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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ティムール・マーベル~ルクサがもたらすもの~(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ティムール・マーベル~ルクサがもたらすもの~(スタンダード)
by 岩SHOW
《ルクサの恵み》は典型的なトップダウン・デザインが施されたカードである。トップダウンというのは、ザックリ言うとカードを作る時に元ネタありきでその能力や効果が設定されたデザインを指す。背景ストーリーに沿ったもの、キャラクターの特性を表現したもの、ほらいくつか思い浮かぶでしょう。
《ルクサの恵み》は次元アモンケットに流れるルクサ川を......ひいてはその元ネタであるナイル川を想起させるデザインとなっている。ナイル川は定期的に氾濫を起こす。これを予測するために古代エジプトの人々は太陽暦を研究・発展させ、文明は進歩した。同時に、洪水は栄養分をもたらし、肥沃な土壌が出来上がる。人間社会の進歩と発展&自然の成長と豊穣。これを、洪水カウンターを得ては失いドローしてはマナを出すという能力で再現している。このカードをプレビューで見た時は正直に言って感動したものである。マジックってすごいなぁと。古代エジプト文明への敬意を、人はゲームに用いるカードで表現できるのだ! こんなこと、そうそうないよ(興奮気味)。
さて、《ルクサの恵み》を褒めたたえたはいいが、どういうデッキを組んだらいいかは難しい話である。カードとしてはアドバンテージもマナも生み出すスーパーエンチャント! なのだが、いささか悠長ではある。いろいろとデッキをイメージし、絶対回らんやん!と脳内構築&解体を繰り返す、皆もやっているであろう、そして下手すりゃ一番楽しい新セット発売前の過ごし方を送っていたものである。
結論としては、カード同様に良いデッキを考えるには時間がかかる!終了!という丸投げEND。機能させることさえできれば、ウハウハなはずなんだ......と。まあ誰かが使ってくれるの待つことにしたわけで、ティムール(青赤緑)カラーのコントロールデッキ同士のサイドカードとして強かったりしないかな、くらいに考えておったわけですよ。そしたら......
4 《森》 2 《島》 2 《山》 4 《植物の聖域》 2 《伐採地の滝》 1 《隠れた茂み》 2 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 1 《進化する未開地》 -土地(22)- 4 《導路の召使い》 4 《ならず者の精製屋》 4 《つむじ風の巨匠》 4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(16)- |
4 《霊気との調和》 4 《蓄霊稲妻》 4 《織木師の組細工》 4 《霊気池の驚異》 2 《ルクサの恵み》 1 《バラルの巧技》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(22)- |
4 《不屈の追跡者》 1 《刻み角》 2 《逆毛ハイドラ》 1 《世界を壊すもの》 4 《霊気溶融》 3 《否認》 -サイドボード(15)- |
オゥ、イーサーワークスメェェン! 《霊気池の驚異》で《絶え間ない飢餓、ウラモグ》をマナを払わずに唱えようというスタンダード環境きってのパワフルなデッキ、「ティムール・マーベル」。これのフリースロットに《ルクサの恵み》を放り込んだデッキがこれだ。その手があったか......と、目から鱗。
《霊気池の驚異》デッキはエネルギーを貯めることに特化している。デッキ内のありとあらゆるアクションがエネルギーを得ることに直結している。1~2~3ターン目は適当に動いて、4ターン目に《霊気池の驚異》を設置、そのまま起動からウラモグめくってドォジャァァァ~ッとちゃぶ台をひっくり返して勝つのがこのデッキのたどるメインストーリーだ。
パーマネントを2つ吹き飛ばしながら10/10破壊不能・攻撃時に対戦相手のライブラリー20枚追放とかいう「僕の考えたスーパークリーチャー」を早いターンに出せば、そりゃゲームにならない。対戦相手が何のデッキであろうともお構いなし、ただ具現化された超絶暴力で打ち崩すのみ......色は爽やかだが、何ともブルータリティあふれるデッキである。
このデッキはかねてからある弱点を抱えていた。《絶え間ない飢餓、ウラモグ》が手札に来た場合、そのほとんどはプレイすることができずに無駄ドローとなってしまうということである。10マナも貯まるまで相手が待ってくれるような悠長なゲーム展開もそうそうなく、《導路の召使い》くらいしかこれといったマナ加速もないためなのだが......そこで《ルクサの恵み》ですよ。
設置した次の次のターンには3マナ生み出してくれるこのエンチャント、うまくいけば《導路の召使い》と併せて6ターン目にウラモグを唱えることができるかも? 《霊気池の驚異》からめくっても悪くなく、カードを引いてさらにエネルギー貯めてもう1回、と動ければなかなか。
《ニッサの復興》なんかが採用されるスロットにこの呪文を入れたわけだが、使ってみるとなかなか面白い。マジックをやっている感があって良い、このカードは決して無茶苦茶強いわけじゃないけど、そこが良いんだ。それぐらいが良いんだという絶妙なバランスである。もうちょっと強くても良いかもと思う反面、ちょっとバランスをしくじると壊れカードになってしまうからこれぐらいでも良いじゃないと思う。
「ティムール・マーベル」はこのカードを採用せずとも相変わらず強力で、特に《守護フェリダー》禁止後はコンボデッキの筆頭にまで上り詰めている。個人的にはルクサ入りが好きだけどもね、特に《バラルの巧技》からのフリールクサ! 気持ちいい、を形にしたような動きにはうっとりする。こっちを軸にして、そういうデッキが作れるんじゃないかと思ったほどだ。
皆も何かしらアイディアが沸いてきたら、その知識を洪水のごとく世界に拡げてやってほしい。ネットの恵みを、僕はありがたくいただくことにしよう。
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