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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Rallier Zoo(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Rallier Zoo(モダン)
by 岩SHOW
もうすっかり『破滅の刻』の季節に突入し、気分はその先『イクサラン』まで見据えているなんて方もいらっしゃるかと。その先の先の『ドミナリア』? わかる、わかるよ! マジックは比較的早く新セットの情報が公開となり、1年ほどもワクワクさせてくれることがある。どんどんと新しい世界が拡大していく、その様はまさしく宇宙。
ただ、遠く未だ見ぬ星々よりも、足元の物事に注意した方が実りがある、なんてことも。今日は今一度、既存のセットのカードを見直してみようじゃないかというご提案。
『霊気紛争』が発売される前に話題となったカードがある。《改革派の結集者》だ。このカードは、同セットの主要メカニズムの1つである「紛争」能力を持っている。そのターンにあなたのパーマネントが戦場を離れていると、普通のカードからかなり強いカードに出世する、下準備をすることで輝く系のカード群に属しているのだ。
この結集者は、白と緑の2色のクリーチャーで3マナ3/2とスペックは普通のものながら、紛争していれば墓地から2マナ以下のパーマネントを釣り上げ戦場に出すという、割とすごい誘発型能力を所持している。マジで割とすごいよね、白と緑でリアニメイト的なことができてしまう。黒っぽくはあるが、白と緑も《Hymn of Rebirth》というカードがあったりもして、昔から案外復活カラーだったりする。
また、釣り上げるのはクリーチャーに限らないところは黒ではなく白と緑だからこそ! 特に土地を、いわゆるフェッチランドなんかを使いまわせるのは大変魅力的。《吹きさらしの荒野》のように、生け贄に捧げることで対応した土地をライブラリーから探して戦場に出す、多色デッキのマナ基盤を支えるこれらの使い捨ての土地をフェッチランドと呼ぶ。知らなかった人は覚えて帰ってね。
話は戻って、このフェッチを生け贄に捧げるという行動が、自ずと紛争を達成する。紛争達成下で結集者を出して、さて墓地に特に何もなくとも、適当にフェッチを戻すだけで......マナが伸びる! 3マナ3/2で土地を1枚増やす、なんてクリーチャーはちょっと他には思いつかない。しかもアンタップ状態で戦場に出るので、すぐさま《稲妻》なんかを唱えて伸ばしたマナを活かせるときたもんだ。というわけで、このクリーチャーはモダンではかなり強いのではないか、と期待されていた。
それから少し経って、今日に至るまで......《集合した中隊》デッキではアクセント的な1枚として採用されていることは多かったが、デッキの顔、というレベルには至っていなかった《改革派の結集者》。ただ、グランプリ・ラスベガス2017という直近のモダンのトーナメントで結集者を軸にしたデッキが好成績を残して、これはいよいよモダンのトップ戦線に絡むデッキとなれるか? 今日のデッキは「Rallier Zoo」!
2 《森》 1 《平地》 1 《寺院の庭》 2 《踏み鳴らされる地》 1 《聖なる鋳造所》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 2 《乾燥台地》 1 《地平線の梢》 1 《ガヴォニーの居住区》 1 《ケッシグの狼の地》 1 《幽霊街》 -土地(21)- 4 《貴族の教主》 4 《野生のナカティル》 3 《タルモゴイフ》 3 《復活の声》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《漁る軟泥》 4 《聖遺の騎士》 4 《改革派の結集者》 1 《エイヴンの思考検閲者》 1 《異端聖戦士、サリア》 -クリーチャー(26)- |
3 《稲妻》 3 《流刑への道》 3 《炎の印章》 4 《集合した中隊》 -呪文(13)- |
2 《スレイベンの守護者、サリア》 1 《コーの火歩き》 1 《弁論の幻霊》 2 《トーモッドの墓所》 2 《漸増爆弾》 1 《神聖な協力》 1 《原基の印章》 1 《石のような静寂》 2 《血染めの月》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 1 《遍歴の騎士、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
「Zoo」とはこのコラムでもたびたび登場する、赤緑白の3色を中心としたビートダウンデッキの総称だ。かつてはゴリラに狼にと、動物がいっぱい採用されていることでこのデッキ名で呼ばれたが、近年ではその意味合いも薄れ、このカラーリングと前のめりな構築、《野生のナカティル》が採用されていることが「Zoo」の証となっている。
この「Zoo」に結集者が採用されることで、クリーチャーを展開し殴るだけだったデッキがアドバンテージの獲得手段を手に入れた。コイツぁでかいぜ。《集合した中隊》も併せて、盤面を掃除されてしまっても簡単にリカバリーできるようになったのだ。
例えば君が青白のコントロールデッキを使っているとしよう。4ターン目にして盤面がクリーチャーわんさかでピンチ、怪しい匂いもするがライフが保たないのでやむなく《至高の評決》。クリーチャーは吹き飛ぶが、終了フェイズに《集合した中隊》、そこから《改革派の結集者》、紛争しているので《タルモゴイフ》の帰還......なんてことになったらお手上げだ! そういう詰みの状況を「Zoo」が得るようになったとは、数年前では想像もできなかったな......。
紛争達成のため、1マナ火力はわざわざ《炎の印章》と散らしてある。このエンチャントは想像よりもずっと強く、手札が空になったいわゆる「トップ勝負」の状況ではフェッチランドとともに結集者をカード2枚以上へと膨れ上がらせる。無駄に消費してしまわないように気を付けたいところだ。
序盤からゴリゴリと詰めていって波状攻撃を途切れさせない、骨太な新型Zoo。モダンにも改革、起こしちゃう? 今回はすでに出ているセットのカードを見直せば収穫があるかもよという話がしたかったのだが、結局今回の主役《改革派の結集者》もカードが増えれば増えるほど強くなっていく類の1枚なので、発売を控えたセットが待ち遠しくなってしまう......という、マジックプレイヤーの欲を露わにしたところで筆を置きたいなと。
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