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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
青黒オムニテル(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青黒オムニテル(レガシー)
by 岩SHOW
マジック史上最強のカードとは何だろうか。無から3マナを生み出す《Black Lotus》、1マナで3枚ドローの《Ancestral recall》なんかはダントツの壊れカード。あるいは《島》or《山》、というのは昔からの定説。正直なところ、これだと決められない難しい質問である。
では、テキストに書かれていることに絞って考えてみよう。「あなたはあなたの手札にある呪文を、それらのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。」なんてなかなかのヤバさではないか? 無限の領域に片足を突っ込んでいるようなものだ。
これだけ派手な能力を持っているカードは《全知》。
文字通り何でもできるようになる、この恐ろしいエンチャントは......そのコストがトリプルシンボル込みの10マナと大変に重い。まあ、こんなカードが軽かったりしたら大変に困るのでこれで良い。
基本的には重すぎるためこれを投入できるデッキというものもないのだが......レガシーであれば、《実物提示教育》からサクッと簡単に出せてしまう。たった3マナで全知全能の存在になれるとしたら......賭けてみる価値はある。今日紹介するデッキはレガシーのコンボデッキ「オムニテル」!
4 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 3 《裏切り者の都》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 -土地(20)- 3 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(3)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《定業》 4 《思考囲い》 1 《狼狽の嵐》 4 《リム=ドゥールの櫃》 4 《狡猾な願い》 4 《実物提示教育》 4 《意志の力》 4 《全知》 -呪文(37)- |
1 《外科的摘出》 1 《狼狽の嵐》 1 《削剥》 1 《残響する真実》 1 《エラダムリーの呼び声》 1 《ハーキルの召還術》 1 《蟻の解き放ち》 1 《コジレックの帰還》 1 《急流》 1 《拭い捨て》 3 《神聖の力線》 1 《裂け目の突破》 1 《火想者の予見》 -サイドボード(15)- |
どんなデッキ?
《実物提示教育》を通すことでの勝利を目指す瞬殺コンボデッキ。このデッキの勝ち方は主に2つ。
- 《引き裂かれし永劫、エムラクール》の攻撃で勝利
- 《蟻の解き放ち》によるライフ焼き切り
エムラクール・ルートは簡単で、《実物提示教育》からこれをポンと出すだけでもOK。
ただ、この戦法はカード2枚でお手軽に決まるのが良いところだが、《カラカス》や《悪魔の布告》などのカードで割と簡単に対処されてしまうのが弱点。
より確実性を増すために、間に《全知》を噛ませたい。《実物提示教育》→《全知》と動いて15マナのエムラクールをマナを払わずに唱えて、追加ターン能力を誘発させて安全アタックだ。エムラクールが手札にないのであれば《狡猾な願い》から《エラダムリーの呼び声》を持ってきて、こいつでサーチしてやろう。
《蟻の解き放ち》ルートは少々ややこしい。
まずは《全知》を提示するところまでは同じ。そこから《狡猾な願い》を唱えてサイドボードの《火想者の予見》を手札に加える。そしてこれを唱えて、《狡猾な願い》《渦まく知識》をサーチ。
《渦まく知識》で手札のエムラクール or 《全知》をライブラリーの一番上に置いたら、《狡猾な願い》から《蟻の解き放ち》に繋げてこれを唱える。対戦相手に1点のダメージを与え、「激突」で対戦相手よりも重いカードがめくれることでこれが手札に帰ってくる。この動作を好きなだけ繰り返して、対戦相手のライフを焼き尽くすことで勝利を手にするわけだ。
テクニック!
《裂け目の突破》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》:速攻付きエムラクールですぐさま盤面を流しつつライフを攻められるだけでなく、いざという時にはインスタントタイミングでエムラクールを戦場に出すことでブロッカーとして用いることも可能。そんなゲーム展開があるのかって? 実際にグランプリ・京都2015でこのテクニックが炸裂した瞬間はこちら。
グランプリ名シーンとして後世まで語り継ぎたい、しびれるプレイだったなぁ。
注目のカード:《リム=ドゥールの櫃》
このデッキは青単・あるいは青赤で組まれることが多いのだが、このリストでは黒が足されている。どんなデッキにも刺さる万能妨害手段《思考囲い》と、そしてこのカードを用いるためにだ。
最近のプレイヤーはあまり知らないカードかもしれないが、昔々のコンボデッキにおけるドロー操作手段といえばこれだった。手札は増えないが、ライフを払い続けることで何度もライブラリーの上から5枚のカードを見ることができる。最終的に納得のいく5枚が見つかればそこでストップして、好きなように並べ替える。
1マナドロー操作の追加枠として採用されているのだが......このカードが選ばれている理由は現環境の流行りのデッキのせいでもある。とりあえず《全知》を置いてからドロー呪文を連打して手札を整え勝利に向かうこのデッキにとって《虚空の杯》は天敵である。これをX=1で設置されてしまうと、いくら《全知》状態であってもまずはこれに対処しなければ話にならなかった。《蟻の解き放ち》Winも《渦まく知識》によるお膳立てが必要であるため、杯対策と《火想者の予見》を両方サーチするための《狡猾な願い》2枚が必要であったわけだ。
《リム=ドゥールの櫃》はこの問題を打破する力がある。《火想者の予見》からこれと《狡猾な願い》をサーチ、願いから《蟻の解き放ち》を持ってきたら《リム=ドゥールの櫃》でエムラクールがデッキの一番上に来るようにライブラリー操作して蟻を放ちまくって終了! 1マナのカードを利用しないため《虚空の杯》で邪魔されず、《狡猾な願い》1枚からコンボを決められる。手札にエムラクールがない、という状況でもこの動きで勝利できるので、杯に関係なくこのルートを選択することもある。
《全知》設置後のなんでもやりたい放題っぷりは、このデッキ唯一無二のもの。状況判断能力が問われるため初心者には扱いづらいデッキではあるのだが、一人回しでも良いので練習を続けることでスピーディーなプレイが体に染みつくはずだ。この手札ならどの勝ち方を狙うのが確実か、見定めながら完璧に立ち回る姿はカッコイイぞ。これぞコンボだ!というデッキを求めている方、全知全能なる力をぜひともその手に。
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