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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Dark Maverick(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Dark Maverick(レガシー)
by 岩SHOW
皆は冬休み・お正月休み・ホリデーに、どんなマジックをして過ごしたのかな?......うん、うん、僕もそうやで! やっぱりVintage Cube! Magic Onlineにて期間限定で遊ぶことのできた特殊セットを用いたドラフトだ。
Cube=キューブドラフトは、通常の市販されているパックを剥いて行うドラフトではなく、マジック好きが用意した厳選されたカードを用いてドラフトを行うという遊び方だ。Vintage Cubeはその名の通りヴィンテージで使用可能なカード――もちろん、古のPower9も含む――を中心に、マジックの歴史においても屈指のパワーカード、各種コンボデッキを作り上げた名脇役たちなどなどが集められた専用のカードプールを用いてドラフトを行う。8人で行われるこのドラフト、1パック15枚を1人3パックもらって45枚のカードを集める......すなわち計360枚のカードが登場するわけだが、その中で同一のカードは1枚もなし! これがキューブドラフトの醍醐味でもあり、例えカードに描かれたレアリティがアンコモンでもコモンでも、一度逃してしまうと二度と出会えないのである。
通常のドラフトだと、○○のコモンが多く流れているからこの色やるか、といった具合にデッキを作っていくが、Vintage Cubeではそうもいかない。1パック目で指針となるカードを取れたら、ある程度決め打ちで完成度の高いデッキを狙っていく......アーティスティックな要素が試されるマジックかもしれない。これ、やりだすと本当に面白くて、仕事でもプライベートでも満喫させてもらった。
僕が歴代キューブでよく使う色は緑で、全勝する時は必ず緑のデッキだ。最も勝てるのは緑白のデッキ。次いで緑黒か。白か黒で除去を補って、緑のパワフルなクリーチャーで薙ぎ倒すという古き良き脳味噌筋肉なデッキだ。そういったデッキを使っていて、心底便利だと思うのは《緑の太陽の頂点》。
先述のようにカードがすべて1枚挿しのデッキにおいて、マナ加速・ユーティリティー・フィニッシャーと、デッキ内の緑のクリーチャーの数だけ役割をこなし、ライブラリーに戻って何度でも使用可能。スタンダードにある時、またレガシーでナヤ(赤緑白)カラーのデッキが強かった時に愛用したカードだが、久しぶりに使ってやっぱこのカード最高だなと。
はい、ここまでが前置き。今までで一番長かったかもしれないが、そんな最高のソーサリーの1つである《緑の太陽の頂点》を用いたデッキを紹介しよう!
1 《森》 1 《平地》 1 《沼》 1 《ドライアドの東屋》 2 《Savannah》 2 《Bayou》 1 《Scrubland》 4 《吹きさらしの荒野》 3 《新緑の地下墓地》 1 《カラカス》 4 《不毛の大地》 1 《暗黒の深部》 1 《演劇の舞台》 -土地(23)- 3 《死儀礼のシャーマン》 3 《ルーンの母》 1 《極楽鳥》 1 《森を護る者》 3 《石鍛冶の神秘家》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《漁る軟泥》 1 《スクリブのレインジャー》 4 《聖遺の騎士》 -クリーチャー(22)- |
4 《剣を鍬に》 3 《突然の衰微》 1 《森の知恵》 4 《緑の太陽の頂点》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(15)- |
1 《ガドック・ティーグ》 1 《裏切り者グリッサ》 3 《思考囲い》 2 《外科的摘出》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《真髄の針》 1 《窒息》 1 《失われた遺産》 1 《忘却の輪》 1 《毒の濁流》 1 《情け知らずのガラク》 1 《生命の力、ニッサ》 -サイドボード(15)- |
