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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:厳粛な導師(ヴィンテージ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:厳粛な導師(ヴィンテージ)
by 岩SHOW
エターナル環境は古いカードばっかり強い、そう思ってないかな? 実はそんなことはなく、マジック的なんでもありフォーマットであるヴィンテージでは、最新セットのカードを採用したデッキが多く使われたりする。
これはそのカードが強い、という以外にも「これまで、できなかったことができる」というのが実は重要。ヴィンテージをたしなむプレイヤーは、古のパワーカードのぶつけ合いも大好きだが、それ以上に新しいものに飢えている。新しいカードを試して、これまでになかったデッキを作ろうという意欲にあふれているのだ。
そんなわけで、文字通り日々行われているMagic Onlineのデイリートーナメントの結果を見ていると、皆、新カードを用いた面白いアプローチを試みていて、眺めるだけで楽しくなってくるリストがいっぱいだ。今日はそんな中から《厳粛》の可能性を探求したデッキを紹介しよう!
1 《島》 1 《冠雪の島》 1 《平地》 3 《Tundra》 2 《Underground Sea》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 1 《暗黒の深部》 1 《露天鉱床》 -土地(17)- 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 3 《僧院の導師》 -クリーチャー(5)- |
1 《Black Lotus》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Sapphire》 1 《Mox Jet》 4 《精神的つまづき》 4 《定業》 2 《悟りの教示者》 2 《Mystic Remora》 1 《Ancestral Recall》 1 《渦まく知識》 1 《思案》 1 《真髄の針》 1 《狼狽の嵐》 1 《剣を鍬に》 1 《吸血の教示者》 1 《Demonic Tutor》 1 《孤島の聖域》 1 《安らかなる眠り》 1 《石のような静寂》 1 《Time Walk》 2 《厳粛》 1 《魔力流出》 1 《ファイレクシアの非生》 4 《意志の力》 1 《噴出》 1 《時を越えた探索》 -呪文(38)- |
2 《Mystic Remora》 2 《剣を鍬に》 3 《安らかなる眠り》 1 《マナの迷路》 1 《石のような静寂》 1 《世界のるつぼ》 1 《プロパガンダ》 2 《精神壊しの罠》 1 《貪欲な罠》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
《厳粛》の能力は革新的だ。プレイヤーはカウンターを得られず、プレインズウォーカー以外のパーマネントにカウンターを置くことができなくなる。これによりクリーチャーに+1/+1カウンターを置いて強化することを封じ、《梅澤の十手》や《虚空の杯》といったアーティファクトを無力化、プレイヤーの毒死を予防......などなど、ありとあらゆることができるようになる。
そんなエンチャントを上手く使って、自分だけ得をしようというのがこのデッキだ。ベースとなっているのは《僧院の導師》を用いた、通称メンター系のデッキ(参考:ジェスカイ・メンター)。これは青と白を中心に、《吸血の教示者》《Demonic Tutor》とサーチ用に黒を足したものになっている。
《Black Lotus》などのマナ・アーティファクトで導師を高速展開し、ドロー呪文を連打してモンクを並べて、《Time Walk》で相手にターンを返さずに勝負を決める。この動きをメインの勝ち筋にしつつ、《厳粛》によるシナジーと必殺技を仕込んだ意欲作だ。
《厳粛》シナジーその1:《Mystic Remora》
対戦相手が非クリーチャー呪文を唱えた際に、そのプレイヤーが{4}支払わない限り1枚ドローという、THE嫌がらせエンチャントである《Mystic Remora》。Remoraというのはコバンザメのことで、相手に引っ付いて魔力をいただいちゃうよというわけだ。相手が動けば、こちらの手札に《意志の力》《精神的つまづき》なんかが補充されて都度打ち消せる、という地獄のシステムの完成だ。
このコバンザメ、通常は累加アップキープという高い維持費を払わなければ海原に逃げていってしまうのだが、《厳粛》下では魚さえ空気を読んで、累加アップキープの支払いが不要になる(今は累加アップキープは毎ターン経年カウンターを得て、その数に基づいたコストを支払うというものになっているためだ)。こうなればただ強防御システムというわけで、Remoraの複数枚同時設置なんかもノーリスクで行えてしまう。実際に使ってみたところ、これが揃っただけで対戦相手が投了することもあった。気持ちは大いにわかる。
《厳粛》シナジーその2:《ファイレクシアの非生》
ライフが0以下になっても敗北しなくなる、代わりに0以下の時に与えられるダメージはすべて毒カウンター扱いとなる。普通に使えばライフ10点分長生きさせてあげますよというエンチャントなのだが、あなたが毒に耐性を得れば話は別だ。ライフを失わせて勝利するデッキは、この2枚が並ぶだけでもう勝てなくなる。エンチャント破壊は何かしらの形でメインに入れておきましょう、ということだね。
《厳粛》シナジーその3:《暗黒の深部》
これはシナジーというよりはコンボだね、《厳粛》を出している状態で《暗黒の深部》を戦場に出すと、氷カウンターが1個も置かれていないのですぐさま能力が誘発し、これを生け贄に捧げて20/20飛行&破壊不能のマリット・レイジが降臨する。Remoraと併せて1ターン護ってやれば、それでワンパンチ入れて終了だ。《Time Walk》でターンすら返さなくったって良い。
これらのカードはそれぞれに別の使われ方をしていたが、こうして一堂に会して新しいデッキとなったのは《厳粛》のおかげだ。まあヴィンテージ最強のデッキであるかと聞かれるとそうだと答えるのは難しいが、これまでになかった組み合わせが楽しめる良いデッキだった。
ヴィンテージに限らず、新しいものをデッキに取り入れて既存のカードの新たな可能性を探る、というマジックの楽しみ方は、いつまでも忘れずにいたいものだね。
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