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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Kiki Evolution(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Kiki Evolution(モダン)

by 岩SHOW

 かつてモダンには「Kiki Pod」なるデッキがあった。Podこと《出産の殻》でクリーチャーをどんどんとマナコストが1つ上のものに進化させていくクリーチャーコンボデッキ。最終的にデッキ名のKikiの由来である《鏡割りのキキジキ》と《修復の天使》(あるいは《士気溢れる徴集兵》《詐欺師の総督》)を揃えて、この2枚で無限にコピートークンを生み出して殴って勝つのを目指すデッキだ。

 キキジキの起動型能力で天使のコピーを作って、天使の誘発型能力でキキジキをいったん追放してから戦場に戻すとアンタップ状態になっている。なのでこの工程をもう一度......と無限に続けていくのだ(徴集兵・総督の場合はキキジキアンタップを延々と)。

 コンボを決めずとも、その状況に合ったクリーチャーを《出産の殻》で探してきて展開しているだけでも勝利することができる、強力なデッキだった。クリーチャーを探して来て直接戦場に出すというアクションが危険視され《出産の殻》は禁止に。このデッキは事実上消滅した。

 しかしながらこのデッキにはファンも多く(あの黒田正城もそうだ。ダークロさんの話ばっかりって?距離が近いからしょうがない)、諦めずにこの形のデッキを模索するプレイヤーが新たな形を構築していた。「Kiki Chord」と呼ばれるデッキがそれで、ありったけ30枚ほど採用されたクリーチャーを「Kiki Pod」でも使用されていた《召喚の調べ》でサーチしてくるというものだ。《出産の殻》を失ったことでデッキとしての使用難易度を跳ね上げた形となったが、賞金制トーナメントなどで活躍する姿はしばしば見られたものである。

 そして2016年夏。この「Kiki」シリーズに新顔が登場した。『異界月』発売前より話題になっていた1枚《異界の進化》を《出産の殻》のスロットに充てたデッキだ。何はともあれ、まずはその姿を見てもらおう。「Kiki Evolution」だ。

Jacob Baugh - 「Kiki Evolution」
StarCityGames.com Modern Open ニュージャージー 14位 / モダン (2016年8月20日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
1 《平地
2 《踏み鳴らされる地
1 《寺院の庭
1 《草むした墓
1 《聖なる鋳造所
4 《吹きさらしの荒野
4 《樹木茂る山麓
1 《新緑の地下墓地
1 《火の灯る茂み
1 《怒り狂う山峡
2 《剃刀境の茂み
1 《地平線の梢

-土地(23)-

4 《極楽鳥
1 《貴族の教主
4 《復活の声
3 《前兆の壁
1 《クァーサルの群れ魔道士
1 《漁る軟泥
1 《無私の霊魂
1 《呪文滑り
2 《永遠の証人
1 《先頭に立つもの、アナフェンザ
1 《台所の嫌がらせ屋
1 《オルゾフの司教
2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー
2 《修復の天使
1 《包囲サイ
1 《鏡割りのキキジキ
1 《目覚ましヒバリ

-クリーチャー(28)-
3 《流刑への道
4 《異界の進化
2 《召喚の調べ

-呪文(9)-
1 《戦争の報い、禍汰奇
1 《シルヴォクののけ者、メリーラ
2 《再利用の賢者
1 《弁論の幻霊
1 《大爆発の魔道士
1 《徴税の大天使
1 《静寂の守り手、リンヴァーラ
1 《スラーグ牙
1 《流刑への道
2 《稲妻のらせん
3 《仕組まれた爆薬

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 《極楽鳥》《貴族の教主》からスタートして、2〜5マナのクリーチャーを多種多様揃えて採用した、という感じのリストである。《召喚の調べ》《異界の進化》を用いて状況に合ったクリーチャーをサーチするのは先ほども述べた通りだが......では、どんなクリーチャーをどの状況で持ってくるべきか。以下にまとめてみた。

 厄介なエンチャント・アーティファクトが出てきた→《クァーサルの群れ魔道士

 墓地に関するカードをプレイされた→《漁る軟泥》《先頭に立つもの、アナフェンザ

 打ち消し呪文やインスタント除去を用いてくる→《呪文滑り》《復活の声》(声は4枚入っているのでサーチせずとも良いか)

 《至高の評決》などの全体除去を用いてくる→《無私の霊魂

 ライフがピンチ→《台所の嫌がらせ屋》《包囲サイ

 小粒のクリーチャーを除去→《オルゾフの司教》《ピア・ナラーとキラン・ナラー

 対戦相手が「感染」や「コンボデッキ」だ→《呪文滑り

 ザッと挙げるならこんなところか。これらのカードを《修復の天使》で使いまわしたりしながらビートしたり、こっそりキキジキと並べてコンボを決めたり、というのがこのデッキの目指すところだ。《修復の天使》は本当にいろんなことができるカードで、これをいかに上手く使えるかが勝利のカギと言えるだろう。また、

 が必勝パターンの1つなので覚えておこう。

 クリーチャーを使いまわすと言えば、《修復の天使》のように戦場ではなく、墓地のものを再利用する《目覚ましヒバリ》は《異界の進化》を得て特にそのパワーを増した1枚だ。

 パワー2以下のクリーチャーを墓地から2枚戦場に戻すことができる能力を、《異界の進化》でこれを生け贄に捧げることで能動的に誘発させることができる。《永遠の証人》《オルゾフの司教》《ピア・ナラーとキラン・ナラー》《復活の声》......どれが戻ってきても地獄だ。また、《異界の進化》は生け贄に捧げたクリーチャーの点数で見たマナ・コスト+2マナ「以下」のカードをサーチするので、これで《目覚ましヒバリ》を生け贄に捧げても、無理して7マナのクリーチャーを探す・即ちデッキに採用しなくてもOK!適当に《包囲サイ》でも持ってきながらアドバンテージを得ればよろしい。

 このデッキには採用されていないが、《悪鬼の狩人》《自由なる者ルーリク・サー》《大修道士、エリシュ・ノーン》などなど、《異界の進化》で持ってくることのできる強力なクリーチャーはいるので、「自分だけのチョイス」でデッキを構築するのを楽しんでもらえればと思う。誰も気づいていないシークレットテクを探してきて戦場に出し、対戦相手にテキスト確認を要求されると、気持ちいいことこの上なしだ!(あんまりそれにこだわって強い形を崩すのも問題だけどね...)

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