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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Uba Stax(ヴィンテージ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Uba Stax(ヴィンテージ)
by 岩SHOW
先日Twitterで「あなたが最初に剥いたパックから出たレア」を呟くという企画を目にした。最近では覚えていないのだが、昔は各エキスパンションセットが出るたびにお小遣い・バイト代を握りしめて買いに行ったパックから飛び出したレアを覚えていたものだ。そんなにパックを買えないので、最初に引いたレアで頑張ってデッキを作るということをやっていた。その中でも、最も頭を捻り、またワクワクさせられたのは......『ウルザズ・レガシー』から飛び出した《ゴブリンの溶接工》だろう(僅差で『オデッセイ』の《納墓》と《パーディック山の鉱夫》が敗れている)。
戦場と墓地にあるアーティファクトを入れ替えるという能力は実にユニークで、これで軽いアーティファクトと墓地に落ちた大型アーティファクト・クリーチャーを入れ替えるリアニメイト戦略や、生け贄に捧げる起動型能力を持ったアーティファクトを何度も使いまわそうとしたり......夢は広がったが、大したデッキになることはなく、フレイバーテキストにあるようにロボットを壊して灰皿を作る程度のネタデッキしか作ることは出来なかった。
このカードが日の目を見るようになったのは、やはり『ミラディン』登場後。《精神隷属器》《白金の天使》《映し身人形》のような重くて強いアーティファクトが多数登場したことにより、このカードの必殺性は上昇。「ウェルダーリアニメイト」「ウェルダーサバイバル」といったデッキが誕生し、エクステンデッドやレガシーにて活躍したのだった。
しかしまあ、アーティファクト使うならやっぱりヴィンテージだろ、ってなわけで僕の思い出の1枚は最近ではヴィンテージでコツコツと溶接のお仕事をしているようです。本日ご紹介するデッキは「Uba Stax」!
4 《戦場の鍛冶場》 4 《魂の洞窟》 4 《ミシュラの工廠》 4 《Mishra's Workshop》 1 《古えの墳墓》 1 《トレイリアのアカデミー》 3 《Bazaar of Baghdad》 -土地(21)- 4 《ゴブリンの溶接工》 4 《難題の予見者》 1 《銀のゴーレム、カーン》 -クリーチャー(9)- |
1 《Black Lotus》 1 《魔力の墓所》 1 《Mox Emerald》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Sapphire》 1 《太陽の指輪》 4 《抵抗の宝球》 4 《アメジストのとげ》 3 《罠の橋》 2 《世界のるつぼ》 1 《三なる宝球》 4 《姥の仮面》 3 《煙突》 1 《虚空の杯》 -呪文(30)- |
4 《封じ込める僧侶》 4 《エーテル宣誓会の法学者》 3 《トーモッドの墓所》 4 《神々の神盾》 -サイドボード(15)- |
『神河物語』に《姥の仮面》というアーティファクトがある。見たことも聞いたこともないという人もいることだろう。このカード、ややこしく書いてはあるが要するに「プレイヤーの手札は増えない。引いたカードはその場で使いなさい」という能力を持っていて、まあドロー呪文や能力への対策、特にカードを引いて構える青へのアンチカードとして作られたのだろう。
この《姥の仮面》がデッキの主役なのがその名も「Uba Stax」。もともと、対戦相手を《Mishra's Workshop》から展開される《からみつく鉄線》や《煙突》により雁字搦めに縛り上げるデッキを「Stax(※1)」と呼んでいた。そこに、この《姥の仮面》をどっさり投入したのが「Uba Stax」である。
(※1:読みは「スタックス」。語源は、最初にこのデッキが結果を残した際に表記されたデッキ名が「「$t4Ks」」だったことによる。4000$に値する、ヴィンテージ環境の解決策という意味で、それぞれの英単語の頭文字や略称などを並べ替えたものだ。なんというネーミングセンスなのだろう。)
《姥の仮面》はただ置いているだけでも打ち消し呪文などの使い道がなくなりいやらしいカードではあるが、その真価は今日の主役《ゴブリンの溶接工》と組み合わさった時に発揮される。対戦相手がドローステップにてカードを引く、ということを《姥の仮面》により置換され、引くはずだったカードを追放する。その後、メイン・フェイズに入る前にこちらに優先権が回ってきたら《ゴブリンの溶接工》の能力を起動し、この《姥の仮面》を墓地のアーティファクトと入れ替えてみよう。
すると......仮面を失ったことで、カードは追放されてはいるもののプレイヤーはそのカードをプレイできなくなってしまう。つまり完全にドローを封じ込めてしまうのである。凶悪だ。これと《煙突》や呪文のプレイを阻害するアーティファクトなどをガッチャガチャ回して、対戦相手のリソースを根こそぎ奪ってしまおうという、何とも性質が悪いデッキである。
《姥の仮面》は対戦相手よりカードを奪うが、こちらには富をもたらすカードでもある。このデッキにはマナ能力を持たないが恐ろしいまでのドロー能力を持つ《Bazaar of Baghdad》が搭載されている。
この土地は「カードを2枚引き、その後カードを3枚捨てる。」という能力を持っている。手札が0枚の状態でこの能力を起動すると、通常は2枚引いてそれらのカードを全部捨てることになるだけだが......《姥の仮面》があれば、ドローするのではなくカードを2枚追放することになるので、Bazaar自身の能力でこれらのカードを捨てずに済み、美味しく利用することができるのだ。そうやって自分は仮面でアドバンテージを得て、相手には失わせる。恐ろしいことこの上なしで、実にヴィンテージ感あふれるデッキである。
最近ではご覧のように、《難題の予見者》も投入して相手が握った手札自体も奪いにかかるという徹底っぷりが美しい。自分だけはこのクリーチャーで攻撃し、相手のターンには溶接工で《罠の橋》を持ってきてクリーチャーを沈黙させる、なんてトリックプレーも可能。溶接工が2体並ぶと、もはやヤツらが作り上げるのは灰皿どころか殺戮兵器! このデッキならではの特殊な挙動、一度味わえばもう普通のマジックには戻れないかも?!
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