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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
サバイバル(ヴィンテージ)
マジック25年の始まりのセットから最新セットまで、一部のカードを除き禁止はなくあらゆるパワーカードをプレイできるフォーマット、ヴィンテージ。最もパワフルな呪文が飛び交う、プレイしても観ていても楽しい環境だ。
ヴィンテージはグランプリやプロツアーのフォーマットには採用されていない。ゆえに趣味色の強いフォーマットとなるのだが、ヴィンテージプレイヤーたちはグランプリでレガシーを楽しむプレイヤーたちを羨ましく思っていたに違いない。競技イベントとして、大きな舞台で真剣勝負を楽しみたい! そんなプレイヤーたちはエターナル・ウィークエンド・アジア2018で報われたに違いない。予選ラウンド8回戦と決勝ラウンド3回戦、思う存分ヴィンテージを楽しんだ彼らの表情はイイものだった。
なぜヴィンテージをプレイするのか? このトーナメントの参加者たちに聞いたとしたら「ここでしか使えないカードがあるから」という回答が多いんじゃないかな。先述の通りヴィンテージでは基本的に禁止カードがなく(あくまで基本的に!)、どれだけデンジャラスなカードでも制限カードという形でデッキに1枚は採用が可能だ。
また、クリーチャー関係のカードは他のフォーマットでは禁止でもヴィンテージであれば野放しということが多い。例えばモダンでは随分と前に、レガシーではこの夏に禁止カードとなった《死儀礼のシャーマン》もヴィンテージなら4枚使うことができる! このカードに思い入れの強いプレイヤーはこのフォーマットでもこの1マナクリーチャーを駆使していることだろう。
同じように、しばらく前にレガシーで禁止になるもヴィンテージでは自由に使えるということで根強い人気を獲得しているカードがある。《適者生存》(サバイバル)だ。
このエンチャントは、1998年ごろからマジックをしている世代にとってはひとつの象徴であり、このカードこそマジックであると言い切る人がいてもおかしくはない。クリーチャーカードを捨てることで何でも好きなクリーチャーをサーチすることができるこのエンチャントは、将来的なクリーチャーのデザインを狭める恐れがある点、そして《復讐蔦》と組み合わせることでとんでもない強さのビートダウンデッキを生み出してしまったことでレガシーで禁止となる。モダンで輝きを放っている「ブリッジヴァイン」の超絶アッパーバージョンのデッキだったわけだが、今のヴィンテージではこの《適者生存》&《復讐蔦》デッキに《虚ろな者》を搭載できるってわけだ。
「サバイバル」デッキの最新型、その目に刻んでくれ!
1 《森》 3 《Savannah》 2 《Tropical Island》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《霧深い雨林》 2 《新緑の地下墓地》 2 《樹木茂る山麓》 4 《Bazaar of Baghdad》 -土地(18)- 4 《日を浴びるルートワラ》 4 《貴族の教主》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《Elvish Spirit Guide》 1 《刻み角》 1 《呪文捕らえ》 1 《ゴブリンの太守スクイー》 4 《復讐蔦》 1 《不可思議》 4 《虚ろな者》 1 《わめき騒ぐマンドリル》 -クリーチャー(26)- |
1 《Black Lotus》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Sapphire》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Emerald》 1 《Ancestral Recall》 4 《適者生存》 3 《石のような静寂》 1 《アメジストのとげ》 1 《Time Walk》 -呪文(16)- |
4 《封じ込める僧侶》 1 《戦争の報い、禍汰奇》 2 《ゴブリンの太守スクイー》 1 《博覧会場の警備員》 1 《薄れ馬》 2 《墓掘りの檻》 1 《無のロッド》 1 《石のような静寂》 1 《魔力流出》 1 《虚空の杯》 -サイドボード(15)- |
ヴィンテージには《適者生存》の他にもう1つ、手札を何度も捨てることのできるパーマネントがある。《Bazaar of Baghdad》(バザール)。タップするだけで2枚引いて3枚捨てるこの土地との二段構えで《復讐蔦》を走らせる!これぞヴィンテージでしかできないアクションだ。
手札を捨てた枚数1枚につきコストが{2}軽くなる《虚ろな者》は、サバイバルを3回起動するかバザールをタップすると{0}で唱えられる。なんてこったい!
これに加えて、手札から捨てるとマッドネス能力で同じく{0}で唱えられる《日を浴びるルートワラ》を用いて、1ターンに2回のクリーチャー呪文という《復讐蔦》の復活条件を軽々クリアしてしまう。サバイバルもバザールも、どちらも《復讐蔦》を墓地に送り込む手段とこれら0マナクリーチャーを唱える術を兼ねているのが強い! モダンの《ゴブリンの知識》や《燃え立つ調査》と違って、捨てるカードを自分で選べるのも良い。
バザールかっ飛びパターンであれば、1ターン目に戦場に《虚ろな者》《復讐蔦》《日を浴びるルートワラ》という9点クロックの形成も可能。実際に、決勝戦ではこの動きで対戦相手に残されたターンをわずかなものにしてそのまま圧倒していた。
ヴィンテージでは多くのデッキがクリーチャーを採用しておらず、《剣を鍬に》を4枚採用したデッキなどほとんどない。なので、こういった開幕ダッシュを阻む手段を持つデッキは少ないのだ。《虚ろな者》に泣く泣く《意志の力》を唱えるプレイヤーの姿もトーナメントを通して見かけることがあった。青いコンボとも同等のスピードを持ち、制限カードに依存しないので確実性も高い理想のコンボだと言える。
サバイバルを通じて《復讐蔦》を繰り出す場合は、バザールよりマナもかかり大人しいものの、こちらの売りは長期戦になった際の強さ。クリーチャーカードを何でもサーチできるので、その状況に適したクリーチャーをサーチしてきて戦場に投下することができる。クリーチャーを主軸としないデッキ相手には《スレイベンの守護者、サリア》で行動妨害、《逆説的な結果》でアーティファクトを出し入れするデッキには《刻み角》が刺さり、こちらが青くないので大胆に行動してきた相手には《呪文捕らえ》、クリーチャーを用いるデッキには《不可思議》でブロッカーを飛び越えてゲームエンド……とやれることは多彩だ。
これらのカードを《ゴブリンの太守スクイー》を使いまわしてサーチする、という昔ながらの戦略で長期戦になってもリソースが尽きず安心だ。
このデッキはMagic Online上で最近じわりじわりと頭角を現してきたサバイバルデッキをもとに、もっとコンボデッキ相手に戦えるようにと《石のような静寂》《アメジストのとげ》などをメインに採用する調整が施されたものだそうだ。その調整の結果、見事にエターナル・ウィークエンド・アジア2018のヴィンテージ王者へと輝いた。
結果には驚いたし、ゲームも観ていて最高に面白かった素晴らしいデッキだ。アジアの頂点に立ったことで、サバイバルはこれまでよりも注目を浴びることになったに違いない。この結果を受けて、他の地域でのエターナル・ウィークエンドの結果がどのようになるのか? これも今から楽しみだ!
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