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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

Return of the Living Dead:ゾンビデッキ復活!(スタンダード)

岩SHOW

 某ゾンビもののドラマでシリーズの主人公がついに交代するというニュースと同じくらいのタイミングで、『基本セット2019』はゾンビだらけのセットだということが判明した。これは単なる偶然だろうか(偶然です)。

 思えば映画もマジックも、ずっとゾンビ好きで気が付けば30代。《アンデッドの王》《死人カタパルト》《蛆たかり》を使ったゾンビデッキが本当に好きだったなぁ……《死人カタパルト》はカード名もヤバすぎるしイラストも一体何がどうなってるのかよくわからんが迫力満点で、かつ機能しだすと結構強くて……心の底から好きなカードである。

 ちょっと話がそれそうだが、戻って……『基本セット2019』でゾンビデッキが得たものをまとめよう。

  • 戦墓のグール》:1マナ2/2、これと言った能力はないが、《戦慄の放浪者》とあわせて1ターン目から動けることは重要。
  • 墓地の司令官》:2マナ3/2と打点があり、かつ墓地のクリーチャーカードをゾンビ・トークンにする能力で後半にも大活躍。《燻蒸》などのリセット呪文で崩壊しがちなゾンビデッキの立て直し要員として期待大。
  • 死の男爵》:男爵!英語でデスバロン!《呪われた者の王》と併せてロード(全体強化能力持ち)が8枚体制になり、盤面構築がより容易に。接死付与能力も、サイズで押されがちな緑のデッキなどに対して強烈に作用すること間違いなし。
  • 死が触れぬ者、リリアナ》:すべての能力がゾンビに関する新リリアナ。能力はまだまだ未知数?

 こんなところかな。誰がどう見ても強い《墓地の司令官》から、使ってみないことには強いのか弱いのかも見えてこない《死が触れぬ者、リリアナ》と、デッキを作ってみたくなるラインナップだ。

 そんなわけで『基本セット2019』発売直後より、世界中のゾンビ・ラバーズがデッキ構築を楽しんでいるようである。僕も実際に黒単で組んだりしてみたが……個人的にはこういう形のゾンビデッキが一番強いかな、と今のところ思っている。そのリストがこれだ!

taratama - 「黒白ゾンビ」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年7月15日)[MO] [ARENA]
8 《
2 《平地
4 《秘密の中庭
4 《孤立した礼拝堂
4 《手付かずの領土
3 《イフニルの死界
-土地(25)-

4 《戦墓のグール
4 《戦慄の放浪者
4 《墓地の司令官
4 《むら気な召使い
4 《死の男爵
4 《呪われた者の王
-クリーチャー(24)-
2 《致命的な一押し
2 《喪心
1 《ヴラスカの侮辱
4 《リリアナの支配
2 《死が触れぬ者、リリアナ
-呪文(11)-
2 《惨劇の悪魔
3 《強迫
1 《致命的な一押し
1 《アルゲールの断血
1 《失われた遺産
2 《没収
1 《神聖の発動
1 《イクサランの束縛
1 《ヴラスカの侮辱
-サイドボード(13)-
 

 「黒白ゾンビ」だ! 白の要素は《むら気な召使い》。

 ゾンビが出れば出るほど対戦相手のライフを掠め取るナイス2マナ圏。『アモンケット』発売直後のゾンビ全盛期において、この召使いを採用した白黒かあるいは黒単か、ゾンビデッキ好きの間では意見が割れたものである。

 最終的に、安定して運用できる点・召使いなしでも十分にライフを奪える点から黒単がゾンビデッキの王道となった。だが、あれから時間も経ち、《孤立した礼拝堂》《手付かずの領土》と問題なく2色デッキを運用できる土地も手に入れた。白を足すことで得られる恩恵が以前よりもかなり大きくなったのではないだろうか。

 デッキの動きは大きく変わることはない、伝統的なゾンビデッキの動きを取る。1ターン目からしっかりとクリーチャーを展開し、隙があればそれらで殴ってライフを詰めていく。対戦相手の方が大きなクリーチャーを展開してきた時などは無理をせず、自身の戦場を強くすることを優先する。最終的に二大ロードと《リリアナの支配》でサイズと数で勝っている状態に持ち込み、総攻撃で圧殺する。速攻パターンもあるが、じっくりと戦場を作ることに長けたデッキである。

 《むら気な召使い》がこのゾンビデッキにおいて「やりよる」点は、新カードの強さを増すという点にもある。

 《墓地の司令官》の能力でトークンを出して召使いでライフを吸う。全体除去の後の立て直しにはこの2枚があれば十分なレベルだ。《死が触れぬ者、リリアナ》との相性は最高だ。彼女の[-3]能力もゾンビを墓地からプレイしまくることで盤面をゾンビまみれにできるのだが、召使いが入れば攻撃せずともそれらのゾンビを出すだけで相手のライフをごっそり失わせることができる。この動きがなかなかエグくて、対コントロールデッキにおいてはこれで詰みの状態に持っていくこともできる。ゾンビを唱えてライフを削ってと何度も繰り返すさまは、さながらストームデッキのようである。リリアナのポテンシャルを活かすには、黒単よりも黒白の方が良いなと、実際に使ってみても感じた次第だ。

 新カードのおかげで、以前よりもコントロール系のデッキ相手には戦いやすくなったように思う。後はサイドボードにしっかりと苦手なもの対策……例えば《副陽の接近》対策の《失われた遺産》、《王神の贈り物》対策の《没収》を用意しておけば安泰だろう。白を足すことでアーティファクトやエンチャントへの耐性がやや上がっているのも嬉しい点だ。

 いや~ゾンビデッキは本当に大収穫だった。お腹一杯である。――そう満足する岩SHOWの背後に、1体のゾンビが静かにたたずんでいた。

 悪夢はまだ終わらない(つづく)。

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