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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Paradoxical Storm(ヴィンテージ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Paradoxical Storm(ヴィンテージ)
by 岩SHOW
君がコンボデッキを使用したいとする。どうやってデッキを作るのか、逆説的に考えてみよう。
まず、このゲームの勝利条件で最も手っ取り早いのは対戦相手のライフを0にすること。20前後、多くても30点もライフを失わせれば勝利することができる。この際、ライフを無茶苦茶回復する類のデッキのことは忘れてほしい。ライフを20点削るのにもっともスマートな方法は? 個人的には《苦悶の触手》を推すね。
『スカージ』にて登場したこのソーサリーは、マジックの歴史においても屈指の名フィニッシャー。ストームという能力は、それを持つ呪文が唱えられた時に誘発し、そのターンに各プレイヤーがこれ以前に唱えた呪文の数の合計分、そのストームを持つ呪文のコピーを作るというもの。《苦悶の触手》は4マナで対戦相手のライフを2点失わせ、自分は2点回復するというちっぽけな呪文ではあるが、ストームを持つとなれば話は別。これを唱える前に合計9回呪文を唱えていれば、20点吸い取ることができる。
ストーム呪文というものは厄介で、打ち消し呪文1枚や2枚じゃとてもじゃないが防ぐことはできない。《もみ消し》の類の呪文を使ってコピーを作る誘発型能力を打ち消すか、あるいは同じストーム呪文《狼狽の嵐》を合わせるくらいしか術がない。勝ち手段としてはかなり信頼が置ける。なのでストーム9で触手に繋げられるデッキを目指すこととしよう。
ストーム9の達成はそう簡単なことではない。絶対的に必要となってくるのは......マナと手札だ。これらを両方増やす方法があるか? そこで浮かび上がってくるのが今日の主役《逆説的な結果》だ。
『カラデシュ』が生み出したこのインスタント。スタンダードでは《霊気貯蔵器》デッキのパーツとして使われる、くらいのマニア向けの1枚ではあったのだが、ヴィンテージでは上記の条件を満たす、とてつもないパワーカードとしての地位を確立している。4マナで、好きな数だけ自身の土地でないパーマネントを対象として手札に戻す。その枚数に等しいだけカードを引く......これを何でもアリのヴィンテージで使うとこうなる。
- 《Mox Jet》《オパールのモックス》《魔力の墓所》《太陽の指輪》をプレイ、合計で{U}{B}{C}{C}{C}を得る。
- それら4つを《逆説的な結果》で手札に戻して4枚ドロー、{B}が残る。
- 4つのアーティファクトを再展開、マナを出してストーム9《苦悶の触手》で勝ち!
これはとても簡単なルートであるが、1ターンキルだって可能ということだ。実際にこの《逆説的な結果》で暴れるデッキを見てみようじゃないか。
3 《島》 3 《Underground Sea》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《霧深い雨林》 2 《沸騰する小湖》 1 《トレイリアのアカデミー》 1 《Library of Alexandria》 -土地(14)- 1 《瞬唱の魔道士》 1 《荒廃鋼の巨像》 -クリーチャー(2)- |
1 《Black Lotus》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Sapphire》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Emerald》 1 《オパールのモックス》 1 《魔力の墓所》 1 《魔力の櫃》 1 《太陽の指輪》 2 《師範の占い独楽》 3 《精神的つまづき》 2 《狼狽の嵐》 1 《Ancestral Recall》 1 《渦まく知識》 1 《思案》 1 《神秘の教示者》 1 《吸血の教示者》 3 《Mana Drain》 1 《Demonic Tutor》 1 《Time Walk》 3 《知識の渇望》 1 《再建》 1 《修繕》 1 《ヨーグモスの意志》 4 《逆説的な結果》 1 《苦悶の触手》 4 《意志の力》 1 《撤廃》 1 《仕組まれた爆薬》 -呪文(44)- |
1 《イクスリッドの看守》 2 《トーモッドの墓所》 2 《墓掘りの檻》 1 《狼狽の嵐》 1 《精神的つまづき》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《鋼の妨害》 2 《ハーキルの召還術》 1 《毒の濁流》 2 《精神壊しの罠》 1 《古えの墳墓》 -サイドボード(15)- |
例によってヴィンテージ特有の長いデッキリスト、知らないカードばかりだという人は端から端まで目を通しているだけで日が暮れそうだ。それはさすがに冗談としても、先にも挙げたMoxのような0マナアーティファクトや、《Ancestral Recall》《ヨーグモスの意志》などなど桁違いのパワーカードなどなど、ヴィンテージには制限カードが多数。《渦まく知識》のような他のフォーマットでは禁止になったりなどしていないカードでも制限カードに指定されている。ドロー呪文は、制限されている超パワーカードへアクセスしやすくなるため、軽くて使いやすいものは制限せざるを得ないというわけ。
《逆説的な結果》は一度使った(タップした)マナアーティファクトを回収しながら唱えることができるため、先の例のように0マナ大量ドローとして運用できたりする。パワーカードとそれらをサーチするカード、さらには追加のマナアーティファクトなんかをまとめて手に入れることができる可能性があるってわけだ。ヴィンテージの常識をブチ破ることに成功しているカードであると言える。これを2回ほど連続して唱えることができれば、サーチなんかを絡めて《苦悶の触手》にたどり着けているはずだ。《瞬唱の魔導士》を戻してさあもう1回!なんてムチャな動きも。
もちろん、このコンボにも敵がいないわけではない。冒頭でも触れた《狼狽の嵐》は強烈なアンチカードであるため、これに対抗するためにこちらも《狼狽の嵐》を搭載している。コンボを確実に通すために《神秘の教示者》でこれをサーチすることもあるだろう。
また、各種アーティファクトデッキに対抗するために《石のような静寂》をメインから採用している類のデッキにもヴィンテージには存在していたりして、そういうのと遭遇してもマナが伸びなくなり辛いところだ。
そこで二の矢、もう1つの勝ち筋がデッキに搭載されている。ヴィンテージであれば、こういった隠し武器に割くスロットが非常に少ない枚数で済む。たった2枚、《修繕》と《荒廃鋼の巨像》さえあればいい。
11/11感染トランプル破壊不能の抹殺兵器を高速降臨させて、ワンパンチで沈めるというティンカー(《修繕》)ルートは、この手のデッキにとって頼りになるサブプランだ。
ヴィンテージではとにかくよく見るデッキとなった「Paradoxical(逆説的) Storm」。プレイしていても、ドロー・サーチ・マナをどう使うのか、最終系をイメージしながら逆説的に必要な行動をとっていく必要があるかも? とにかく、アーティファクト回収からの再展開は気持ちいいので、一度経験してみてほしいね!
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