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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:The Finalsの復活・決勝を彩ったデッキたち(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:The Finalsの復活・決勝を彩ったデッキたち(スタンダード)
by 岩SHOW
2017年は復活イベントの年だった。ワールド・マジック・カップに出場する代表選手を選出する国別選手権の復活、日本選手権は真夏の祭典として国内マジックシーンを大いに沸かせたものである(このトーナメントのおかげでワールド・マジック・カップ日本初優勝もかなったわけだしね!)。
そして、夏の祭典に続くは年末の構築王者決定戦、The Finalsの復活だ! 全国各地の予選を抜けてきたプレイヤーと国内のプロプレイヤーによる、優勝賞金100万円というこっそりグランプリ級の豪華なトーナメントだ。1年の締めくくりにはコレ、という過ごし方をしてきたマジックプレイヤーにとって、このトーナメントの復活は嬉しいものだったんじゃないかな。これまで知らなかった方には、新しい目標になるしね。
そんなわけで、今日はThe Finals2017にて頂点を競い火花を散らした決勝戦進出デッキを2つ紹介しよう!
3 《森》 1 《島》 1 《山》 1 《沼》 4 《植物の聖域》 2 《隠れた茂み》 3 《根縛りの岩山》 4 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 -土地(23)- 4 《牙長獣の仔》 4 《導路の召使い》 4 《ならず者の精製屋》 4 《つむじ風の巨匠》 3 《逆毛ハイドラ》 3 《スカラベの神》 -クリーチャー(22)- |
4 《霊気との調和》 4 《蓄霊稲妻》 3 《削剥》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 2 《秘宝探究者、ヴラスカ》 -呪文(15)- |
2 《多面相の侍臣》 3 《チャンドラの敗北》 1 《マグマのしぶき》 3 《否認》 1 《アズカンタの探索》 1 《人工物への興味》 1 《野望のカルトーシュ》 1 《至高の意志》 1 《王神、ニコル・ボーラス》 1 《自然に仕える者、ニッサ》 -サイドボード(15)- |
このトーナメントにて優勝したのは日本が誇る殿堂・津村健志! The Finalsと共に古豪が復活というのは、なんともドラマチックだ。使用したデッキは「4色エネルギー」。2017年下半期からずっとエネルギー絡みの中速デッキがとにかく強い、その事実を体現するような結果となったわけだ。
ここまではエネルギーデッキの、いわゆるテンプレってやつだね。調整次第で《つむじ風の巨匠》と《逆毛ハイドラ》の枚数が変動するかなというところだが、この形でやっていれば失敗することはそうそうない。
2マナクリーチャーの中でも最強と言い切れるレベルのパンチ力を誇る《牙長獣の仔》と、「次のターンには4マナ出ちゃうよ?」とアピールしてくる《導路の召使い》を用いて、2ターン目からプレッシャーをかける。
対処されても後続に飛ぶ除去が減り、対処されなければそのまま圧倒できる可能性がある。こんな動きが出来るデッキ、そりゃあ強いよね。
それらに続く3マナ域はエネルギーの受け皿としては最高、攻めも守りもできる《つむじ風の巨匠》、2017年世界王者ウィリアム・ジェンセン/William JensenにスタンダードNo.1カードと言わしめた《ならず者の精製屋》。
巨匠が逆転の糸口になるシーンは何度も見てきたし、精製屋が当たり前のようにカードとエネルギーを供給しながらパワー3を活かして相手のライフを削ったりクリーチャーと相討ったり、というシーンはもっともっと見てきたもんだ。《逆毛ハイドラ》という親玉を抜きにしても、エネルギー・スタッフはとにかく濃いメンツなのだなと再認識。他のデッキにはとてもじゃないが真似できない、エネルギーデッキの強さの根源だ。
これらに追加で採用されるクリーチャーによりデッキの内容はやや異なってくる。最近の流行りはここに《スカラベの神》をぶち込んだ、激烈ジャンクフード風な4色型だね。
皆さんもすっかり見慣れた光景だとは思うが、ここまで多色なデッキが成立しているなんて恐ろしい話だよね(笑)。それもこれも《霊気との調和》の強さによるものだろうな。
《地勢》にエネルギーという見えないものが2個ついてくるだけでここまで化けるとはね......エネルギーカードは初見の印象の1万倍くらい強かったな、というのがまもなく『霊気紛争』発売より1年経ちそうな現時点での素直な感想だ。
