READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

赤単王神(スタンダード)

岩SHOW

 《ゴブリンの鎖回し》は歴代ゴブリンの中でもかなりイカした1枚で、カード1枚で2体以上のクリーチャー&プレインズウォーカーを落とせる可能性を持っている。

 その上で本人は3/3先制攻撃と殴っても守っても強いハイスペックっぷり。今後スタンダードを中心に大車輪の活躍を見せる予感だ。《ラノワールのエルフ》だったり《地揺すりのケンラ》だったり《機知の勇者》だったり、優秀だがタフネスは1、というクリーチャーが使われ続ける限り、今日もゴブリンは鎖をブン回す!

 そんな鎖回し以外にも、『ドミナリア』では新規……というか再録のゴブリンカードが多数ある。《ゴブリンの戦長》《スカークの探鉱者》《包囲攻撃の司令官》……あぁ、蘇るぞ青春が。さすがはゴブリンの本場、ドミナリア。

 せっかくだからこれらのゴブリン・シナジーを活かしたデッキを構築してみたいところ。現スタンダードには、『イクサラン』ブロック出身のゴブリンがそこそこいる。これらと組み合わせれば……強い、そして楽しいデッキが出来るに決まっている!

 そんなわけで、今日のデッキは赤単の《スカークの探鉱者》が大活躍するデッキだ!

Robert Vaughan - 「赤単王神」
StarCityGame.com Standard Classic Atlanta 7位 / スタンダード (2018年4月29日)[MO] [ARENA]
22 《
-土地(22)-

4 《ボーマットの急使
4 《スカークの探鉱者
3 《狂信的扇動者
3 《ずる賢いゴブリン
4 《戦闘の祝賀者
4 《ゴブリンの鎖回し
4 《荒くれ船員
4 《歩行バリスタ
-クリーチャー(30)-
4 《来世への門
2 《王神の贈り物
2 《反逆の先導者、チャンドラ
-呪文(8)-
2 《熱烈の神ハゾレト
3 《包囲攻撃の司令官
3 《マグマのしぶき
4 《削剥
3 《火による戦い
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 「赤単王神」だ! クリーチャーを墓地に送り込んで《王神の贈り物》を戦場に出し、これの能力で4/4速攻ゾンビを量産して対戦相手を圧殺する……「GPG」や「ギフト」、「王神デッキ」と呼ばれる一連のデッキ群に赤単バージョンが新加入。

 これまでも赤単で組めないということはなく、僕も『イクサラン』ブロック+『アモンケット』ブロック構築期だったMTG Arenaで組んだりしていたが(Arenaの話題が初めて出たね、今度掘り下げてみよう!)、どうにもあと一押し足りないと思っていたところ。

 そこに救世主のごとく登場したのが《スカークの探鉱者》。

 コイツはゴブリンを生け贄に捧げると赤マナに変換してくれる。鉱山に潜り込んで落盤もおかまいなしにマナを掘ってきてくれる、実にゴブリンらしいデザインで……そしてかつては《頭蓋骨絞め》《総帥の召集》などと強烈なコンボをかましてくれた、フレイバーと実力を兼ね備えたゴブリンカードの傑作なのだ。これが加入したことで、赤単でゴブリンを多めに採用した王神デッキというものがきちんと形になった。喜ばしいね。

 青い王神デッキは、青のドロー操作呪文で墓地にカードを貯める。《機知の勇者》が使えることが大きい。それらがない赤単の場合は、クリーチャーは戦場から墓地に送り込む。最近流行りの青赤型だと、青いカードで墓地にクリーチャーカードを6枚以上送ってから《来世への門》を出して能力を起動→《王神の贈り物》が戦場へ、という動きをする。

 赤単の場合は、クリーチャーと《来世への門》を戦場に出し、クリーチャーを死亡させることで門の能力を誘発させ、カードを引いて捨てるルーター能力を用いて墓地へとカードを送っていく。

 これまでは《狂信的扇動者》と《歩行バリスタ》くらいしか能動的にクリーチャーを死亡させる手段はなかったのだが、ここに《スカークの探鉱者》が加わることで行動の幅が大きく広がった。《ずる賢いゴブリン》を戦場に出して生け贄に捧げると、自身の能力で宝物を得つつ炭鉱者の能力で赤マナを得て……実質無料のフリースペルとなりつつ、墓地のクリーチャーの枚数を増やしながら1点のライフを得て、さらにもう1枚クリーチャーを捨てることまでできる。

 ドローがなくったって、《王神の贈り物》サーチまであっという間だ。また、マナを生み出すことができるため《王神の贈り物》を7マナ払って素出しという動きが取れるのも大きなメリット。

 戦闘フェイズを連鎖的に発生させ、一気に勝負を決めてしまう《戦闘の祝賀者》や、墓地を肥やすのを助ける《ボーマットの急使》など青赤型の赤いパーツと、《ずる賢いゴブリン》《ゴブリンの鎖回し》など赤単でこそ運用できて炭鉱者と相性の良いカード、《来世への門》4枚と《王神の贈り物》2枚の王神パッケージ……これらで大体デッキは完成するのだが、この赤単デッキではさらに《荒くれ船員》を採用しているのが面白い。

 4マナ3/3でカードを3枚引いて2枚ランダムに捨て、墓地肥やしに貢献。かつ、捨てたカードが同一タイプなら5/5にサイズアップ。このデッキにはクリーチャーが30枚も採用されているので、このボーナスを得られる可能性は比較的高い。5/5トランプルでプレッシャーをかけながら贈り物で勝つ、二段構えの戦法を決めてやろう。

 サイドボードはこの上なくシンプルで、とりあえずクリーチャー除去をどっさりと。《熱烈の神ハゾレト》と帰ってきた《包囲攻撃の司令官》の姿も。

 おそらく、サイド後には相手によっては王神コンボを全て抜いてしまい、普通の赤単ビートダウンへと変形するのだろう。対戦相手の《没収の曲杖》などの墓地対策を完全に無駄なカードにして、盤面で勝負しようというわけだ。こういうポジティブさもイイネ! 墓地を利用するデッキは対策されやすいので使うタイミングを見極めるか、開き直るかのどっちかにすると良いぞ。

 色事故もなく、デッキを変形させることも容易な「赤単王神」。今後、流行りそうな予感!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索