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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ティムール・オーダー(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ティムール・オーダー(レガシー)
by 岩SHOW
「懐かしのデッキトーク」というのはいつも盛り上がるものだ。長くマジックをやった者同士だと特にそうだ。気が付けばもう長い付き合いになる友人なんかとこの話をすると、時の流れを感じるものだ。
つい先日も、世界のデッキリストを読み漁っている時に非常~ッに懐かしいデッキ名を見つけて「おいおい、こんなデッキ使ってる勇者がまだこの世におったで!」と大変盛り上がったものだ。そのデッキが使われていたフォーマットはレガシー。めちゃくちゃ流行ったデッキというわけではないが、当時のメタゲームの推移を語る上では外せない(と個人的に考えている)デッキだ。
あれは......《死儀礼のシャーマン》もまだなく。《秘密を掘り下げる者》も、《殴打頭蓋》もなかった頃のお話。レガシーにおける最強のクリーチャーは?という質問に多くのプレイヤーが《聖遺の騎士》と答えていた、2010年から2011年初頭にかけての頃......当時「RUGオーダー」と呼ばれるデッキが存在したのじゃ。
1 《森》 1 《島》 1 《ドライアドの東屋》 3 《Tropical Island》 2 《Volcanic Island》 4 《霧深い雨林》 4 《樹木茂る山麓》 4 《燃え柳の木立ち》 2 《不毛の大地》 -土地(22)- 4 《貴族の教主》 4 《タルモゴイフ》 2 《漁る軟泥》 2 《真の名の宿敵》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《高原の狩りの達人》 1 《大祖始》 -クリーチャー(15)- |
4 《渦まく知識》 2 《稲妻》 2 《呪文貫き》 3 《目くらまし》 3 《罰する火》 1 《四肢切断》 4 《自然の秩序》 4 《意志の力》 -呪文(23)- |
1 《硫黄の精霊》 1 《自由なる者ルーリク・サー》 2 《外科的摘出》 2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 1 《方向転換》 1 《古えの遺恨》 1 《クローサの掌握》 2 《水没》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
《聖遺の騎士》で《不毛の大地》をサーチしてデュアルランドを叩き割り、フェッチランドは起動に合わせて《もみ消し》。《目くらまし》で行動を許さない......という鬼のようなデッキ「ニュー・ホライゾン」。このデッキに対抗するにはどうしたら良いか...特に除去を《稲妻》《火 // 氷》などに頼っていた赤青緑のテンポデッキにとっては、墓地に落ちた土地の枚数分パワー/タフネスが強化される《聖遺の騎士》を除去することは大変に困難なことであった。
除去できないのなら......乗り越えれば良いんじゃないか?......何を使って? 聖遺すら受け止めて乗り越えることができ、対戦相手が対処することが難しい...まさしく神話の世界の住人のような力を持った《大祖始》の力を借りるのだ。
マナ・クリーチャーや《ドライアドの東屋》を生け贄に捧げて《自然の秩序》を唱えてこのハイドラ・アバターを叩き付けるデッキを、当時「RUGオーダー」や《自然の秩序》のイニシャルから「NO RUG」と呼んだりしたものである。グランプリ・プロビデンス2011にてリード・デューク/Reid DukeがTOP4の成績を残した時に用いたのがこのデッキだ。
このデッキタイプはその後......『新たなるファイレクシア』にて《殴打頭蓋》が登場し、《石鍛冶の神秘家》から投下されるこれ(正確には細菌・トークン)に《饗宴と飢餓の剣》が装備されるとダメージレースで負けてしまうこと・また『イニストラード』にてこんな派手な勝ち方ではなくもっと簡単にリスクなく、そして素早く勝利をもたらす《秘密を掘り下げる者》が登場したことにより、消滅。以降、このカラーのデッキの定番は「RUGデルバー」となり、現在ではこの3色を扱う氏族に準えて「ティムール・デルバー」と呼ぶことも多い(そしてこのデッキ自体も、主流からは外れつつある)。
さて、マイナーデッキの歴史を存分に語ったところで、今日に蘇ったこの「ティムール・オーダー」の解説を。過去のリストと同じく《貴族の教主》《ドライアドの東屋》は採用されているものの、これらをサーチする《緑の太陽の頂点》は不採用。赤を採用する強みでもある《稲妻》も2枚と枚数を抑えられている。代わりに搭載されているのは......《罰する火》だ。
何度も繰り返し使えるこの火力を用いて対戦相手のクリーチャーやプレインズウォーカーを捌きつつ、隙あらば《自然の秩序》から《大祖始》! コントロール要素が強いデッキへと生まれ変わったのだ。
クリーチャーのチョイスも面白い。《高原の狩りの達人》は狼・トークンという《自然の秩序》のコストにしやすい緑のクリーチャーを提供してくれる。《罰する火》でコントロールするこのデッキなら、自身のターンには何もせず、対戦相手のターンに2回呪文を唱える......ということも容易く、この狼男はクルクルと変身しまくって多大なるアドバンテージをもたらすこともあるだろう。ルール変更で変身後の《高原の荒廃者》も《突然の衰微》を受けなくなったので、除去をこれに頼っているデッキに対して簡単に処理されなくなったのも採用を後押ししたのかもしれない。
また、「チビ大祖始」のニックネームを持つ《真の名の宿敵》が本家《大祖始》と並ぶのも感慨深い。プロテクション(選ばれたプレイヤー)で対戦相手の攻撃を受け止め、プロテクション(すべて)で反撃開始だ。《自然の秩序》を無理して狙わずとも、これらのクリーチャーと《タルモゴイフ》でビートしつつ、対戦相手のアクションは打ち消していけばそれで勝つこともできるだろう。
このデッキは手札に《大祖始》が来るとその時点で《自然の秩序》が機能不全に陥ってしまう。緊急事態のために《渦まく知識》《ヴェンディリオン三人衆》は無駄に使用するわけにはいかない、ということを念頭に置くか......あるいはこれをライブラリーに戻す方法をデッキに追加するのが良いだろう。サイドボードの《精神を刻む者、ジェイス》をメインに昇格させるとか。
テクニカルなティムール・カラーに大味なフィニッシュを併せた「ティムール・オーダー」、レガシーのデッキにお迷いであれば一度お試しあれ!
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