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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリクシス・ハイランダー(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリクシス・ハイランダー(レガシー)
by 岩SHOW
統率者戦。マジックにおける多人数戦フォーマットで最も有名であり、パーティーゲーム的要素を濃く持ったカジュアルフォーマットの花形だ。もともと公式化する前には「EDH」と呼ばれていた。あまりにも広まったので、ご存知の方も多いかと思うし、今でも「EDH」と呼んでいるコミュニティだって少なくない。
「EDH」とはエルダー・ドラゴン・ハイランダーの略。エルダー・ドラゴンは次元ドミナリアに太古の時代生息したドラゴンたちの始祖のこと。ニコル・ボーラスもこのカテゴリーに含まれる、最後の生き残りだ。これらエルダー・ドラゴンをはじめとするマジックの伝説のクリーチャーたちを「ハイランダー」で戦わせるということなのだが、では「ハイランダー」戦とは何か。
これは、デッキに同一カードは1枚のみ(基本土地を除く)という制限下でデッキを組んでプレイする、特殊なフォーマットのことだ。ハイランダーとはスコットランド北部ハイランド地方に住む人々のことだが、これがなぜこのフォーマット名になったのかというと、映画「ハイランダー」のキャッチコピー"There can be only one"から結び付けたのだとか。名付け親、センスの塊か!
今日紹介するのはハイランダーのデッキだ。といっても、統率者戦のそれではない。レガシーにおけるハイランダーデッキだ。レガシーで同一カード1枚縛り? それって一体どんな意味があるのか? ただフツーのデッキに飽きて悪ふざけでやっているだけじゃないの? なんて思われそうだが、ところがどっこい、ある1枚のカードがハイランダーでデッキを組むことに大きなメリットを与えているのだ! ともかくデッキリストを見てもらうことにしよう。
1 《島》 1 《冠雪の島》 1 《沼》 1 《冠雪の沼》 1 《山》 1 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 1 《Badlands》 1 《汚染された三角州》 1 《沸騰する小湖》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《血染めのぬかるみ》 1 《湿地の干潟》 1 《乾燥台地》 1 《忍び寄るタール坑》 1 《涙の川》 1 《闇滑りの岸》 1 《尖塔断の運河》 1 《黒割れの崖》 1 《ミシュラの工廠》 1 《不毛の大地》 -土地(21)- 1 《死儀礼のシャーマン》 1 《秘密を掘り下げる者》 1 《悪意の大梟》 1 《瞬唱の魔道士》 1 《呪文づまりのスプライト》 1 《若き紅蓮術士》 1 《永遠の災い魔》 1 《真の名の宿敵》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《グルマグのアンコウ》 1 《騒乱の歓楽者》 -クリーチャー(11)- |
1 《思案》 1 《定業》 1 《渦まく知識》 1 《強迫》 1 《思考囲い》 1 《コジレックの審問》 1 《陰謀団式療法》 1 《稲妻》 1 《二股の稲妻》 1 《紅蓮破》 1 《致命的な一押し》 1 《ギタクシア派の調査》 1 《撹乱》 1 《呪文貫き》 1 《呪文嵌め》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《真髄の針》 2 《汚れた契約》 1 《悪魔の布告》 1 《夜の囁き》 1 《コラガンの命令》 1 《毒の濁流》 1 《意志の力》 1 《火 // 氷》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《ヴェールのリリアナ》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(28)- |
1 《トーモッドの墓所》 1 《外科的摘出》 1 《根絶》 1 《暗黒破》 1 《夜の戦慄》 1 《侵襲手術》 1 《赤霊破》 1 《墓掘りの檻》 1 《無のロッド》 1 《アメジストのとげ》 1 《仕組まれた疫病》 1 《自然の喪失》 1 《非業の死》 1 《虚空の力線》 1 《精神壊しの罠》 -サイドボード(15)- |
グリクシス(青黒赤)のハイランダーデッキだ。
ん? よくよく見ると2枚入っているカードがあって、ハイランダーじゃないって? よく気が付いたね、それがこのデッキの肝。
《汚れた契約》は、ライブラリーをめくっていって好きなカードが出たらそれを手札に加えてよい、というサーチ呪文だ。これだけ書くと超万能サーチに聞こえるが、決してそうではない。めくっていったカードはすべて追放されるし、同一カードをめくれば何も得られない。例えば、めくったのが《沼》だとして、これはいらない除去が欲しいと次々めくっていって、再び《沼》がコンニチワしたらそこで終了。カードはただ追放されるだけで、何も得られず大損をこいてしまう。
ちょっとしたギャンブルカードなのだが、ハイランダー構築下ではカードが被ることはなく、2マナで何でも好きな1枚を手札に加えることができるカードとなるのだ。
この《汚れた契約》をこよなく愛するプレイヤーは、決して多くはないが確実に存在する。今日のリストも、Magic Onlineのレガシー・チャレンジというイベントに持ち込まれたものだ(結果は28位、4勝2敗)。
いつでもどこでも好きなカードが手に入る《汚れた契約》を使ってコントロールしていくデッキになる。手札破壊、ドロー、打ち消し、除去、クリーチャー、プレインズウォーカー......欲しいものがあったら何でも言ってくれってなこのサーチで、状況に合ったものを引っ張ってきてゲームを支配していこう。
ただひとつ、注意点。《汚れた契約》でライブラリーの一番上のカードを追放する効果により、対戦相手にはデッキに入っているカードと今手札に加えたカードがバレてしまうのは忘れずに。こっそり打ち消しを構えておこうということはできないのだ。シークレットテクを潜ませてもバレてしまっては、奇襲効果が薄れることも。そもそも追放したカードとは二度と出会えないので、今必要じゃないけど最終的には欲しいカードがめくれたり、といったケースでは大いに悩まされることだろう。
まあ、強いか弱いかといえば「趣味のデッキ」ではあるのだが、唯一無二のゲーム体験ができることは約束しよう。《汚れた契約》の怪しい魅力に憑りつかれたプレイヤーがこのコラムを通じて増えたりすると嬉しいな。(ハマりすぎて普通のデッキに帰れなくなっても責任は取れないよ!)
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