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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Nemesis & Taxes(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Nemesis & Taxes(レガシー)
by 岩SHOW
《タルモゴイフ》は最強の傭兵だった。クリーチャータイプという意味でなく、さまざまなデッキに雇われていた、という意味でね。
かつてのレガシーでは、どんなデッキにもタルモの姿を見ることができた。今はどうだろう。採用しているデッキの方が少なくなってきた。なぜ、かつてはありとあらゆるデッキにその名を連ねたタルモの使用率がここまで落ち着いたのだろうか。
最も大きな原因は、各色に強いクリーチャーが増えたことだ。白や青、黒といった色には、軽いコストでは線の細いクリーチャーしかいなかった。そこにがっしりボディのタルモを派遣し、そのために緑を足しているくらいだった。
それが、同じ2マナに《石鍛冶の神秘家》《スレイベンの守護者、サリア》のような強力クリーチャーが参入し、より軽いコストにも《秘密を掘り下げる者》や《死儀礼のシャーマン》(コイツの台頭もタルモにゃきつい)が加わった。自前のクリーチャーで十分に戦っていけるようになったというわけだ。
白単や青黒赤などのデッキが最も強力なクリーチャー陣容を誇っているというのは、過去のレガシーを知る者には時代の移り変わりを感じざるを得ない現象だ。
白単のクリーチャーデッキといえば「Death & Taxes」。死と税金、すなわち人が逃れられないものという名を与えられたこのデッキは、《リシャーダの港》《不毛の大地》で土地を締め上げ、自身は《霊気の薬瓶》からクリーチャーを展開。《スレイベンの守護者、サリア》や《ちらつき鬼火》で嫌がらせの手を緩めない、徹底的にねちっこく攻めるスタイルで、レガシーの強力デッキの1つとして君臨している。
先述のように、十分に白単色で戦っていけるだけのクリーチャーは揃っている。......のだが、ここにあえて色を足すというアプローチを取るプレイヤーもいる。2色になってしまうことにはデメリットがあるのだが、それを補えるだけのカードパワーで差をつけようというわけだ。特に、同型に対しての強さが増すのであればそういったアプローチもアリ。
そんなわけで、他の色からクリーチャーを迎え入れた「Death & Taxes」の亜種を紹介しよう、招き入れたのは......全プレイヤーにとっての宿敵だ。
2 《平地》 4 《Tundra》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《吹きさらしの荒野》 2 《カラカス》 4 《リシャーダの港》 4 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《審判官の使い魔》 3 《ルーンの母》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《ファイレクシアの破棄者》 3 《ちらつき鬼火》 2 《護衛募集員》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(24)- |
4 《霊気の薬瓶》 4 《もみ消し》 3 《剣を鍬に》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(13)- |
3 《翻弄する魔道士》 1 《封じ込める僧侶》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《狼狽の嵐》 2 《流刑への道》 1 《剣を鍬に》 2 《安らかなる眠り》 2 《議会の採決》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード(15)- |
《真の名の宿敵》はたった3マナで単体除去を受け付けず、ブロックもされず、またブロッカーに回っても死ぬことがない。青という、かつてクリーチャーが貧弱だった色に与えられた、天下無敵の豪傑だ。
この宿敵を迎え入れたことで、同じクリーチャーのにらみ合いになる同型戦をより有利に戦おう、というアプローチなのかもしれない。白単の場合、このカードのスロットに収まっているのは《ミラディンの十字軍》。それよりパンチ力は劣るが、黒と緑以外の色にも不死身の生物として立ち回れる宿敵を選択したというわけだね。
「Death & Taxes」は装備品デッキでもある。《石鍛冶の神秘家》により《殴打頭蓋》《梅澤の十手》などの超強力装備品をサーチしてきて盤面を有利なものとする。
この装備品戦略にも宿敵は噛み合う。装備する際に除去を撃たれることもなければ、ブロックされずに絆魂で大回復したり十手のカウンターを貯めてクリーチャーを薙ぎ払ったり......ムチャクチャな戦闘を行えるのだ。このプランに持ち込めれば、クリーチャーデッキ全般に勝つことができる。これは単色では成し得ない大技だ。
青を足したのはこの宿敵のためだけではない。《リシャードの港》《不毛の大地》による土地攻め戦略をより強固にするために《もみ消し》も採用されているのだ。
このカードはレガシーの大多数のデッキのマナ基盤を支える、《溢れかえる岸辺》などのフェッチランドと呼ばれる土地を否定する。これらの土地は生け贄に捧げることで能力を起動し土地を探してくるのだが、この起動型能力を《もみ消し》で打ち消してやると......たった1マナで対戦相手の土地を破壊したことになる。
警戒されるとそこまで機能しないのだが、今このタイミングでこのカードを用いているデッキはほとんどない。そのため、意識の外から突き刺さる1枚として対戦相手を苦しめることだろう。構え続けなければならないという点も、《霊気の薬瓶》を備えるこのデッキでは行動の阻害にはなりにくいとくれば、安心してデッキに入れることができるね。
青を足したことでサイドボードに《翻弄する魔道士》《狼狽の嵐》という対コンボ戦で火を噴くカードを採用できるのもレガシーというフォーマットを戦う上ではありがたい。
ただ、もちろん良いことばかりではない。対戦相手の《不毛の大地》が《Tundra》に突き刺さることで敗北へと至ることもあるだろう。
こういった色を足す構築をする場合、メリットがデメリットをどれほど上回るのかを考える必要がある。完成度が高いリストにわざわざ色を足す必要があるのか? いやこのカードを加えることで理論上最強になるはず......そんなことを考えている時が最高に楽しいね!
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