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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エルドラージ・ポスト(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エルドラージ・ポスト(レガシー)
by 岩SHOW
ここ2年ほど、僕を悩ませるマジック的呪いがある。エルドラージの呪いだ。
マジックには5つの色が存在し、プレイヤーは各色の呪文を用いて戦う。このマジックの根本原理に反骨精神をむき出しにした存在こそエルドラージだ。このクリーチャーおよび部族呪文は、どの色にも属さない無色である。
一部を除いて唱えるのに色マナを要求せず、『ゲートウォッチの誓い』にて登場したコジレックの血族に至っては色マナでは払えない無色マナ{C}を要求するという徹底した無色っぷり! この無色マナを用いるというスタイルは、マジックに6色目をもたらしたかのように機能し、無色デッキをそれまでのものとは全く異なる次元へと昇華させた。
無色エルドラージデッキには人を魅了する力がある。一度使うと、そのパワフルさの虜になってしまう人は少なくない。普通の色付きデッキを回していると、不意に「我はエムラクール」のような囁きが聞こえる時がある。「何を真面目に盤面作っているんだ......2ターン目《難題の予見者》、本当にしたいのはそれじゃないのか?」と誘う声が聞こえたら、僕はこの呪いに素直に従ってレガシーのエルドラージデッキで遊ぶことにしている。
最近使ったのは。このところレガシーでも人気デッキの1つとしてじわじわと存在感を増してきている、「エルドラージ・ポスト」だ。
4 《古えの墳墓》 3 《裏切り者の都》 4 《エルドラージの寺院》 3 《ウギンの目》 4 《雲上の座》 4 《微光地》 3 《ヴェズーヴァ》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 4 《難題の予見者》 4 《終末を招くもの》 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 1 《真実の解体者、コジレック》 1 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(12)- |
4 《厳かなモノリス》 2 《スランの発電機》 4 《魔術遠眼鏡》 3 《三なる宝球》 2 《全ては塵》 4 《虚空の杯》 3 《精霊龍、ウギン》 -呪文(22)- |
1 《フェアリーの忌み者》 2 《忘却蒔き》 2 《ワームとぐろエンジン》 2 《漸増爆弾》 2 《アメジストのとげ》 1 《次元の歪曲》 1 《歪める嘆き》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
どんなデッキ?
デメリットを付けることで、土地1枚から2マナ生み出すことを許された《古えの墳墓》《裏切り者の都》。
エルドラージに対してのみ2マナ土地として機能する《エルドラージの寺院》《ウギンの目》。
そして「神座」の数だけ無色マナを生み出す《雲上の座》。
これらを用いて、本来ならあり得ない早いターンに大量の無色マナを得てエルドラージを叩きつけて圧殺を狙う。ある種のコンボとも言える重量級デッキだ。
2マナ土地を用いるということは、1ターン目にX=1の《虚空の杯》を出して相手をロックすることも可能、これに《三なる宝球》も加えて、対戦相手のしたいことをさせない状況を作ってからエルドラージを強襲させるのがベストな動き。
開幕ロックプランがうまくいかなくても、《精霊龍、ウギン》や《全ては塵》、そして《絶え間ない飢餓、ウラモグ》でゲームをひっくり返すことができるので、決して初速のみのデッキではない。
これらの呪文を用いるために2マナ土地以外にも《厳かなモノリス》《スランの発電機》などのマナ・アーティファクトを採用しているのも特徴である。
《エルドラージのミミック》や《現実を砕くもの》を採用したビートダウン型よりもより長期戦を見据えた作りになっている。それが表れているのが、その英語版カード名より「ポスト」と呼ばれる神座土地の採用だ。このタイプの土地が複数並ぶことにより《雲上の座》《微光地》は得られるマナ&回復量が上昇する。これらだけでは合計8枚しか神座土地が存在しないのだが、ここに《ヴェズーヴァ》を加えることで増量させるテクニックが用いられている。
このマナエンジンを軸にしたデッキが「12post」であり、デッキの歴史としてはエルドラージよりもこちらの方が古い。より重くシフトしたエルドラージデッキ、あるいは現代の力を取り込んだ新しいポストデッキ。そのどちらとも言える、ハイブリッド的デッキだ。
テクニック!
1ターン目《虚空の杯》→2ターン目《難題の予見者》:このデッキについて説明する際に、大事なのは小技ではなくそのパワフルさ。なので、テクニック紹介というよりはこのデッキがやりたいブン回りパターンを紹介(笑)。2マナ土地2枚+《虚空の杯》+《難題の予見者》という手札であれば、他が何であってもキープして問題ないだろう。1ターン目にX=1の《虚空の杯》を置いて《剣を鍬に》《渦まく知識》などを封じてからの《難題の予見者》はあらゆるデッキにとっての悪夢。この動きができれば、ほぼそのまま押し切れる。これがしたいがためにエルドラージをやっている、そういうことだ。
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》+《ウギンの目》:一応テクニックを。マナ能力は持たないがエルドラージにとっての2マナ土地として機能する《ウギンの目》。これに《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》で沼の基本土地タイプを与えることで......なんと実質3マナ土地として用いることができるように! ただこの2枚だけでは《難題の予見者》を唱えることができないので、そこだけは気を付けて土地を置くようにしよう。
注目のカード:《魔術遠眼鏡》
当コラムでも何度か取り上げてきたこの1枚。これがなかなかやりおる。このデッキの天敵《不毛の大地》を止められるのはもちろん、後手のときに先出しされた《死儀礼のシャーマン》を封じたり、対戦相手の手札を見て《溢れかえる岸辺》などのフェッチランドしかなかった場合はそれを指定してマナを封じたり......とにかく、手札を見てから指定できるようになったことで、《真髄の針》がこうも使いやすくなったものかと驚かされる。2マナと重くなったことも、《虚空の杯》との相性を考えると、むしろ1マナでないことがメリットとなる場面もあったりする。
ウラモグやコジレックなどの大型エルドラージで対戦相手を圧殺するのは最高だ。このデッキを使う際に注意してほしいのは、《雲上の座》の能力。その能力は戦場に出ているすべての神座をカウントする。対戦相手が出しているものも含めてだ。なので、同型戦でこの土地をうっかり並べてしまうと、相手が美味しい思いをすることもある。僕は同型戦で3ターン目ウラモグという友情コンボをさせてもらった側だが、逆の立場だったらと思うと恐ろしい。土地の展開は計画的に!
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