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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:インフェルノ・オース(ヴィンテージ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:インフェルノ・オース(ヴィンテージ)
by 岩SHOW
「ヴィンテージは魔界」一昔前には随分と耳にしたものである。このコラムではそういった世間のイメージに対して、デッキを紹介することで誤解されている部分なんかが解消できれば良いなと思ってヴィンテージのデッキを紹介している。
「マジックじゃない」なんて言われるゲーム展開もあるが、そんなことはない。ヴィンテージは「ピュアすぎるマジック」なのだ(と思う)。
カードがいっぱい引きたい、なら1マナインスタントで3枚引いちゃおう!特に何もデメリットはないよ~とか(《Ancestral Recall》)。墓地のカードが使いたい、だったら3マナソーサリーで墓地の全カード手札にあるように使ってOK!このターンだけだぞ~とか(《ヨーグモスの意志》)。
そういう、皆がしたいことをもう許しちゃおうという。ある意味最も慈悲深いフォーマットと見ることもできるわけで。そして、そんなフルパワーなカード同士のぶつかり合いで消耗戦に突入した際には、他のフォーマット以上にグダグダになることもヴィンテージらしさだ(笑)。
こういう展開になることもあって、ヴィンテージでは意外と、何か悪いことをしようというデッキよりも実直なクリーチャーデッキの方が強いなんてことが度々ある。最近では特にクリーチャーの質も高くなってきて、黎明期からは考えられないほどクリーチャーに比重を置いたデッキが増えてきた。
そんな昨今のヴィンテージ事情に合わせてだろうか、最近「ん?」と思わされるカードが活躍しているらしい。確かに強いカードであり、僕も大好きでいろんなフォーマットで使ったが......ヴィンテージでも本当に強いの? と正直なところビックリした。とりあえず、デッキを見てもらうことにしよう。
1 《島》 2 《Tropical Island》 2 《Volcanic Island》 1 《Underground Sea》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 1 《沸騰する小湖》 1 《霧深い雨林》 4 《禁忌の果樹園》 1 《Library of Alexandria》 -土地(17)- 2 《業火のタイタン》 1 《グリセルブランド》 -クリーチャー(3)- |
1 《Black Lotus》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Sapphire》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Emerald》 3 《狼狽の嵐》 3 《定業》 2 《精神的つまづき》 1 《Ancestral Recall》 1 《渦まく知識》 1 《ギタクシア派の調査》 4 《ドルイドの誓い》 2 《古えの遺恨》 1 《Demonic Tutor》 1 《森の知恵》 1 《Time Walk》 1 《ヨーグモスの意志》 1 《精神壊しの罠》 4 《意志の力》 1 《噴出》 1 《めった切り》 1 《時を越えた探索》 1 《撤廃》 2 《ダク・フェイデン》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(40)- |
1 《僧院の導師》 1 《最後のトロール、スラーン》 4 《トーモッドの墓所》 2 《真髄の針》 2 《突然のショック》 1 《削剥》 1 《古えの遺恨》 1 《ハーキルの召還術》 1 《魔力流出》 1 《山》 -サイドボード(15)- |
これは「オース」と呼ばれるデッキに分類される。《ドルイドの誓い》という、お互いのクリーチャーの数に差がある場合に誘発し、ライブラリーから直接クリーチャーを出すことでその差を埋める......オンリーワンな能力を持った強力エンチャントをキーカードとしている。
こんなエンチャント出されたら、「じゃあクリーチャー出しません!」って対戦相手も開き直っちゃうんじゃないかって? そこはきちんと抜かりなく。《禁忌の果樹園》という好きな色マナを得られるけれども対戦相手に1/1のスピリット・トークンをプレゼントしちゃうというデメリットを持った土地がある。そのデメリットの部分を、《ドルイドの誓い》を誘発させる引き金にしてメリットにしてしまおう!という恐ろしい話なのだ。
《ドルイドの誓い》はこちらが対戦相手よりも多くのクリーチャーをコントロールしている場合は、対戦相手がその恩恵を受けてしまうのだが、その点も果樹園がしっかりとカバー。相手にクリーチャーを提供し続けることで、こちらの数が上回っていないように調整することができるときたものだから、こいつはなかなかにパーフェクトなコンビネーションだ。
このオースコンボ、サーチするクリーチャーは基本的には1枚でゲームを決められるずっしり重たいヘビー級になるのは当然のこと。《引き裂かれし永劫、エムラクール》と《グリセルブランド》がやはり2大巨頭となる。
一撃15点&パーマネント6枚除去、ライフ7点払って7枚ドローというド派手な恩恵を、初期投資2マナだけで得られるというのだから当然だ。
ただ......最近、このオースデッキでエムラクールよりも優先して採用されているクリーチャーがいる。《業火のタイタン》だ。
この6マナ6/6の巨人、確かに強い。名カードだ。ただ、ヴィンテージ? そう思ったプレイヤーは少なくないだろう、僕もそうだ。
このタイタンは戦場に出たとき、そして攻撃時に3点のダメージを好きなように振り分けることができる。盤面を制圧する能力はかなり高く、ダメージ源としても大体2回殴れば勝ちと優秀だ。そういう意味では、《グリセルブランド》よりもフィニッシュまでが速いため納得のチョイスではある。
冒頭で述べたクリーチャー祭りな現行ヴィンテージ的にも、3点ばらまきはかなり強い。でも......エムラ&グリセルというコンビに慣れ過ぎていて、本当にどれくらい強いのかさっぱりわからない(笑)。
そういう時は、試してみたら良いんだよということで、早速Magic Onlineでこのリストを回してみた。ちなみに、ヴィンテージの世界最大級のトーナメントである2017 North America Vintage Championshipで3位になっているデッキだ。参加者数は驚くなかれ430人! ひぇ~っ。
で、回した結果...とりあえず、とんでもない動きでまずは洗礼を。
こんなんあかんやろ! 1ターン目にして3/2が2体並びつつすべての呪文のコストが{1}増加、クリーチャーじゃなかったらさらに{1}増加という......アホか! この後何もプレイできなくなって撲殺END。いや~ヴィンテージ楽しいな!
......じゃなくて、タイタンの使い勝手はどうなのよと。結論から言うと......クリーチャーを多用してくるデッキと全く当たらなかった(笑)。こればっかりは運もあるからしょうがないが、同型やその他のコンボデッキと当たりまくった一日となった。でも、タイタンの強さは確かに実感。
サイドボード後、お互いに対策カードを出し合ってグダグダになったゲームでは、6マナという現実的なコストが活きてくる。盤面に触れながらのフィニッシュを6マナで得られるのだから、安いもの。サイド後は《ドルイドの誓い》を減らして、《僧院の導師》《最後のトロール、スラーン》とともに普通にクリーチャーを唱えて戦うコントロールデッキにシフトだ。プレイしていて、楽しいし好感触。
確かに《業火のタイタン》は強く、この「インフェルノ・オース」が流行っているのも頷ける話ではあった。ただ、《業火のタイタン》以外のカードも試してみたくなったのも事実。2大巨頭しか選択肢にない、という時代は終わった。さあ、6マナ圏で制圧力のあるクリーチャーを探してみよう! ヴィンテージに新たな風をバンバン吹かせるんだ!
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