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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
不朽の理想(モダン)
マジックにおける、最も楽しい瞬間というのは人それぞれ。
僕の場合は、デッキ構築をしている時。まず、やりたいこと・使いたいカードを決める。例えばスタンダードで使える期間がもう短いので、《サヒーリ・ライ》を使ったデッキを作ろう! なんて動機からカードリストを眺める。サヒーリと相性の良いカードを放り込んでいく。とりあえずコピーして強く、色も合っているので《つむじ風の巨匠》を一緒に使おうとなる。巨匠は飛行機械・トークンを生成するしサヒーリでコピーできると楽しいので他のアーティファクトもデッキに入れる=アーティファクトが戦場に並びやすいので《宝物庫襲撃》を使おう! となる。そこから《歩行バリスタ》はじめかたっぱしからカードを詰め込んでいって、デッキの枚数が90枚くらいになる。
さすがに厳しいのでオマケ感覚で入れていたカードを抜いていく。色が合っているとの理由で採用した《栄光をもたらすもの》《奔流の機械巨人》もアウトだ。と、ここで気付く。抜いていってるカードで、スタンダードの一流デッキが作れるじゃないかと。メインコンセプトがそもそも、強くなさそうだ。こんなデッキ、組まなくても良いんじゃないかと……そんな気持ちになってくる。
果たして、今思い描いている理想は、形にするに値するものなのか? こんな後ろ向きな気持ちになった時には、あるカードを思い浮かべよう。
素晴らしいカード名である。理想そのものは不朽の存在で、それを破棄するか否かは個人の意思。諦めずに追い求めるべし、そんな風にこのカード名は教えてくれるようである。
そもそもこのカード自体、変なカード・変なデッキを構築する人間には至高の逸品である。呪文を一切唱えられなくなる代わりに、毎ターンエンチャントを戦場に出すことができる……どうせ使うのであれば、重たく効果が絶大なエンチャントを使いたい。
そんな理想が現実を凌駕する、モダンの「不朽の理想」デッキをご覧あれ!
10 《平地》 1 《聖なる鋳造所》 4 《凱旋の神殿》 2 《岩だらけの大草原》 2 《新ベナリア》 1 《霧覆いの平地》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(24)- -クリーチャー(0)- |
4 《睡蓮の花》 4 《斑岩の節》 4 《ルーンの光輪》 3 《抑制の場》 4 《亡霊の牢獄》 3 《ファイレクシアの非生》 1 《忘却の輪》 4 《神聖の力線》 2 《安全の領域》 1 《鳩散らし》 2 《ドラゴン変化》 1 《圧倒的輝き》 4 《不朽の理想》 -呪文(37)- |
4 《沈黙》 3 《安らかなる眠り》 2 《偉大なるオーラ術》 1 《払拭の光》 1 《血染めの月》 1 《忘却の輪》 1 《軍勢の集結》 1 《捕縛の言葉》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 -サイドボード(15)- |
『スカージ』で登場して以来、誰もが使いたいと思った遊び心とカードパワーが融合したエンチャント、《ドラゴン変化》。《不朽の理想》からこれを叩きつけて勝つ!というのがこのデッキの狙いだ。
ただ、何も考えずにこのエンチャントを貼るだけで勝てるほど現実は甘くない。そこでまず《不朽の理想》からサーチするのが《鳩散らし》。
これで自分のみならず、相手も呪文を唱えて自由に動くことができなくなる。呪文は打ち消され、鳥・トークンとなるのだ。このトークンは飛行を持っているので《ドラゴン変化》を貼っていてもこちらを攻撃してくる。そこで《圧倒的輝き》で飛行を失わせたり、《亡霊の牢獄》《安全の領域》などを複数展開して攻撃できない状況に持っていく。《ルーンの光輪》《神聖の力線》もプレイヤーを護ってくれることだろう。
こうして盤面で死なない・相手の追加戦力はオート打ち消しという護身完成状態となったら、ドラゴンになって火を噴いていくという……子どもの空想のような勝ち方を体感させてくれる、夢に溢れたデッキなのだ。
デッキに採用されているカードはほぼエンチャントであり、クリーチャー除去すらも《斑岩の節》を使用している。
ここまで徹底することで、《不朽の理想》からデッキ内のすべてのカードにアクセスが可能となっている。理想を掲げるには、中途半端な心構えではいけないということか。
《不朽の理想》以外で唯一、エンチャントでも土地でもないカードとして採用されているのが《睡蓮の花》。重い《不朽の理想》を唱えるためにはなくてはならないもの。このカードをしっかり採用しているあたりも、ただ理想を謳っているだけのデッキではないことが窺える。ついついエンチャントオンリーにしたくなっちゃうけど、それじゃモダンのデッキの速度という現実に押しつぶされちゃうんだよな。
徹底して攻撃されることを防ぎ、《ファイレクシアの非生》まで採用して生き残ることを最優先に構築されているため、妨害手段の乏しいクリーチャーデッキ相手には有利に戦えるだろう。妨害手段も兼ねたクリーチャーを多数展開する人間デッキ相手にはそう簡単にはいかないが、だからこその《斑岩の節》4枚という思い切った構築。何も焦って勝ちに行くデッキでもないので、死なないよう死なないよう丁寧に耐えるための戦場づくりを心がけよう。安全に《不朽の理想》を唱えることができたなら、もう勝利は目の前だ。
キーカードが重く、またそれに依存したデッキでもあるので常に勝ち続けられるデッキでもない。が、使っていて楽しい、唯一無二のマジック体験を提供してくれるデッキであることは間違いない。自分の理想を追い求めることが苦しくなってきたら、このデッキで気分転換すると良いんじゃないかな! さて、こちらの《宝物庫襲撃》デッキの方は……う~む……。
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