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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マスターマインド・ランプ(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マスターマインド・ランプ(スタンダード)
by 岩SHOW
つい先日、《アゾールの門口》を《太陽の聖域》に変身させ、大量のマナから《霰炎の責め苦》をぶっ放す豪快な勝ち方が魅力の「アブザン・コントロール」をご紹介した。何度この字面を見ても「無茶苦茶するデッキ」であるなぁと感心するものだ。
《霰炎の責め苦》というカードは、大量のマナを注ぎ込んでようやくフィニッシャーとして機能するカードで、中途半端なコストで用いても相手を仕留めることも盤面を流し去ることも手札を攻めることもできない。なので、あまりデッキに枚数を入れたくないカードである。このデッキでは《首謀者の収得》を採用し、霰炎はメインに採用せずにサイドから引っ張ってくるという構築を取り入れた。これでゲーム開始時の手札にコンニチハして「実質ワンマリガンかぁ」なんて思うことはないわけだ。
《首謀者の収得》というカードは何でもサーチでき、ライブラリーからでもサイドボードからでもOKというその融通の利きっぷりが魅力だ。なかなかここまで便利なサーチ呪文も珍しく、4マナというコストさえ許容できればガンガン使ってみたいものである。4マナくらいなんでもないと運用できるデッキと言えば......あるじゃないか、ランプが。
以前ランプというマジック用語を説明してから随分と経ったので、復習がてら説明させていただこう。ランプとはアラビアンなランプ(lamp)でも牛ステーキのランプ(rump)でもなく、「傾斜する」などの意味を持つ英単語「ramp」のこと。「Ramp up」で「増加(上昇・成長)させる」という意味になり、マナの生産量を上昇させて大きなマナ・コストを持ったカードを唱えて勝つデッキを自然と「ランプ」と呼ぶようになった。黒や赤の一時的にマナを得る呪文を使うデッキはこれに分類されず、緑のライブラリーから土地を出したりマナを生み出す能力を持ったクリーチャーを用いて継続的に利用できる大量のマナを確保するデッキがこう呼ばれる。
話は戻って......ランプデッキであれば、10マナ以上生産することだって容易い。《首謀者の収得》から重たいカードをサーチしてきてそのまま叩きつけるなんて動きは、苦ではない。むしろメインデッキはマナを増やすカードと生き延びるためのクリーチャー除去を優先採用して、手札にやってくると序盤は邪魔でしかない重たいフィニッシャーをサイドボードに置いておくという構築は理にかなっている。ランプの理想形とも言えそうだ。
さあ、実際に作られたパワフルなデッキリストを見てみよう!
2 《森》 4 《沼》 4 《花盛りの湿地》 2 《異臭の池》 1 《ハシェプのオアシス》 3 《不屈の砂漠》 3 《イフニルの死界》 2 《栄光の砂漠》 1 《シェフェトの砂丘》 1 《大瀑布》 1 《オラーズカの拱門》 1 《屍肉あさりの地》 1 《廃墟の地》 -土地(26)- 2 《殺戮の暴君》 -クリーチャー(2)- |
4 《致命的な一押し》 3 《渇望の時》 2 《魔学コンパス》 4 《大災厄》 4 《楽園の贈り物》 1 《不敬の行進》 4 《ヴラスカの侮辱》 2 《首謀者の収得》 4 《約束の刻》 1 《サンドワームの収斂》 3 《橋上の戦い》 -呪文(32)- |
1 《豪華の王、ゴンティ》 1 《スカラベの神》 1 《原初の潮流、ネザール》 1 《原初の災厄、ザカマ》 2 《強迫》 2 《アルゲールの断血》 1 《失われた遺産》 1 《不敬の行進》 1 《途方もない夢》 1 《ヤヘンニの巧技》 2 《副陽の接近》 1 《絶滅の星》 -サイドボード(15)- |
「アブザン・コントロール」と似通った部分は多い。違いとなると、ロマンあふれる《アゾールの門口》を用いていないこと。ロマン重視ではなく《楽園の贈り物》《約束の刻》でマナを伸ばし《魔学コンパス》で確実に土地を手に入れて......地盤をしっかり固めて行ってナチュラルにビッグなマナを目指そう!という真面目な形になっている。
《アゾールの門口》を変身させる必要がないので、マナ・コストをばらけさせた構築をする必要がない。その点でも、かなり真面目というか素直な構築がされているリストだ。
やることはとにかく簡単。マナを伸ばして除去を撃つ。以上ッ! かつてのランプのような《コジレックの帰還》と《絶え間ない飢餓、ウラモグ》による盤面大掃除という動きはできないので、以前よりも丁寧さが求められるようになった点には注意。いつだって最優先は生き延びること。一手でドカンとり返せなくなったので、とにかく死なないような立ち回りを意識したい。生きてさえいればマナは伸びて、いつか勝つことができる。よりコントロールデッキとしての意識を求められるようになったが、それでもカードパワーで押せる展開もあるし、難しい手順を要求されることもないのでご安心を。
生き延びてマナも揃った先に待つ、勝利のための手段は......とにかく、色々。《殺戮の暴君》で殴り勝つ、《不敬の行進》や《サンドワームの収斂》でゲームを支配する、そして《首謀者の収得》から得たもので......アッと言わせてやるのだ。
《副陽の接近》が間に合いそうならそれで勝ちにいくもよし。これを使って勝ちに行く場合は《オラーズカの拱門》でドローを進めると早くなる。
《スカラベの神》で捌き切ったクリーチャーをいただくのもいいね。《原初の潮流、ネザール》なんてカッコよすぎてサーチしただけで勝ちみたいなもんだ。
そして《原初の災厄、ザカマ》!!! 恐竜王の姿を見ることになるとは!
このカードのテキスト欄は「Your dream」と書いてあるようなもの。ランプであれば、唱えて起こした土地から起動型能力をやりたい放題大連発で勝利することができるだろう。ぜひこのカードでフィニッシュしたい。
他にも生き残るための手段がサーチ先になっている。そしてこれらすべてを回収できてしまう《途方もない夢》というカードまである。
これで《首謀者の収得》を使いまわせるので、1枚目は安心して生き延びるために使うこともできるね。このカード名、まさしくこのデッキリストのことを指しているよなぁ......。
皆もとんでもないカードに心惹かれたら、それを使うことを許してくれる現実的なアプローチを持ったデッキを考えてみよう。《首謀者の収得》はあらゆる夢にアクセス可能な、スーパーサーチ呪文。何を持ってくるか、遠慮せず自分の好きなものを並べてみよう!
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