《スカラベの神》のようなエネルギーとは関係のないパワーカードで蓋をする、というのがまた強く(序盤にガンガンエネルギーを使用しても後続のパワーダウンにならない)、それはクリーチャーのみならずプレインズウォーカーもそう。《反逆の先導者、チャンドラ》という器用さの化身に加えて、《秘宝探究者、ヴラスカ》も採用するのがすっかりトレンドとなっている。強いことが書いてある、じゃあ使えという当たり前のことを許すことができるデッキというのは、なかなかない。
このリストではサイドボードの《アズカンタの探索》が興味深い。
コントロール寄りなアドバンテージ勝負を仕掛ける戦いにも対応できるように、しかしたっぷり入れるとクリーチャー主体のデッキでは機能しないのでお守りに1枚......というところだろうか。
メインデッキは揺るぎないエネルギー軍団とそのタイミングでのパワーカードというスタメンが固まっているが、サイドボードはまだまだ色々出来そうなのが、エネルギーデッキの底の深さを伺わせる。2018年はどのような形が生まれるのだろうか、今から楽しみである。
14 《山》 4 《ラムナプの遺跡》 3 《陽焼けした砂漠》 2 《死者の砂丘》 2 《屍肉あさりの地》 -土地(25)- 4 《ボーマットの急使》 3 《損魂魔道士》 4 《地揺すりのケンラ》 2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《暴れ回るフェロキドン》 2 《熱烈の神ハゾレト》 2 《砂かけ獣》 3 《栄光をもたらすもの》 -クリーチャー(24)- |
2 《マグマのしぶき》 2 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 3 《削剥》 -呪文(11)- |
1 《損魂魔道士》 2 《ピア・ナラー》 1 《熱烈の神ハゾレト》 2 《猛火の斉射》 2 《チャンドラの敗北》 2 《暴力の激励》 1 《削剥》 1 《霊気圏の収集艇》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
こちらは準優勝の林翔也が使用した「デザート・レッド」だ。プロツアー殿堂顕彰者ベン・スターク/Ben Starkがグランプリにて使用し話題になった少し重い構成の赤単デッキの調整版である。その名の通り砂漠が11枚と多めの構成で、猛攻によりライフを序盤で削ってしまうという「ラムナプ・レッド」の強みも持ちながら、やや爆発力を落としてでももう少しどっしりと対応しながらの戦いができるように作られている。
特徴はやはり《砂かけ獣》だ。
この4マナ3/3を《火炎舌のカヴー》よろしく除去もできるアタッカーとして用いようという意図に基づいて、砂漠がたっぷり採用されている。基になったリストではこれがメインに3枚採用され、同じマナ域である《熱烈の神ハゾレト》は1枚だけという形が衝撃的だった。このリストではこれらの合計枚数は変わらないものの2枚ずつという形になっている。
やはり、《砂かけ獣》にはないパワー5速攻という打点が魅力的なマッチアップも存在する。どうせサイドから水増しする構成なのであれば、メインから2枚くらい入れておけば良いという設計思想だと思われる。《砂かけ獣》と《栄光をもたらすもの》による相手のクリーチャーを排除しまくる戦略も、ハゾレトら速攻クリーチャーで駆け抜ける戦略も取れる。サイド後にはこれらの枚数を相手に合わせてより適正なものにして、より特化した戦いができるというわけだ。
《栄光をもたらすもの》は《損魂魔道士》とのプチコンボでダメージを-1/-1カウンターに変換して、破壊不能であるハゾレトにも対処可能だ。このシナジーで「ラムナプ・レッド」相手にも立ち回れるよというのが強みだね。
こちらもサイドボードが面白い。「ラムナプ・レッド」のサイドに入っているようなカードがメインに昇格されている分、スペースがあるのでより細かいカードを採用することができるようになっている(追加のハゾレトで1枠潰れているが、まあそれはご愛敬ということで)。《暴力の激励》や《猛火の斉射》が採用されているのが面白いね。
どういった相手に刺さるのか、いろいろと考えながらサイドを見れば、「はいはいまた赤単ね」と思ってしまいがちな上位進出リストも新鮮に見えることがあるはずだ。
以上、復活のThe Finals決勝進出デッキの紹介が済んだところで......2017年のデイリー・デッキの更新は残すところ明日のみとなった。僕だってもっと書きたいけど、そこは大人の事情(ホリデーシーズン)ってやつのせいなんだ。そんなわけで、明日は濃厚だった2017年のまとめ的な内容となっているよ。それじゃあ、また明日!
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