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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:キャット・パクト(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:キャット・パクト(スタンダード)
by 岩SHOW
《寄付》というカードがあった。『ウルザズ・デスティニー』にて登場したこの青いソーサリー、自身のパーマネントを他のプレイヤーにその名の通り寄付することができるカードであり、一見何をしたいのかは分かりづらいカードではあった。これでデメリット持ちのパーマネントをプレゼントしてやることで何かしらの旨みを得る、コンボ専用カードであり、これを用いた「ネクロドネイト」や「トリックス」などのデッキが暴れまわったものだ。
この《寄付》をリメイクしたものが《無害な申し出》だ。『異界月』にて登場したこのスタンダード(およびモダン)で使用可能な赤い《寄付》、このカードをプレビューで見たプレイヤーたちが真っ先に思いついたのは「《悪魔の契約》をプレゼントしよう!」これに尽きるだろう。《悪魔の契約》はアップキープを迎える毎に能力が誘発し、1つずつモードを消化していくエンチャントだ。4点ダメージを与えて4点回復、2枚引く、2枚捨てさせる、そして......敗北。アドバンテージを得る3つのモードを消化した後、敗北のモードを残した状態で《無害な申し出》でプレゼントしてやれば、次の対戦相手のアップキープに即時勝利!
と、コンボを閃くまでは良いが、それを用いるデッキの形がなかなか思いつかない。赤黒という色は固定で、さて3色目は足すのか? ビートダウンやコントロールのオマケの勝ち筋にするのか、コンボ一本なのか......残念ながらプロツアーという晴れの舞台でこのデッキが火を噴くことはなかったが、プロツアーを経て環境に存在するデッキが洗練された今、この悪魔の猫ちゃんプレゼント大作戦デッキも完成形となったのだ。グランプリ・ポートランド2016にてTOP8に勝ち進んだことで話題となった「キャット・パクト」の姿を見よ!
6 《沼》 1 《島》 1 《山》 4 《燻る湿地》 3 《窪み渓谷》 3 《詰まった河口》 2 《凶兆の廃墟》 4 《シヴの浅瀬》 2 《進化する未開地》 -土地(26)- -クリーチャー(0)- |
1 《焦熱の衝動》 4 《チャンドラの誓い》 3 《予期》 2 《分散》 2 《闇の掌握》 3 《ジェイスの誓い》 3 《光輝の炎》 2 《無害な申し出》 4 《悪魔の契約》 3 《衰滅》 3 《闇の誓願》 1 《シルムガルの命令》 1 《意思の激突》 2 《最後の望み、リリアナ》 -呪文(34)- |
1 《龍王シルムガル》 2 《払拭》 3 《否認》 2 《精神背信》 1 《無害な申し出》 1 《無限の抹消》 1 《衰滅》 1 《即時却下》 1 《闇の誓願》 1 《意思の激突》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード(15)- |
《悪魔の契約》を4枚採用した「グリクシス・コントロール」だ。《悪魔の契約》を用いたデッキは『マジック・オリジン』にて登場して以来、さまざまなプレイヤーがそれぞれのアプローチで用いようとしてきたカードだ。カード1枚で最大5枚分のアドバンテージを稼ぎ出すが、うっかりすると負けてしまう......この絶妙なデザインに魅せられたマニアは数知れず。最近では《押し潰す触手》を採用した青黒を中心にに緑を足したりしたものがその道の人たちの間では主流となっていたが、ここに来てグリクシス(黒青赤)のコントロールタイプのものが結果を残すこととなった。メインデッキにはクリーチャーが0枚(サイドボードを含めても1枚のみ)という潔い構築が功を奏したのかもしれない。
デッキとしてやることは単純。とにかく対戦相手のクリーチャーを除去していくことが序盤のミッションとなる。黒と赤という除去呪文に優れた色のカードを用いて、クリーチャーの痕跡を塵一つ残さず流し去ってやろう。《衰滅》と《光輝の炎》という2大全体除去が中軸となっているのが特徴的で、「バント・カンパニー」のような面展開を仕掛けてくる上にリカバリーの早いデッキにも対処できるようになっている。
《悪魔の契約》はこれらの除去を引き込むドローソースであり、これ自身も除去として機能するし、対戦相手の手札を落とすことで再展開も阻止することができる。これをスムーズに《無害な申し出》することができればそのまま勝てるが、そういうわけにもいかない。申し出のメインデッキでの採用枚数は2枚と抑えられている。こればっかり引いてもゲームにならないしね。なので、これらを《分散》《シルムガルの命令》で手札に戻してしのぐというゲーム展開も少なからずあることだろう。
これらのカードは完全に《悪魔の契約》依存というわけではなく、除去呪文としての役目も果たせる便利なカードだ。これらを採用しているのもあってか、除去およびドロー呪文であるエンチャント《チャンドラの誓い》《ジェイスの誓い》もしっかりと採用されているのがこのデッキの面白いところ。これらを手札に戻して使いまわす展開もあるということだ。
2枚に抑えられた《無害な申し出》は《闇の誓願》でサーチしよう。このカードも、状況によって必要なカードをサーチできる、柔軟な1枚。《最後の望み、リリアナ》を持ってきてそのまま出すというゲーム展開もあるだろう。猫ちゃんプレゼントコンボ以外の勝ち筋は、プロツアーでもとんでもない戦場を作り出していた彼女の[-7]能力だ。
しっかりと練り込まれてはいるが、それでも使用者専用機の感はあるデッキリストなので、興味のある方はコンセプトはそのままに、細かい部分を自分用に調整すると良いだろう。プレインズウォーカーが多く苦戦するなと感じたら《破滅の道》を採用してみる、といった具合に。
相手の動きを捌いて捌いて、ようやっとコンボが決まった時の達成感は、このデッキならではのもの。1つだけ注意したいのは、《約束された終末、エムラクール》だけは天敵だということ。《悪魔の契約》を設置した返しにこれであなたのコントロールを奪われてしまうと、意志とは裏腹に敗北のモードを選ばれてしまうことになる。いわゆる「友情コンボ」にだけは気を付けて!
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