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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:歯と爪(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:歯と爪(モダン)
by 岩SHOW
現スタンダードの「緑白トークン」や「バント・カンパニー」のミラーマッチを見ていると、なかなかにしんどい。やる方はもっとしんどいだろう。お互いがガッチリしたクリーチャーを展開し合って......さながら戦国時代や三国志なんかで目にする、川を挟んで両軍が布陣する光景であるかのようだ。お互い殴るに殴れず、決定打を引くまでは自陣を形成し続け......《悲劇的な傲慢》で更地になって仕切り直し......胃が痛む。このピリピリとした空気をプレイングで打ち破ることができる実力者たちにとっては最高に楽しい時間なのかもしれない。
僕はまあ、固唾をのんで見守っているのが限界かなぁ......勝つ時も負ける時も、派手に散ることができるデッキの方が性に合っている。今日はそんなデッキが好きだという同志の諸君に、イカしたデッキを紹介しよう。時を超えて牙を剥く、そのデッキの名は「歯と爪」。
10 《森》 4 《踏み鳴らされる地》 3 《樹木茂る山麓》 2 《吹きさらしの荒野》 1 《ケッシグの狼の地》 1 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(21)- 4 《東屋のエルフ》 1 《極楽鳥》 4 《旅するサテュロス》 3 《永遠の証人》 1 《歓楽の神、ゼナゴス》 1 《原始のタイタン》 1 《女王スズメバチ》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(16)- |
4 《楽園の拡散》 4 《はびこり》 2 《血染めの月》 2 《調和》 3 《原初の命令》 4 《歯と爪》 3 《野生語りのガラク》 1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 -呪文(23)- |
2 《漁る軟泥》 1 《呪文滑り》 1 《強情なベイロス》 2 《稲妻》 1 《自然の要求》 1 《古えの遺恨》 2 《窒息》 1 《忍び寄る腐食》 1 《塵への崩壊》 2 《忌むべき者のかがり火》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 -サイドボード(15)- |
その名の通りキーカードは《歯と爪》。このカードは双呪という能力を持っている。普通に使えば2つのモードから1つ選ぶ呪文だが、追加コストとして双呪コストを支払えば、両方のモードを持つ呪文として使用することができる。この《歯と爪》はその能力を持った呪文の中で最も活躍した呪文だ。
双呪で唱える際の総コストは9マナと超重量級ではあるが、ライブラリーからクリーチャー・カードを2枚探して手札に加え、その後手札からクリーチャーカードを2枚戦場に出すことができる。持ってくるクリーチャーはどんなものでも構わない。これがスタンダード環境にある際には《ダークスティールの巨像》×2=THE暴力や、《レオニンの高僧》+《白金の天使》=THE不死身、《メフィドロスの吸血鬼》+《トリスケリオン》=THE大量殺戮、といった具合に、純粋にデカいクリーチャーを持ってきて殴り倒したり、クリーチャー2枚によるコンボで圧倒的優位に立ったりしていた。わかりやすく強力なカードで、エルフや土地を大量展開してマナを生み出してこれを唱えるデッキが複数種類登場した。
このカードが暴れていたのが2004年頃。それから10年以上が経過し......当時では考えられないほどの強力なクリーチャーが登場し、自ずとこのカードの持つ潜在能力も上昇していた。今こそ使う時!なのかもしれない。
デッキの狙いは単純だ。マナを伸ばし、《歯と爪》! マナを伸ばす方法は《はびこり》と《楽園の拡散》が中心となっている。これらのオーラは土地に貼りつけて、その土地が生み出すマナの量を増加させる。これを《森》につけて《東屋のエルフ》や《野生語りのガラク》《世界を目覚めさせる者、ニッサ》でアンタップすることによって爆発的にマナを伸ばすのだ。
マナ・クリーチャーなら《稲妻》なんかの除去でコロッとやられてしまい、《ウルザの塔》などの土地ならば《塵への崩壊》《大爆発の魔導士》なんかがパリンと割って邪魔してくる。基本土地にオーラを貼る、というアプローチは比較的妨害されにくいマナ加速方法だ。
《歯と爪》までたどり着けば、勝利はもう君のもの。戦場に繰り出すのは《歓楽の神、ゼナゴス》と《引き裂かれし永劫、エムラクール》。テーロスの神となった者と、久遠の闇より来たりし邪神。この組み合わせは背景世界的にもなんだか熱いものがあるが、それはゲームでも同じだ。
ゼナゴスによりエムラクールは速攻を得るとともに+15/+15の修正を受けて対戦相手に襲い掛かる――6つのパーマネントを滅殺6で薙ぎ倒しながら。相手に飛行クリーチャーを止める手段がなければ30点ぶち込んでゲーム終了である。この光景だけで白米を一杯やれそうな、カロリー満点のコンボである。
ごらんのとおり愚直で大振り、ゆえに隙がありすぎてなかなか安定して白星を重ねられるデッキではない。でも、使っていて楽しいデッキであることには違いない。じっくり睨み合い一手一手勝利へと向かっていくゲームに疲れたら、たまにはこういう、最初で最後の一手で勝負に出るデッキを使ってみるのも良いんじゃないかな。日頃のいろんなものがスッキリすると思うよ!
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