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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ドレイク・フリッカー(Pauper)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ドレイク・フリッカー(Pauper)

by 岩SHOW

 思いもよらぬことが起きるのがマジック。あの凛々しかったギセラと穏やかだったブルーナが溶け合ってグロテスク極まる《悪夢の声、ブリセラ》になろうとは、『アヴァシンの帰還』の時に誰が想像できたであろうか。

 そうそう、『アヴァシンの帰還』といえば、あのセットのカードが時を経てやってきたまさかのカードと組み合わさって、この2016年に猛威を振るっているなんて、これまた思いもしなかったなぁ......まずはリストを見ていただこう。

Fosioe - 「ドレイク・フリッカー」
Magic Online Pauper Constructed League 5勝0敗 / Pauper (2016年7月17日)[MO] [ARENA]
6 《
3 《
4 《急流の崖
4 《イゼットの煮沸場
3 《孤立した砂州
1 《忘れられた洞窟

-土地(21)-

4 《海門の神官
2 《古術師
4 《熟考漂い
4 《流浪のドレイク

-クリーチャー(14)-
4 《炎の斬りつけ
4 《稲妻
4 《定業
2 《炎の稲妻
3 《対抗呪文
4 《強迫的な研究
3 《幽霊のゆらめき
1 《とどろく雷鳴

-呪文(25)-
4 《水流破
1 《紅蓮破
3 《払拭
3 《電謀
1 《対抗呪文
3 《オーラの変転

-サイドボード(15)-

 先述の『アヴァシンの帰還』のカードというのは《幽霊のゆらめき》のこと。このカードはスタンダードでこそより強力な明滅能力持ちである《修復の天使》の陰に隠れて活躍することはかなわなかったが、コモン限定であるPauperでは輝きを放つ1枚である。

 明滅というのは『アヴァシンの帰還』で俗称が与えられた能力。パーマネントを一時的に戦場から追放し、すぐさま戦場に戻すという能力をこう呼ぶ。マジック初心者には一見どのような意味があるのかわかりづらいが、パーマネントが一時的に戦場を離れることでそれを対象に取ってきた呪文を回避することができ、またパーマネントが戦場に出たときに誘発する能力を再度誘発させることもできる、なかなかに強力なものである。現スタンダードでは、これを行う《変位エルドラージ》が強力なクリーチャーとして活躍してますな。

 この《幽霊のゆらめき》はパーマネントを2つ明滅させることができるインスタントだ。2つ、ということは......片方を明滅させると得をするパーマネントにし、もう片方を墓地からインスタントを回収する能力を持つ《古術師》《記憶の壁》としてこれを唱えると......3マナで恩恵を受けつつ、《幽霊のゆらめき》が手札に戻って再びこのアクションを行えるようになる。《熟考漂い》をシュシュッと出し入れして手札を増やす、《微光地》でライフ回復...などなど。それらのギミックをメインに据えたデッキも複数あり、Pauperプレイヤーにとってはお馴染みの1枚である。

 この《幽霊のゆらめき》の新しい対象として白羽の矢が立ったのが、『エターナルマスターズ』にてコモンとして再録された《流浪のドレイク》。これまではアンコモンのカードであったが、同セットの発売をもってPauperデビューを果たした。

 このドレイクは、5マナ2/3飛行とスペックははっきり言って良くはない。が、これが戦場に出た際に土地を5つアンタップするという能力が誘発する。即ち、実質タダ。こういった呪文をフリースペルと呼び、《時のらせん》を始め、とにかくデンジャラスなカードばかりで......多数のコンボデッキを輩出することになった。このドレイクも《沸き立つ汚泥》と《断絶》と組み合わせて大量のマナを得たり、《死体のダンス》+生け贄手段で無限に戦場と墓地を行ったり来たりするコンボデッキで用いられたものだ。

 で、この2枚がPauperで出会ったとくれば......デッキが作られないわけがない。《流浪のドレイク》+《古術師》or《記憶の壁》+《幽霊のゆらめき》でコンボ完成。この2体に対してゆらめきを唱えると、ドレイクで土地が5つアンタップされてゆらめきが手札に戻る、その土地をすべてタップして5マナ出して3マナ使ってゆらめきを唱えて...を繰り返すことで、マナを無限に生み出すことが可能だ。コモン3枚で無限マナ......恐るべし!

 これにより溢れんばかりのマナを手に入れたら、もう何を用いても勝つことができるが......今回紹介したデッキの場合、《とどろく雷鳴》をX=相手のライフで撃ち込む・《古術師》2体を並べてゆらめき→ゆらめきと《稲妻》を回収して撃ち続ける、というものが挙げられる。これらの勝ち手段が手札になくても、《熟考漂い》《海門の神官》を明滅させ続けたり《定業》《強迫的な研究》を回収して唱え続ければすぐに見つかるのでご安心を。

 正式なデッキ名などもないので、今回は「ドレイク・フリッカー」という名前をつけさせてもらった。最近ではこの形のデッキが結果を残しているようで、Pauperの台風の目になりそうな予感。《対抗呪文》に《稲妻》《炎の斬りつけ》にと、コントロール要素も強力なカードが搭載されており、コンボを狙わなくてもコントロールしながらドレイクと《熟考漂い》で殴り勝ち、なんてゲームも少なからずあることだろう。

 まだまだ完成形には至っていない可能性もあるので、君の手でフォーマットの歴史を変えるデッキを作ることができるかもしれない! Let's Challenge!

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