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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ディミーア・メタラジー(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ディミーア・メタラジー(スタンダード)
by 岩SHOW
テゼレットの半生は、聞いていて少し辛くなる。次元アラーラの断片のひとつ・エスパーの貧民街「潮の虚ろ」の出身。名字を持たず、テゼレットというのも両親にちゃんとつけてもらったものではない。貧しい生活を送りながらも、求道者アカデミーの学生となりエーテリウムについて学ぶ。エーテリウムとは生命と融合し、より高次の存在へと引き上げてくれる魔法により作られた合金のこと。エーテリウムはそれを発明したスフィンクスしか製法を知らず、そのスフィンクスは姿をくらましてしまった。
その生まれや父の職業を理由に、強制退学させられそうになったテゼレットはこの時に道を踏み外す。退学させようとした教師を殺害したのだ。彼はその後、エーテリウムの鍛造が可能だというカルモット求道団に属するも、それは真っ赤な嘘であった。真実にたどり着いたテゼレットは、求道団の攻撃を受け命の危機に陥る。この時、プレインズウォーカーの灯が目覚め、グリクシスへと次元を渡る。そこで巨大なるドラゴンのプレインズウォーカーに出会い......
おっと、長くなってしまいそうなのでここらで。とにかく、現在『カラデシュ』ブロックで絶賛ボスキャラ中なテゼレットは、その生い立ちのせいで野心的で非常に冷酷なキャラクターとなってしまったということをここに伝えておこう(これにはジェイスも一枚かんでいる)。
テゼレットと言えば、現スタンダード環境ではテゼレットの姿が描かれたカードが地味ながらもシブ~く活躍していたりする。《機械医学的召喚》を用いたコントロールデッキだ。
9 《沼》 6 《島》 4 《詰まった河口》 4 《窪み渓谷》 2 《霊気拠点》 1 《荒廃した湿原》 -土地(26)- 3 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(3)- |
4 《予期》 2 《精神背信》 1 《否認》 4 《闇の掌握》 4 《呪文萎れ》 3 《殺害》 3 《破滅の道》 2 《本質の摘出》 4 《天才の片鱗》 3 《機械医学的召喚》 1 《疑惑の裏付け》 -呪文(31)- |
3 《禁制品の黒幕》 2 《否認》 1 《精神背信》 3 《電招の塔》 3 《鞭打つ触手》 1 《本質の摘出》 1 《破滅の道》 1 《即時却下》 -サイドボード(15)- |
《機械医学的召喚》はインスタントとソーサリーにアーティファクト・クリーチャーのオマケをつけてくれる。これを設置して、後は打ち消し・除去・ドローを繰り返していけば自ずと盤面が構築物・トークンで埋め尽くされ、この物量で押し切ることが出来るだろう。青と黒の《機械医学的召喚》、それが「ディミーア・メタラジー」だ。一般的には「UBサモニング」と認知されていたりもするが、我がデイリー・デッキにおいて「メタル」をスルーするのもどうかなぁとキャラを重視してみた。まあ呼ぶ分には「青黒コン」で問題ない。
デッキについては上記でもうすべて説明してしまった感があるが、細かいところに触れていこう。デッキとしては、黒の方が濃い。《闇の掌握》《本質の摘出》《殺害》《破滅の道》と除去がすべてダブルシンボルであるためだ。
まずはしっかりとクリーチャーに対処できなければコントロールデッキ失格。《殺害》は《破滅の道》の下位互換に見られがちだが、《大天使アヴァシン》などが瞬速で飛び出してくる「青白フラッシュ」などのことを考えれば、こちらも同じインスタント・タイミングで投げつけることのできる除去をしっかりと採用しなければならない。《闇の掌握》4枚では足りないということだ。
黒には少し前まで《衰滅》という豪快な全体除去があったが、それが失われた今......青黒コントロールユーザーには「単体除去の適切な使い方」が求められるようになった。どのクリーチャーが出た時にどれを合わせるのか・どこまで我慢するのか、そういったことをしっかりと考えずに適当に除去を投げていると痛い目を見ることになる......なんて書いているけど、もうすぐ環境も変わるというね。すでに発表されている新カードを見るに、《ヤヘンニの巧技》はこのデッキにすんなりと採用できそうだ。
除去がダブルシンボルに寄っている分、打ち消し&ドローは極力青マナ1つで唱えられるように抑えてある。《風への散乱》《虚空の粉砕》ではなく《呪文萎れ》を採用しているのもそのためだろう。
《疑惑の裏付け》はそもそも重いので、終盤なら{U}{U}も捻出可能だろうというところ。この呪文は調査を3度行うため、《機械医学的召喚》が出ている状態だと1枚でアーティファクトを4つ生み出すことができる。《機械医学的召喚》の起動型能力の使用条件、「アーティファクトを6つ以上コントロールしている」状況まで一気に迫ることができるのだ。まあ、それを抜きにしてもじっくりアドバンテージを生み出せる良い呪文だ。
青黒のコントロール寄りのデッキは《サイカトグ》《苦花》《墓所のタイタン》と、フィニッシャーが強力な時代に成立している。《機械医学的召喚》1枚ではこれらの歴代カードに並ぶのは難しいかもしれないが、これらに勝るとも劣らないパワーカード《奔流の機械巨人》も交えれば新たなる青黒の時代が築けるかもしれない。
メタラジック(Metallurgic)はフレイバー重視で機械医学的と訳されているが、本来は「冶金学的」となる。冶金とは金属を制御し意のままにすること。テゼレットのように君も金属の本質を知り、使いこなそう! コントロールデッキは練習あるのみなので、興味がある方は年末に相手してくれる人をつかまえてじっくりと金属と向き合ってみてはいかがかな。
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