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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
スティール・ストンピィ(レガシー)
エターナル・ウィークエンド・アジア2018の配信中、ちょっと面白いことがあった。フィーチャーマッチに登場したデッキについてコメントしたところ、ちょっとした混乱が生まれたのだ。
そのデッキは「スティール・ストンピィ」。黒田正城さんが「これはスティール・ストンピィやね」とコメントした際などに「《鉄葉のチャンピオン》はレガシーでも強いのか」などのコメントがチャット欄に流れた。そうそう3マナ5/4……って違うんだなこれが。スタンダードで活躍中の同カードを主軸とした緑単およびそれに準ずるデッキは「スティールリーフ・ストンピィ」と呼ばれることがある。スティール「リーフ」なのだ。
対して、件のデッキ名は「スティール・ストンピィ」。この2つの類似したデッキ名について説明するには、まず「ストンピィ」というマジック用語について説明した方が良さそうだ。
「ストンピィ」とは擬音語である。巨大なものが何かを踏み潰す際の音だそうで、これが最初にデッキ名に用いられるようになったのは『ミラージュ』~『エクソダス』くらいの環境のころ。1マナ3/3の《はぐれ象》を用いた軽量クリーチャーによるビートダウンを、象が踏み潰すさまからこのように呼ぶようになったらしい。後に《ガイアの揺籃の地》《怨恨》《樫の力》などが登場し、「ストンピィ」は一躍有名なデッキ名となった。その後も同様に軽いクリーチャーで序盤から殴るデッキを「○○ストンピィ」と呼んだりしたが、レガシーにてその定義が大きく変わることに。
《古えの墳墓》《裏切り者の都》など2マナ土地から加速し、1ターン目から《虚空の杯》《三なる宝球》などで相手を妨害し、《ラクドスの地獄ドラゴン》《賛美されし天使》《海のドレイク》などの中型・高打点のクリーチャーを高速展開して殴り勝つデッキを「ドラゴン・ストンピィ」「エンジェル・ストンピィ」「フェアリー・ストンピィ」などと呼ぶようになった。(なんで最後のはドレイクじゃなくフェアリーなのかって? それはまたの機会にな!)
高速展開するビートダウン=ストンピィというニュアンスが拡大解釈され、以後スタンダードでは緑絡みの軽量ビートを、レガシーでは2マナ土地から高速展開するデッキを、それぞれ「ストンピィ」と呼ぶようになったってわけだ。どちらも序盤から攻め攻めな点は共通するが、アプローチは大きく異なるね。
で、長くなったが今回は「スティール・ストンピィ」の紹介だ。スティール=鋼ということで、アーティファクト・クリーチャーでビートするデッキを最近ではこう呼ぶ。鋼とくれば思い浮かぶ《鋼の監視者》ももちろん搭載されており、これが活きる設計になっている。
モダンの「親和」デッキのアッパーバージョンとも言えるリストを、それじゃあ見ていこう!
4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 4 《ちらつき蛾の生息地》 2 《絡みつく砂丘》 2 《カラカス》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《不毛の大地》 -土地(21)- 4 《電結の荒廃者》 4 《鋼の監視者》 4 《大霊堂のスカージ》 2 《ファイレクシアの破棄者》 3 《刻まれた勇者》 1 《鋳造所の隊長》 1 《難題の予見者》 3 《歩行バリスタ》 1 《搭載歩行機械》 -クリーチャー(23)- |
4 《水蓮の花びら》 2 《オパールのモックス》 2 《溶接の壺》 4 《虚空の杯》 4 《アメジストのとげ》 -呪文(16)- |
2 《難題の予見者》 3 《魔術遠眼鏡》 2 《漸増爆弾》 2 《罠の橋》 4 《虚空の力線》 2 《ウルザの後継、カーン》 -サイドボード(15)- |
2マナ土地から《虚空の杯》《アメジストのとげ》を繰り出し、相手の1~2マナの呪文やクリーチャーでない呪文を唱えることを妨害する。これらの影響下ではこちらのクリーチャーは除去される可能性が低くなる。安全を確保したら、《電結の荒廃者》《鋼の監視者》《大霊堂のスカージ》といったモダンでも活躍するクリーチャーたちをバシバシ展開し、これらを強化しながら殴りきる……戦略自体は実にシンプル。誰でもすぐにデッキのやりたいことを理解できプレイできる、良いデッキである。
妨害手段は用意されているが、例えば「赤単プリズン」のように完全にロックしてしまえるほどには設計されておらず、妨害が破られることもしばしば。あくまで足止めであり、対戦相手の手が止まった隙に挽回不能な状態まで盤面を構築する、割り切りというかアグレッシブさが必要なデッキである。あくまでストンピィ、攻めの姿勢は忘れずに。
その攻めの姿勢を体現するのは《電結の荒廃者》か。
複数枚重ね引いたマナ加速や妨害アーティファクトはこいつに食わせて打点に変換していこう。そのまま殴って、ライフがピンチになれば自身を生け贄にして接合能力で《大霊堂のスカージ》を強化したり、《歩行バリスタ》や《搭載歩行機械》とシナジーを形成したり……とにかくいろいろやれるので、常にこのカードの最大効率を考えながらプレイしたいところ。油断している相手を一気に詰みまで持っていこう!
荒廃者がキーということで、普段はモダンで「親和」をプレイしているという人にもお勧めしたいデッキだ。このデッキではアーティファクト以外のカードとして打点と妨害を兼ねる《難題の予見者》が採用されたが、エターナル・ウィークエンド・アジア2018ではこのデッキにメインから《窒息》を採用した、アンチ青の強襲仕様デッキも登場した。ベースが無色なので、逆にいろいろ練れるのは良いところだ。これをベースに新しい「○○ストンピィ」を作ったりもしてほしいね!
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