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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:5色人間(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:5色人間(モダン)
by 岩SHOW
『イクサラン』のカードは割とシンプルなものが多い。これまでに見られなかった複雑怪奇なメカニズムを取り扱っている、というわけではないので、まったく新しいデッキタイプを生み出すようなカードは少なく、またスタンダードはともかくモダンやレガシーにおいてそのようなデッキが登場したわけではない。
ただ、だからと言ってすなわちそれらの環境に影響を与えていないかというと、答えはNo。モダンなんか、バッチリ影響を受けている。いま流行りのデッキは、『イクサラン』なしには成立しなかったと言ってよい。
どんなデッキかって? その構成に驚きやがれ、「5色人間」の登場だぁぁッッ!
1 《平地》 1 《寺院の庭》 1 《神聖なる泉》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《地平線の梢》 4 《魂の洞窟》 4 《手付かずの領土》 4 《古代の聖塔》 -土地(19)- 4 《アヴァシンの巡礼者》 4 《教区の勇者》 4 《貴族の教主》 4 《帆凧の掠め盗り》 4 《アヴァブルックの町長》 4 《翻弄する魔道士》 4 《サリアの副官》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《カマキリの乗り手》 3 《反射魔道士》 2 《異端聖戦士、サリア》 -クリーチャー(41)- |
-呪文(0)- |
2 《闇の腹心》 3 《イゼットの静電術師》 2 《罪の収集者》 2 《ヴィティアの背教者》 2 《ザスリッドの屍術師》 1 《悪鬼の狩人》 1 《反射魔道士》 2 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
クリーチャーでない呪文、なしッ! 最低限の土地に、後は詰め込めるだけ人間クリーチャーをぶち込んだ、シンプル過ぎて斬新な部族デッキだ。
基となっているのは《集合した中隊》デッキのひとつの形としてモダンに登場した人間デッキだ。《サリアの副官》と《集合した中隊》から飛び出す人間の相性は抜群で、これで一気に盤面の打点を跳ね上げて対戦相手をぶっ倒そうというデッキが着実に使用者を増やしていた。特に《反射魔道士》がモダンにて大流行していた《死の影》に劇的に効くため、勝てるデッキとして一躍脚光を浴びたものである。
バント(白青緑)カラーから、《ザスリッドの屍術師》を採用した4色型・《聖遺の騎士》と《珊瑚兜への撤退》の「ナイトフォール」デッキとのハイブリッド型など派生形も多数生まれつつあった。
そして『イクサラン』で、人間デッキは新戦力を獲得した。《帆凧の掠め盗り》と《手付かずの領土》である。
《帆凧の掠め盗り》はそれまで人間デッキにはなかった「手札破壊」という新しい武器を携えてやってきた。これと《翻弄する魔道士》《スレイベンの守護者、サリア》が合わされば、コンボデッキの好きなようにはさせないってぇ!というわけ。
で、こんな連中をまとめあげるマナ基盤を強化してくれるのが《手付かずの領土》。
ちょっとテキストが短くなった《魂の洞窟》である。これと本家《魂の洞窟》という部族5色土地に加えて、クリーチャー専用5色土地《古代の聖塔》を合わせた5色土地12枚体制により人間デッキは5色で運用まったく問題なし!というデッキへと進化を遂げた。そして、とにかく軽量化してクリーチャーそのものを詰め込むという方向に特化した結果、《集合した中隊》や《霊気の薬瓶》といったこれまで必須と思われていたカードがデッキから抜けてしまってこの形になったのだ(クリーチャーを36~37枚にして《霊気の薬瓶》採用型もあるけどね)。
デッキの動きは大変簡単。マナ・カーブに沿って展開していくだけ......使えるマナの最大効率のクリーチャー展開を行って殴っていくだけで勝つことができる。そりゃあプレイングは簡単だよね、呪文を構えるべきかく展開を優先すべきか......といった従来のデッキが直面していた二択がなくなったのだから。まあ、クリーチャーをどう展開していくのがダメージ最大効率であるか・それよりも相手の理想の動きを阻害する方向で動くか、なんかの選択肢はあるけどね。
2種8枚ある1マナのマナクリーチャーで2ターン目以降の手数を増やす。《教区の勇者》《サリアの副官》を育てていき、サイズに優れたクリーチャーを得ながらも面展開しつつ《サリアの副官》《アヴァブルックの町長》らでサイズアップして押し切るという二段構え。
《異端聖戦士、サリア》《反射魔道士》が簡単にはブロックを許さず、空から《カマキリの乗り手》も攻め立てる......これに加えて上述の妨害3兄弟が相手の好きなことを一切させないと嫌がらせ。土地とクリーチャーしかないデッキなのに、完成度の高さはピカイチだ。
このリストはMagic Onlineのプロツアー予選でTOP4という好成績を残しており、リアルのトーナメントでも絶賛活躍中。これからまだまだ大暴れするデッキになるか、あるいはがっちり対策されて勢力を弱めるかは......もう少し様子を見ないと分からないね。これを書いている段階ではまだプロツアー地域予選の結果がわからないのだが、もし勝っていたりしたらいよいよ本物認定しても良いんじゃないかな。(編注:東京で《霊気の薬瓶》型が2位入賞・権利獲得を果たしました。参考記事)
新セットが思いもかけないデッキを進化させたものである。こりゃ今後セットも、どんなカードも見逃せないね!
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