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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:RDW(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:RDW(スタンダード)

by 岩SHOW

 今年の夏はバーベキューをする機会がなかった......去年は二度もしたというのに。大学からの友人らと恒例行事で、山や海辺に集ってそれぞれ持ち寄った食材を焼いて食って飲む。友人らの子どもの相手をしてバテバテになり、赤ん坊と並んで昼寝する。素晴らしい30代の夏がそこにはあったのでした。今年の夏は皆が集まれる日がことごとくプロツアー、チャレンジイベント、世界選手権と被ってしまい、参加を断念。もう少し涼しくなってからバーベキュー、というのもそれはそれで良いんでないかなと。バーベキューは最高のエンターテイメントだ。小さな種火を育てて、ようやく肉が焼けるようになった時の喜びったらないね。この段階で缶ビールを開けて乾杯、後はトングを右手に奉行モードだ。

 というわけでこんがりと肉を焼く機会はない夏だったが、『異界月』ドラフトでは赤青を積極的にピックして対戦相手をじっくりこんがり焼いていたりしたね。とにかく《熱錬金術師》が好きすぎて......プレリリースの時から惚れ込んでいる1枚だ。

 これがガッションガッションとタップアンタップを続けて対戦相手に火を通していく姿を見ているだけでたまらない。ステーキはレア派だが、こいつを使う時はウェルダン一直線。構築シーンでも活躍している1枚、これを使ったシブいリストを見つけたのでここで紹介しておこう。

Dafore - 「RDW」
Magic Online Competitive Standard League 5勝0敗 / スタンダード (2016年9月9日)[MO] [ARENA]
21 《
1 《ガイアー岬の療養所

-土地(22)-

4 《ゴブリンの栄光追い
3 《傲慢な新生子
3 《稲妻の狂戦士
3 《鐘突きのズルゴ
4 《ケラル砦の修道院長
4 《熱錬金術師
2 《カラデシュの火、チャンドラ

-クリーチャー(23)-
4 《焼夷流
4 《集団的抵抗
4 《癇しゃく
3 《極上の炎技

-呪文(15)-
3 《無謀な奇襲隊
1 《カラデシュの火、チャンドラ
2 《性急な悪魔
4 《焦熱の衝動
2 《稲妻の斧
2 《引き裂く流弾
1 《極上の炎技

-サイドボード(15)-

 こういうデッキを見て、さあなんと呼ぶか。若い子は「赤単アグロ」といったところかな。おじさんたちはこういうデッキを見ると「RDW」と呼んじゃうのである。音にして「アールディーダブリュー」と呼ぶ人はほとんどいない。これは「Red Deck Wins」の省略した表記。デイビッド・プライス/David Priceが総帥を務めたチーム「Deadguy」が作り上げた赤単のデッキである。軽量火力でクリーチャーを除去し、道を切り開いたら速いクリーチャーでボコスカ殴って、残り数点は本体に火力を投げつけて勝ち!というシンプルで真っすぐなデッキで、以降同様の戦略を用いる赤単アグロは「RDW」と呼ばれることとなる。

 ここ最近の「RDW」といえば......『戦乱のゼンディカー』発売によるローテーション以前の環境が印象深い。《僧院の速槍》《大歓楽の幻霊》《ゴブリンの熟練煽動者》ら優秀なクリーチャーに、《軍族童の突発》《灼熱の血》《かき立てる炎》といった使い勝手の良い呪文が合わさり、対戦相手がもたもたしている間にライフ20点をかっさらう......恐るべきデッキであり、このデッキに抗う対策カードをサイドボードに積んでいないということは自滅行為でしかなかった、そんな時期がありましたなぁ。

 件のローテーション後はエース級のクリーチャーも本体を焼く火力も失われ、苦境に立たされていた「RDW」...だが、『異界月』にて《熱錬金術師》を手に入れたことでチャンスが訪れた!というところか。久々の2マナ3点火力《焼夷流》の登場も大きい。

 このデッキは以前紹介した「赤単錬金術師」と比べると、より前のめりで......まさしく「RDW」という趣がある。1マナクリーチャー13枚で1ターン目からガシガシ攻め立て、最後の数点は火力と錬金術師の能力で削り切る......戦略については説明のしようがないほど簡単で、初めてマジックを遊ぶ人でも安心して使用できるものとなっている。

 しかし動かすのが簡単=誰でも簡単に勝てるデッキ、というわけでは決してないのがマジックの奥深いところ。昔からこういった赤いアグロデッキは、使いこなして安定して勝利を収めるのが難しいとされている。火力をどこに撃ち込むのか、クリーチャーは相討ちになっても良いから攻撃するのか......など、一度リソース(ダメージ源となるカード)を失うとそれを取り戻すことが非常に難しく、それでいてライフを削り切る以外に勝ち筋も用意できないため、何も考えずに適当に回すと全く勝てなかったりする。まあ、その真逆で何も考えずに火力投げてるだけで勝つこともあるんだけどね。

 このデッキでは追加の錬金術師であり、かつ息切れを防ぐ恒久的なダメージ源となる《カラデシュの火、チャンドラ》が採用されている。《燃え盛る炎、チャンドラ》に変身させることができれば、勝利はもう目の前だ。

回転

クリックで変身

 1年ほど前は《鐘突きのズルゴ》にお世話になったという方、最後に彼が活躍するデッキとしてフライデー・ナイト・マジックなんかで使ってあげるのはどうだろうか。『カラデシュ』発売によるローテーションは、もう目の前に迫っている。

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