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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:バント・エルドラージ(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:バント・エルドラージ(スタンダード)
by 岩SHOW
やはり環境初期のデッキリストを眺めるのは楽しい。それが環境末期でどうなるかはさておき、初期の混沌としたメタゲームにおいては独創的なリストが多数上位に進出し、知的好奇心を満たしてくれるもの。このコンボは本当に強いのか?こんなアプローチがあったのか!と、黙ってPCモニターを眺めていても心の中では随分とはしゃいでいるので、このタイミングの僕を見かけることがあってもそっとしておいてくれると嬉しい。
今回も「そうきたかぁ~~」というリストがあったので、ワクワクしながらコピーして回そうとしているところだ。『霊気紛争』の新カードの採用枚数は少ないものの、独自の構成が光る「バント・エルドラージ」をご覧あれ!
4 《平地》 1 《島》 1 《森》 1 《荒地》 2 《大草原の川》 2 《要塞化した村》 3 《植物の聖域》 4 《霊気拠点》 2 《ウギンの聖域》 4 《進化する未開地》 -土地(24)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《導路の召使い》 4 《作り変えるもの》 3 《変位エルドラージ》 3 《難題の予見者》 2 《折れた刃、ギセラ》 3 《大天使アヴァシン》 3 《現実を砕くもの》 1 《消えゆく光、ブルーナ》 1 《老いたる深海鬼》 -クリーチャー(28)- |
3 《領事の権限》 3 《石の宣告》 2 《実地研究者、タミヨウ》 -呪文(8)- |
2 《激変の機械巨人》 1 《保護者、リンヴァーラ》 4 《否認》 2 《鑽火の輝き》 1 《神聖な協力》 2 《停滞の罠》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《不撓のアジャニ》 -サイドボード(15)- |
「バント・エルドラージ」と言えば、モダンを代表するデッキのひとつである。緑のマナ加速により速いターンに中型のエルドラージを展開し、それらを唯一の白いエルドラージである《変位エルドラージ》でサポートする、という白青緑の3色デッキだ。
このデッキはそれのスタンダード版。そうは言っても《エルドラージの寺院》《貴族の教主》はないので、モダンほどの爆発力は見込めない。どちらかというとじっくり盤面を作っていくデッキとなっている。
まずは《導路の召使い》あるいは《スレイベンの検査官》を展開するところからゲームを始めよう。4マナ・5マナが主戦力となるエルドラージ、これらをいち早く出すためにもマナ基盤を作り上げることは至上命題。パンパンの手札を抱えて敗けることは悲しいからね......
《導路の召使い》は3ターン目に4マナまで伸ばし、《難題の予見者》の一番オイシイ出し頃に間に合わせてくれる。《スレイベンの検査官》はそれ自体がマナ基盤をどうこうするカードではないが、1マナクリーチャーが後のドローとなる手掛かり・トークンを残してくれるので、土地が詰まるという事態を少しでも緩和することができる。これらと土地3枚ほどを握った手札でゲームを開始したいところだ。重いところばっかりは秒でマリガン!《作り変えるもの》も土地を伸ばしたりできる可能性のある、良いブロッカーだ。
マナさえしっかりすれば、後は《難題の予見者》《現実を砕くもの》《大天使アヴァシン》とパワーカードを毎ターン叩き付けていけば勝利できるだろうくらいの感覚で構わない。これらのカードは、現環境になってその評価を大きく上げた。なぜかって?《反射魔道士》がいなくなったからね!
4マナ・5マナのクリーチャーを出した返しで3マナのクリーチャーにこれを処理されてしまうのはストレートに言ってアホらしかった。瞬速持ちのアヴァシンはともかく、《折れた刃、ギセラ》はバウンスされて本当に悲しいクリーチャーだった。今ではあんないやらしい妨害はもうなく、大手を振って活躍できる。除去されてもすぐ出しなおせるというのは本当にありがたいことだ。
《難題の予見者》は「Copycat」の《サヒーリ・ライ》《守護フェリダー》らコンボパーツを手札から追放し、《折れた刃、ギセラ》は「マルドゥ機体」などのデッキが用いる《キランの真意号》を一方的に討ち取りダメージレースを圧倒的に優位な形で進めさせてくれる。これまでのスタンダードではそのポテンシャルを発揮しきれなかったクリーチャーが、『霊気紛争』後の環境では輝きを取り戻すことになりそうだ。
そう考えると、今月の禁止改定もポジティブにとらえることができそうだ。いろいろなカードに可能性がある環境こそがやはり好ましいものである。ギセラは《消えゆく光、ブルーナ》と合体させることもできる。これが決まれば、まあそのゲームは勝ちだな。
《現実を砕くもの》《大天使アヴァシン》は相手を選ばないあらゆる状況で頼りになるクリーチャーだが、しいて言うならばその高い除去耐性によりコントロール殺しでもある。コンボ・ビート・コントロールに勝てるデッキを目指した結果、このエルドラージデッキにたどり着いた......のかもしれない。《老いたる深海鬼》も相手を選ばないクレイジーなヤツだが、これは現出デッキ以外で使うと運用は簡単ではないので、オマケの1枚に留められている。
クリーチャーを多めにとっている分、呪文はシンプルな構成で8枚。これまた「Copycat」をいじめる《領事の権限》がメインから取られており、許すまじ精神が見て取れる。《石の宣告》は環境でも随一の万能除去でこれは標準装備、そして久しぶりに表舞台に出てきた《実地研究者、タミヨウ》。
折角のバントカラーなのであれば、彼女は使わにゃ損。「バント・カンパニー」時代にも見せた、アドバンテージ獲得能力・クリーチャー無効化能力・そして起動したら即ち勝利な紋章作成能力......色が合って、クリーチャーを並べるデッキを使うのであれば、いつだって最高の4マナ域の選択肢となることだろう。タミヨウもまた、プレインズウォーカー全般が苦手としていた《密輸人の回転翼機》がいなくなったことで再注目される1枚となりそうだ。
このデッキはパワーカードをドカッとまとめた形に仕上がっているが、もっとシナジーに寄せた構築をしても面白い。《変位エルドラージ》で使いまわすカードとして《ならず者の精製屋》や《改革派の結集者》を採用して、ガチャガチャと手札やパーマネントを回転させるなど...あぁ、そういうの大好物で涎が......。
ただ、少し問題点もある。このデッキでは無色マナを生み出す土地およびそれにアクセスできる土地が合計で11枚。それほど多い枚数ではない。以前であれば《ヤヴィマヤの沿岸》なんかも採用できたのだが......それらの土地がない現スタンダード環境で《変位エルドラージ》をはじめとする無色マナを要求するカードを複数採用するデッキを作るのであれば、《廃集落》や《産業の塔》も用いた徹底ぶりが必要なのかもしれない。それはそれで楽しいデッキには違いないので、良いのを組んで結果を残して、ここで取り上げさせてくれ! デッキ紹介おじさんとの約束だよ。
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