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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ヘイトベアーズ(サリア&ベア)(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ヘイトベアーズ(サリア&ベア)(モダン)

by 岩SHOW

 「熊/Bear」という概念がマジックには存在する。率直に言ってしまえば2マナ2/2ないしは2/1のことだ。マジックの始まりのセット『アルファ版』から長きに渡って基本セットに再録され続け、初心者にマジックというものを教える教師的な役割を担ってきたクリーチャー《灰色熊》。この2マナ2/2で何も能力を持たないクリーチャーに敬意を込めて......というわけでもないが、同様のスペックのクリーチャーを熊と呼ぶのである。「(ドラフトで)熊が4枚取れたから序盤から攻められる」など耳にしたことはないだろうか。

 元々は《灰色熊》と同じく2マナでパワー2があって能力はない(あるいはオマケ程度のもの)を指すのに用いることが多かったが、最近ではレアや神話レアにこのサイズで能力が豊富に与えられた強力なカードが多数登場。これらも含めて熊と呼ぶようになった。《復活の声》が公開された時なんかは、熊も来るところまで来たなぁなんて思ったものである。今日はそんな熊を主軸としたモダンのデッキを紹介しよう。その名も「ヘイトベアーズ」!

eblanchet - 「ヘイトベアーズ」
Magic Online Competitive Modern League 5勝0敗 / モダン (2016年8月14日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《平地
3 《寺院の庭
4 《剃刀境の茂み
2 《低木林地
2 《活発な野生林
3 《地平線の梢
4 《幽霊街
2 《地盤の際
1 《ガヴォニーの居住区

-土地(23)-

4 《貴族の教主
3 《極楽鳥
4 《レオニンの裁き人
3 《無私の霊魂
3 《復活の声
2 《漁る軟泥
3 《スレイベンの守護者、サリア
2 《エイヴンの思考検閲者
2 《静翼のグリフ
2 《異端聖戦士、サリア

-クリーチャー(28)-
4 《流刑への道
4 《集合した中隊
1 《光と影の剣

-呪文(9)-
2 《呪文滑り
1 《ミラディンの十字軍
1 《真髄の針
3 《石のような静寂
2 《石の宣告
2 《安らかなる眠り
1 《自然に帰れ
1 《忍び寄る腐食
2 《仕組まれた爆薬

-サイドボード(15)-

 名前は野球漫画の中堅チームっぽく聞こえて、個人的には好きだったりする。「ヘイト」はそのまま英語のHateで、このデッキ名は「憎しみ熊さんズ」というわけ。マジックにおける特定のカード、アクション、デッキに対して敵意剥き出しの妨害能力を持った2マナ(くらいの)クリーチャーで戦うデッキ、ということだ。白をメインカラーとして組まれるデッキタイプで、以前にはこれに黒と無色(エルドラージ)を追加したデッキを紹介した。あちらが変化球なら今回は本家本元、白と緑で構成された剛球一直線な「ヘイトベアーズ」の基本形だ。

 デッキのやることはシンプルだ。クリーチャーを出す、殴る、以上。特殊な動きを要求されるわけでもなく、毎ターンマナを効率よく使い切るように動いていけばそれで良い。《極楽鳥》《貴族の教主》とマナ・クリーチャーからスタートできれば上出来だ。3ターン目《集合した中隊》と動ければ言うことはない。では、このデッキが繰り出すエキスパートな熊(と熊っぽいスペック)の面々を紹介しよう。

墓地掃除担当:《漁る軟泥

 モダンという環境は墓地を悪用するカード・デッキで溢れている。《瞬唱の魔道士》《恐血鬼》《未練ある魂》《御霊の復讐》......それらをパクパクと食べて妨害しつつ、パンチ力をアップさせていく軟泥は頼りになるゲームが多いことだろう。

サーチはさせません:《エイヴンの思考検閲者》《レオニンの裁き人

 モダンを象徴するカードといえばフェッチランド、《溢れかえる岸辺》をはじめとする、ライブラリーから基本土地タイプを持つ土地を探してこれる便利な土地シリーズだ。このフェッチランドをはじめとして、モダンでは「探す」ということを行うカードが多数あり、いずれも活躍している。「ウルザの」土地を探すための《探検の地図》、クリーチャーコンボの友《召喚の調べ》、《溶鉄の先鋒、ヴァラクート》を噴火させる《風景の変容》、《引き裂かれし永劫、エムラクール》を投げつける《先駆ける者、ナヒリ》の奥義...こういった危険なカードをシャットアウト!......とまではいかないが、制限を与えて正常に機能させなくする能力を持ったクリーチャーが2種類採用されている。相手のアクションに対して《集合した中隊》から差し込みたい! 《流刑への道》との相性も抜群だ。

クリーチャーは静かに暮らしたい:《静翼のグリフ

 《台所の嫌がらせ屋》《残忍なレッドキャップ》《修復の天使》《瞬唱の魔道士》《原始のタイタン》《包囲サイ》......モダン環境では戦場に出た時に能力を誘発させるクリーチャーがわんさかいるので、これらを静かにさせるグリフは素晴らしいものだ。《魂の管理人》のような戦場に出たクリーチャー自身ではないものが誘発させる能力も封じることができるのも忘れてはいけないぞ。

アンチ・アンチカード:《復活の声》《無私の霊魂

 最強の熊の呼び声も名高い《復活の声》。対戦相手がこちらのターンに何か呪文を唱えたら、ポコポコと巨大なエレメンタルが発生する。打ち消し呪文を擁する青いデッキにとっては、歩く悪夢でしかない。自身のターンでこれを除去してもエレメンタルは発生と、どうであれ必ず損をさせられてしまうという恐ろしいクリーチャーである。

 同じく対戦相手の手を煩わせるカードとして、最新セット『異界月』からは《無私の霊魂》が参戦。これまで紹介したベアーズに破壊不能を与えて護ることができ、自身はパワー2の飛行とアタッカーとしても申し分なし! 賛美で+1/+1修整を与えて殴りたいところだ。

皆大好きサリア嬢:《スレイベンの守護者、サリア》《異端聖戦士、サリア

 このデッキを紹介する決め手となったのはこの2枚が共演しているという点だ。ヘイトベアの代表格《スレイベンの守護者、サリア》と、その1年後の姿《異端聖戦士、サリア》が居並ぶという、なんとも嬉しい戦場を作り出せる。初代サリアはクリーチャーでない呪文のコストを引き上げ、対戦相手の首を絞める。マナが必要......土地を置かなきゃ......というところで、最新のサリアが基本でない土地をタップ状態で戦場に出させてこれを妨害する。鬼か!呪文がだめならクリーチャーで対抗しようにも、彼女らの道を阻むクリーチャーもタップインとなるため、ザクザクと対戦相手を刻むことができる。鬼だ!

 美しきサリアが熊を引き連れて戦場を駆ける......構図も素晴らしく、対戦相手に好きなことをさせずに勝つというデッキパワーも、日々Magic Onlineのリーグで5勝0敗を繰り返していることでも証明されている。現在スタンダードで「バント・カンパニー」を使っているプレイヤーなら、おそらく好きになるデッキじゃないかなぁなんて思っている。オススメ!

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