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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マルドゥ・コントロール(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マルドゥ・コントロール(スタンダード)

by 岩SHOW

 プレイヤーやクリーチャーにダメージを与える・ライフを失わせる、いわゆる火力呪文。この呪文を最も多く抱える色はもちろん、赤。ではそれに次ぐ色は? 厳密には火力とは言えないかもしれないが、黒にはそういった役割のカードがいくつかある。《堕落》《ソリンの渇き》《魂の饗宴》のような与えたダメージ・失わせたライフ分こちらが回復する、いわゆるドレイン呪文が主流になるか。《夜の衝突》のような火力と認識されているものもあるし、《ケアヴェクの悪意》のようないろんな意味ですごいカードまである。

 この黒くてライフを攻めるカード群で、つい最近まで活躍していたものが...皆さんご存知の《包囲サイ》。対戦相手が3点のライフを失い、こちらが3点のライフを得る。これが4/5トランプルのクリーチャーにくっついてくるんだから、そりゃ強かったわけですよ。

 なぜこんな話をしているのかというと、こんなデッキを見かけたからだ。「マルドゥ・コントロール」ではあるのだが......

natsuki - 「マルドゥ・コントロール」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2016年6月25日)[MO] [ARENA]
7 《
4 《
1 《平地
4 《戦場の鍛冶場
4 《鋭い突端
1 《コイロスの洞窟
1 《乱脈な気孔
4 《進化する未開地

-土地(26)-

4 《雷破の執政
4 《ゴブリンの闇住まい

-クリーチャー(8)-
3 《龍詞の咆哮
3 《究極の価格
2 《チャンドラの誓い
4 《癇しゃく
3 《光輝の炎
2 《血管の施し
2 《極上の炎技
2 《コラガンの命令
3 《先駆ける者、ナヒリ
2 《炎呼び、チャンドラ

-呪文(26)-
3 《瘡蓋族の狂戦士
3 《罪を誘うもの
4 《自傷疵
2 《破滅の道
1 《悪性の疫病
2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス

-サイドボード(15)-

 除去呪文を《ゴブリンの闇住まい》で使いまわす、前環境から存在するオーソドックスなデッキ...に見えるが、よくよく見ると面白い呪文が。そう、このカードのためにわざわざ序文を書いたのだ。《血管の施し》、『イニストラードを覆う影』で登場した、ライフドレイン呪文だ。個人的にはドラフトでも使ったことがない呪文で......それがスタンダードで使われているということに驚きを隠せなかった。これはこの場で紹介しないとなぁと。

 3点のライフを対戦相手から吸収する、ただそれだけの呪文で盤面には何の影響ももたらさない。ゆえにドラフトでも扱いにくいカードなのだが......このカードにはもう一文書かれている。マッドネスだ。手札からこのカードを捨てる際に、マッドネス・コストを支払えばそれをただ捨てる代わりに唱えられるという能力だ。確かに、マッドネスで唱えれば1マナで《稲妻のらせん》をプレイヤーへ向けて撃っているようなものなので、コストパフォーマンスは良い。

 これをマッドネスで使わせてくれるカードが、《先駆ける者、ナヒリ》。彼女の[+2]能力で手札からカードを捨てる際にこれを捨てれば、捨てたカードをドロー付きの《稲妻のらせん》として運用したようなもんだ(言いすぎかな)。このカードだけでなく《癇しゃく》でも同様に捨てて1マナで唱えることができる。手札を入れ替えつつライフを攻める、コントロールと言ってもややアグレッシブな作りとなっている。

 他に採用されているカードも、《極上の炎技》《チャンドラの誓い》とライフを攻めるカードが多めで......《雷破の執政》も除去しようとすれば3点のダメージを飛ばすし、これが戦場か手札にある時の《龍詞の咆哮》もクリーチャーだけでなくプレイヤーにもダメージを与えるようになる。このデッキ、攻めるねぇ。

 この攻め寄りのチョイスのカード群を、美味しく使いまわすのが《ゴブリンの闇住まい》。5マナ4/4威迫と攻め向きの能力に、おまけで3〜4点の火力がついてくるとくれば、これはもう現代の《包囲サイ》だ(言いすぎかな)。これを《コラガンの命令》で使いまわせばウハウハだ。このカードで使いまわすことの多い確定除去《破滅の道》やドロー呪文《骨読み》を排してここまで攻撃的に組んであるのは、もうこのゴブリンを第二の《包囲サイ》として使いたいという思いがあったに違いないのだ(どうかな)。

 「マルドゥ・コントロール」で強い《乱脈な気孔》も枚数は1枚に抑えられ、より攻撃的な《鋭い突端》が4枚採用されている。この辺はマナバランスの問題もあるので一概には言えないが、より攻撃的な「マルドゥ・コントロール」を組もうという気概が感じられる。

 『異界月』のプレビューで登場した《血の間の僧侶》のような、攻撃的なマッドネスカードが増えれば、こういったアプローチのデッキが増えるかもしれない。ワクワクしながら、毎日の更新を待とうじゃないか。

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