このデッキは「Maverick」と呼ばれる緑白のデッキタイプで、その中でも黒を散らしてあるので「Dark Maverick」に分類される。Maverickとは人名であるが、群れない・孤独を好む者を指す言葉として用いられる。テキサスの開拓者、牧場主であり州議会議員でもあったサミュエル・マーベリックにちなんでとのことだ。このデッキ名の由来には諸説あるが、デッキ内に1枚挿し=群れないクリーチャーを採用することを表している、というのが最も説得力があって、僕はその説を推す(違ったらごめんね)。
元々はナヤか、あるいはバント(緑白青)カラーのデッキがレガシーで流行っていたのだが、これらのデッキに対して緑白に次ぐ3色目を抜くことでマナ基盤の不安定さを解消し、《聖遺の騎士》からの《不毛の大地》合戦を一方的に制するように調整されたデッキがこの「Maverick」だ。
......まあ、Darkと言いながら黒を足して、結局3色に戻っているのはご愛敬。《死儀礼のシャーマン》という最強の1マナシステムクリーチャー(※1)と、《突然の衰微》という超万能除去は、色を足してでも使った方が勝率アップするということだ。
(※1:戦闘には関わることが少ないが、その能力を用いて盤面を有利にする類のクリーチャーをシステムクリーチャーと呼ぶ。このデッキにもそれらがたくさん採用されている)
このデッキで《緑の太陽の頂点》を使用して持ってくるのは......
- X=0:《ドライアドの東屋》
- X=1:《死儀礼のシャーマン》《極楽鳥》《森を護る者》
- X=2:《スクリブのレインジャー》《漁る軟泥》《ガドック・ティーグ》《クァーサルの群れ魔道士》
- X=3:《聖遺の騎士》
マナ加速・除去対策・墓地対策・コンボ対策・アーティファクト&エンチャント対策・そして《不毛の大地》発射台兼フィニッシャーの《聖遺の騎士》。
このデッキの聖遺は自身がフィニッシャーとして殴りに行かずとも、その土地サーチ能力で《暗黒の深部》+《演劇の舞台》コンボを決めてゲームを終わらせる力を持っている(このコンボについて詳しくはコチラ)。
これだけあればレガシーという戦場でも己を示せるぞという優秀なスタッフがズラリ。この《緑の太陽の頂点》パッケージに加えて、同じくサーチ系の《石鍛冶の神秘家》+装備品パッケージ、そして《ルーンの母》《スレイベンの守護者、サリア》とレガシーの白ではおなじみのクリーチャーを合わせて、まさしく「グッドスタッフ」なデッキだ。
最後にこのデッキのテクニックを1つ紹介しよう。《スクリブのレインジャー》は一見使い方が難しく見えるが......これを使いこなすとゲームがグッと楽になる。例えば対戦相手が大型クリーチャーで殴ってきたとしよう。これを《ドライアドの東屋》でブロック、その後戦闘ダメージ・ステップに入る前に《スクリブのレインジャー》の能力を起動。そのコストとして森を1枚手札に戻すのだが、そのコストに《ドライアドの東屋》を充てると......クリーチャーを失わずにダメージを防ぐことに成功するというわけ。この東屋を次のターンではまた戦場に出して、延々と持久戦に持ち込める。絆魂や《梅澤の十手》のカウンターが乗る能力も無効化して、安全にゲームを進めることができる。
レインジャーの能力でアンタップするのが《死儀礼のシャーマン》だったりすると最高で、これの能力で2点ライフを失わせながらダメージレースを制する、という戦い方はまさしく柔よく剛を制す。マジックしている感が実にあって、一度はこのシステム構築系デッキを組んでみてほしいと思うよね。
レガシーのデッキとしては割と古参で、上位に鎮座するデッキからは何歩か下がったところにいるのだが、時折大型トーナメントのTOP8に名を連ねたりする。《緑の太陽の頂点》デッキは微調整によってデッキができることが大きく変わってくるので、コツコツやり込みつつ新セットのカードを試して......ということをやってみてほしい。『霊気紛争』にも、何やら面白そうな緑絡みのクリーチャーがいるしね!
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