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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:食物連鎖(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:食物連鎖(レガシー)
by 岩SHOW
理科の授業かなんかで「食物連鎖」という概念について学ぶことがあったかと思う。ピラミッドに動植物のイラストが描かれているアレね。改めてこれについてザックリ解説すると......
まずは土壌生物。ミミズ、ダンゴムシといった植木鉢の下にいる蟲の面々&バクテリアなどの微生物たちが、他の生物の死骸や落ち葉などを食して分解する。彼らは文字通り、分解者と呼ばれている。この分解者が活動することで土は養分を含んだものとなる。これを利用するのが生産者・植物だ。彼らはこの養分を糧に成長し、草葉をしげらせ......この生産者が作り出した葉や果実を食するのが、植物食の昆虫や哺乳類など......これらは第一次消費者というグループになり、そして彼らを捕食する肉食性の連中を第二次消費者......といった感じで続いていく。キリがないので、オオワシやトラのような頂点に立つものを高次消費者と呼ぶことだけ覚えておこう。
なんで突然こんな話をするかって? 今日はそんな、食物連鎖に関するデッキを紹介するからだ。その名もまんま「食物連鎖」! 多元宇宙の生態系は、あるクリーチャーによって複雑怪奇なことになっているぞ。
2 《冠雪の島》 1 《冠雪の森》 1 《冠雪の沼》 3 《Tropical Island》 3 《Underground Sea》 1 《Bayou》 4 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 1 《新緑の地下墓地》 -土地(20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 1 《極楽鳥》 4 《悪意の大梟》 2 《激情の共感者》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 4 《霧虚ろのグリフィン》 1 《黄金牙、タシグル》 1 《潮吹きの暴君》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(19)- |
4 《渦まく知識》 2 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 3 《運命の操作》 4 《食物連鎖》 4 《意志の力》 1 《誤った指図》 -呪文(21)- |
1 《叫び大口》 2 《花の絨毯》 2 《強迫》 2 《狼狽の嵐》 2 《真髄の針》 2 《大祖始の遺産》 2 《ゴルガリの魔除け》 2 《梅澤の十手》 -サイドボード(15)- |
キーカードはデッキ名にもなっている《食物連鎖》。クリーチャーを「クリーチャーを唱えるのにしか使えないマナ」に変換するというこのエンチャント、登場当初こそ使い道のないものだったが、《ゴブリン徴募兵》《ゴブリンの首謀者》との相性の良さから「食物連鎖ゴブリン」なるデッキを生み出したり、高速で《夜陰明神》などのヘビー級を連打して手札も土地もクリーチャーも吹き飛ばす「ターボ明神」なるデッキも作られたりしたものだ。それらを経てしばしの沈黙の後、『アヴァシンの帰還』にてあるとんでもないクリーチャーが登場したことで《食物連鎖》というカードは大化けする。そのクリーチャーとは《霧虚ろのグリフィン》。
《食物連鎖》は《メタモルフォーゼ》の調整版であり、何度も使えるようにした代わりにクリーチャーを生け贄ではなく追放するようになっている。そのため、マジックには数多くいる墓地から何かしらの手段で還ってくるクリーチャーとは何のコンボもできなかったのだが...この《霧虚ろのグリフィン》はそれまでになかった、追放領域から唱えることのできるカードである。《食物連鎖》でこれを{U}{U}{U}{U}{U}に変換→追放されたグリフィンを4マナで唱える→また5マナに→またグリフィン、これを繰り返し続ければ、クリーチャー専用であるとは言え何マナでも生み出すことが可能だ。このお手軽無限マナコンボで勝利するのが「食物連鎖」デッキだ。
このデッキを構成するものは上記のコンボパーツと、そこに至るまでをサポートするドロー・打ち消し・手札破壊や除去などの妨害呪文と、その他のクリーチャーだ。《渦まく知識》に関しては今更語るまでもないが、《運命の操作》なんて見たことないというプレイヤーが多いんじゃないだろうか。
ライブラリーから3枚のカードを探して追放する、即ち《霧虚ろのグリフィン》を追放して後は《食物連鎖》と4マナさえあればコンボ成立という状況を作り出せる、素晴らしいサーチカードだ。これらを用いてコンボパーツを探し、唱える。これに至るまでの相手のアクションに対しては《意志の力》《誤った指図》で応じよう。これらはマナを払う代わりに青いカードを手札から1枚追放することで唱えることができるが......青いカードを追放、ということでもうお分かりいただけただろう。手数を実質的に減らさずにこれらの呪文を運用できるのはこのデッキのセールスポイントだ。
採用されているクリーチャーは《極楽鳥》《死儀礼のシャーマン》のコンボ速度を高めるマナクリーチャーズ、除去の薄いデッキゆえに良き壁となり手札も消費しない《悪意の大梟》、いざという時はそのままフィニッシャーになる妨害役《ヴェンディリオン三人衆》、1マナから《食物連鎖》で一気に7マナまで捻出してコンボを助けると同時にこれまたフィニッシャーにもなれる《黄金牙、タシグル》とスゥルタイ(黒青緑)カラーのオールスター的メンバーが揃っている。
グリフィン無限マナから展開する正規フィニッシャー、いわゆる「高次消費者」の役目を務めるのは定番の《引き裂かれし永劫、エムラクール》と《潮吹きの暴君》。エムラクールはまあド定番だが、《潮吹きの暴君》もなかなか。これさえ出ればグリフィンをグルグル回して相手のパーマネントをすべて手札に戻してしまえるぞ。この2体のフィニッシャーにアクセスできるのが《激情の共感者》。このカードの能力でこれら食物連鎖の頂点に立つものを呼び出しつつ、グリフィンを唱えるための4マナを生み出す、まさしく生産者の役目を果たすカードだ。こう説明するとなんともそれっぽくて良いね。
クリーチャー主体のコンボデッキの中でも、随一の奇妙な・そして強力な動きを見せる逸品である。一度は手に取って、回してみると良いんじゃないかな。人にとっては、そのグルグル感が病みつきになることだろう。『異界月』にて登場した《永遠の災い魔》もこのコンボをサポートしてくれるので、もしかしたらより強力なデッキとして化けるかも? 今後が楽しみだ。
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