遺の騎士》などで持ってきた《ドライアドの東屋》を餌に《自然の秩序》を唱えることで大物を戦場に出すという技も備えてある。こちらも一昔前のレガシーでは常套手段で、何もかもが懐かしい。
このデッキが叩きつけることを狙っている大物とは《龍王アタルカ》と《原始のタイタン》だ。
アタルカは説明不要なサイズと飛行にトランプルであっという間にライフを食い尽くすし、5点ダメージをばらまく能力で相手のクリーチャーやプレインズウォーカーを一網打尽にしてくれる。フィニッシャーとコントロール要素がオールインワンなパッケージになっており、劣勢時でも勝ちに行く時でも嬉しく頼れる僕らの女王だ。
《原始のタイタン》はサイズでは劣るが、こちらも破壊の女神に繋がるカードだ。土地を2枚サーチする能力で《暗黒の深部》《演劇の舞台》を並べよう。
舞台を深部のコピーにして、氷カウンターが置かれていない深部を誕生させて即生け贄→20/20飛行・破壊不能のマリット・レイジが爆誕だ。このコンボは土地2枚さえ並べることができれば《壌土からの生命》で何度でも繰り返すことができる。《不毛の大地》や《剣を鍬に》で粘ろうが、いつかは一撃必殺を受ける運命が待っているのだ。
ここまで紹介してきて、このデッキがただの重いカードを叩きつけるだけのデッキではなく、カード間に多数のシナジーを形成しているデッキであることがわかっていただけただろう。《オークの木こり》も例外ではなく、このカードで森を墓地に送ることにボーナスを付与するカードがある。このデッキの影の主役《アルゴスの庇護者、ティタニア》だ。
彼女は自軍の土地が墓地に置かれると5/3のエレメンタルを提供してくれる。自然を破壊するものを許さないというスタイルをカード化したのだろう。彼女の怒りを、木こりや《聖遺の騎士》《輪作》で誘発させる、自作自演のシナリオがこのデッキの狙いだ。多角的な攻めの手段を持っており、対戦相手は除去しきれずにいずれかのプランで打倒されることだろう。
聖遺やティタニアなどのキーカードをデッキ内に増やすために《緑の太陽の頂点》が採用されており、これによりサイドボードに《秋の騎士》を1枚挿すなど構築の引き出しが非常に多いのがこの手のデッキの特徴だ。
回していてかなり楽しいデッキの1つであり、トーナメントでもこのデッキを予測していなかった相手を叩きのめして勝っている姿を度々見かける。レガシーで一味違うデッキを探しているプレイヤーにはオススメしたいね!
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