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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:破滅の星(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:破滅の星(スタンダード)
by 岩SHOW
ビートダウンデッキは、ビシッとカードが揃えられたものが好きだ。綺麗なんだよな、4枚4枚4枚...《山》20、みたいなリストって。このコラムでも何度か、こういったシンプルなリストへの賛辞の言葉を綴ったものだ。
だが、すなわち綺麗なリスト至上主義であるかというと、実は全くそうではない。こと、コントロールなどのデッキに限って言えば、呪文が何種類も散らされているデッキが大好きだ。なぜこのデッキでは同じ除去を4枚採用せずに2-1-1と散らした構成にしているのだろう? などと考えるのが面白い。プレイヤーの創意工夫、好みが見えてくる。
今日もとんでもなく個性的なデッキリストを見かけたので、これはご紹介しないわけにはいかないなと。Magic Onlineのリーグ戦で5勝0敗、まあたったそれだけのことなんだけど、こんな一見つぎはぎだらけに見えるデッキでも並み居る強豪デッキに勝てるということを伝えられるかなとね。ヘンテコデッキ、出てこいや!
6 《森》 4 《山》 2 《沼》 4 《根縛りの岩山》 1 《竜髑髏の山頂》 3 《ハシェプのオアシス》 2 《ラムナプの遺跡》 1 《イフニルの死界》 1 《不屈の砂漠》 1 《屍肉あさりの地》 -土地(25)- 1 《野生の放浪者》 2 《栄光をもたらすもの》 1 《シェフェトのオオトカゲ》 1 《選別ワーム》 -クリーチャー(5)- |
4 《楽園の贈り物》 2 《焼けつく双陽》 2 《無許可の分解》 1 《ヴラスカの侮辱》 3 《破滅の刻》 3 《約束の刻》 3 《絶滅の星》 1 《残酷な現実》 2 《サンドワームの収斂》 3 《木端 // 微塵》 2 《開拓 // 精神》 1 《捲土 // 重来》 1 《霰炎の責め苦》 1 《耕作者の荷馬車》 1 《秘宝探究者、ヴラスカ》 -呪文(30)- |
2 《高木背の踏みつけ》 1 《栄光をもたらすもの》 1 《蠍の神》 4 《強迫》 2 《黄昏のピラミッド》 1 《心臓露呈》 2 《失われた遺産》 1 《焼けつく双陽》 1 《王神、ニコル・ボーラス》 -サイドボード(15)- |
出てきちゃったね、とんでもないやつが。一体......何デッキと呼べばいいのだろうか。基本的な動きは、時折紹介するランプ系のデッキに準ずる。《楽園の贈り物》を中心としたマナ加速で使えるマナを増やしていく。《約束の刻》は好きな土地を2枚ライブラリーから戦場に出すことができる。砂漠・タイプを持つものがその時点で3枚以上あれば、2/2ゾンビを2体おまけしてくれる。これを活かすためにデッキを構成する土地の多くは砂漠だ。もうこの土地の段階でいろんなものがひしめき合ってるもんな。にぎやかでよろしい。
さて、土地を伸ばして一体どうしようというのか。かつてのこの手の土地を伸ばすランプやビッグマナと呼ばれたデッキは、その土地を伸ばした先に明確なゴールが定められていた。《絶え間ない飢餓、ウラモグ》である。10マナから出てくるこのクリーチャーは、それ単体で盤面をちゃぶ台返しするとんでもないパワーカードだったが......現行スタンダードでは、このウラモグをはじめとするエルドラージたちの退場もあって、この手のデッキはほとんど姿を消してしまった。絶滅したか......に思えたが、その絶滅を武器に復活しようと胎動を始めたのがこのデッキである。
《絶滅の星》。7マナですべてのクリーチャーとプレインズウォーカーに20点ダメージを与えるという......なんとも馬鹿げた全体除去だ。ついでに、土地を1枚破壊することもできる。隕石が墜落するというフレイバーを、恐竜たちに満ちた『イクサラン』で形にするとはなんともニクい。
ただ、どんなデッキで使うねん!と多くのプレイヤーが投げ出してしまう代物でもあった。こういうデッキで使うってことだな。このデッキなら7マナまで伸びるのは苦でもなく、環境にはクリーチャーを展開するデッキが多数ある。そして、いやらしい土地も多数だ。《ラムナプの遺跡》《一番砦、アダント》なんかをクリーチャーごと処理できるのは最高だね。
《熱烈の神ハゾレト》は破壊不能で生き残ってしまうって? そこは、ボーラスにどうにかしてもらおう。《絶滅の星》よりも軽くて、破壊不能持ちの神々も薙ぎ払える《破滅の刻》も併せて採用することで、戦場にはぺんぺん草も残らない。デッキ名をつけるなら、これらを併せて「破滅の星」とか「絶滅の刻」とかにしたいな。
マナを伸ばして、リセット! リカバリーしてきてもリセット! 徹底的に、相手のクリーチャーとプレインズウォーカーを絶滅させろ! 単体除去も数多く取り揃えて、最序盤も安心だ。
コントロールしきってからの勝ち手段としては...これまた様々散らされてはいるのだが、《霰炎の責め苦》はこのデッキならではの1枚と言えるだろう。
X=10なんかで唱えることが出来れば、リセット連打により土地以外にパーマネントをほとんど持たず手札も少ない対戦相手のライフは溶け去ることだろう。派手で良いねぇ。2枚も引きたくないから、1枚だけに抑えられているのもうなずける。
これと役割的には近いが《残酷な現実》もゲームを終わらせる手段となる。恒久的な除去呪文として対戦相手を苦しめつつ、クリーチャーもプレインズウォーカーも尽きてしまった際にはおもむろに首を絞め、毎ターン5点のライフを奪っていく。これが機能しだすと、生存することはかなり難しいだろう。
同じく大型エンチャント《サンドワームの収斂》はもっとわかりやすいフィニッシャーだ。毎ターン5/5のワームを生成する、機能しだすとはちゃめちゃなことになる。飛行持ちの攻撃を防ぐ能力も、自身の生存に役立つ場面があるはずだ。
いろいろと考えた結果、この形になったのか。あるいは持っているカードで頑張って作り上げたものなのか。いずれにせよ、世の中にインパクトを残すことに成功している時点で、このデッキは勝ち組だ。どんなデッキを使っても良い、マジックを楽しむとはそういうこと。時に、結果が伴うこともある。そんなことを改めて教えてくれる、勇気をくれるデッキだと思う。
プロツアーなんかの大きなイベントで結果を残したガチンコのデッキから、こういったカジュアルなデッキまで。綺麗に整っていなくても、多種多様なものを紹介していけたらいいな。それがこのコラムの目指すところだ。明日からも頑張ろう!
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