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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エターナル・ブルー(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エターナル・ブルー(モダン)
by 岩SHOW
マジックはターン制のゲームだ。各プレイヤーは対戦相手やチームメイトなど他のプレイヤーのターンでも行動は取れるというのが他のターン制ゲームとは一線を画すもので、それこそがマジックが最高に面白く難しい、奥の深いゲームである要因だとも思っている。とは言え、自由度が高いのはやはり自身のターン。アンタップ・アップキープ・ドローなどの一連のターン進行、土地を置き攻撃することは自分のターンにしか行えない。
この自身のターンが、永遠に来なかったら? あなたはゲームに敗北することだろう。逆に、対戦相手に一切ターンが回らなければ? 即ち、勝利である。延々と、自分のターンだけを迎える......「無限ターン」デッキなんて、最高じゃないか。ソリティア好きにはオススメな「エターナル・ブルー」をご堪能あれ。
23 《島》 -土地(23)- 1 《海の神、タッサ》 -クリーチャー(1)- |
3 《万の眠り》 3 《血清の幻視》 2 《呪文嵌め》 1 《不死の霊薬》 3 《遅延》 2 《広がりゆく海》 2 《吠えたける鉱山》 4 《クルフィックスの指図》 3 《謎めいた命令》 4 《時間のねじれ》 3 《永劫での歩み》 2 《水の帳の分離》 4 《時間の熟達》 1 《ジェイス・ベレレン》 -呪文(37)- |
2 《呪文滑り》 3 《瞬間凍結》 3 《ハーキルの召還術》 2 《疲労困憊》 2 《冬眠》 3 《虚空の杯》 -サイドボード(15)- |
《時間の熟達》《時間のねじれ》《永劫での歩み》《水の帳の分離》と、追加ターンを得る呪文が計13枚も採用されている。お前にターンはやらない!という気概は感じるが、本当にそれだけでゲームになるのか?
これがねぇ、意外となっちゃうんですよ。本来こうした追加ターン系のカードは、得たターンで何をするかという目的があってこそのカード。全展開したクリーチャーで息もつかせず殴るとかね。ただこのデッキでは、本来目的を達成するための手段となる「追加ターンを得る」ということが目的となっている。デッキのすべてのカードがターンを得るということに向かって特化しているこのデッキが、実際に行うであろう動きを解説しよう。
(1) ドローエンジンを設置!
追加ターンを得る呪文というものは、奇跡コストで2マナで払えるものもあるが、おしなべてマナコストが重たいものである。5、6、7マナ......それらを気軽に唱えるのにはそれだけのマナを供給する土地が必要である。かと言って「土地がどっさり27枚ヘビー級どんと来い」という構築をしてしまうと、今度は土地ばかり引いてしまい、追加ターンを得る旨みも薄れるというもの。
それを解決するのが古より続く《吠えたける鉱山》の系譜、追加ドローをもたらすパーマネントだ。このデッキでは《吠えたける鉱山》《ジェイス・ベレレン》そして《クルフィックスの指図》がその役割を持ったパーマネント、ドローエンジンにあたる。これらを戦場に出して毎ターン追加のドローを得れば、呪文と土地を効率よく手に入れていくことができるだろう。これらを複数重ね貼りすることで、追加ターンを得る=カードを3〜4枚引くという恐るべきものに変貌してゆくのだ。
《クルフィックスの指図》は瞬速で相手のターン終了時に戦場に出すことができ、すべてのプレイヤーに追加ドローをもたらす鉱山系のカードのデメリットを多少軽減することに成功している素晴らしいエンチャントだ。なるべくこれがある初手でゲームを始めたいものだ。
(2) 追加ターンを得る!
ドローエンジンや《血清の幻視》を用いてザクザクとライブラリーを掘り進めながら、相手のアクションは《謎めいた命令》などの打ち消し呪文で捌いていこう。そうやって手札の追加ターンを得る呪文を唱えられるような状況が整えば、Get the extra turn!
追加ターンを得る、追加のドローも得る、手札にさらなる追加ターン呪文があれば? おかわり! 土地もドローエンジンも展開しながら、わんこそばの如くターンをお代わりしていこう。追加ターンを得る直前の相手のアクションは《遅延》で打ち消しておくと良いだろう。このような追加ターンループに突入してしまえば、対戦相手の待機状態の呪文が唱えられることなんて二度とない。
(3) 「エターナル状態」で無抵抗の相手に勝て!
(2)のように追加ターンを延々と得ていくうちに、ライブラリーが擦り切れたり、追加ターンを得る呪文が尽きてしまうこともあるだろう。そんな時に《不死の霊薬》を用いよう。このアーティファクトで墓地のカードをすべてライブラリーに戻して修復してやれば、万事OK!
これで文字通り、永遠のターンを手に入れることができたら...後はその無限の時間の中で勝利を収めるのみだ。《水の帳の分離》を覚醒コストで唱えて得た6/6の土地・エレメンタルで殴り続けても良いし、《クルフィックスの指図》などを並べることで信心5を達成した《海の神、タッサ》でブロックされない5点パンチを連打しても良し。あるいは《ジェイス・ベレレン》の[-10]能力を2〜3度使用してからの[+2]能力でライブラリーアウト勝ちというのもありだ。
大抵は、これらのカードの姿を見た時点で対戦相手は投了して、次のゲームへと進むことだろう。これらのカードの何が良いかって、フィニッシャーでありながらターンを得たりドローサポートを行ってくれること。初手にこれらが来たからって、《引き裂かれし永劫、エムラクール》のようなカードと違って普通に使用することができるので、ものすごく困るなんてことはないのである。
ザックリ解説ではあるが、永遠に続く自分だけの時間を満喫するこのデッキの目指すところがお分かりいただけたかなと思う。僕自身、一時期モダンのこのデッキを組んで延々一人回しを行うことを楽しんでいた時期があったので、思い入れのある好みのデッキである。
このデッキに興味を持った人に伝えたいことは、毎日一人回しを行って、ある程度習熟度を高めてから大会に持ち込もう!ということ。回りだすと完全にソリティア状態となる。そこでのんび〜りやっていると、待っている対戦相手にも申し訳がないし、そもそも50分で2本先取できるかどうかという問題がある。スピーディーにドロー、セット、ターン得て終了宣言、手札が8枚以上あれば素早くディスカード、アンタップ......と、流れるように、かつ丁寧な挙動を心掛けたいものだ。
デッキの構造上、除去などを持たないので相手にされるがままとなって惨敗するゲームもあるが、勝つ時はこの上ない満足感を与えてくれるデッキである。長丁場を戦うのは大変かもしれないが、ぜひあなただけの時間を楽しんでほしいぞッ。
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