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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ドレッジヴァイン(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ドレッジヴァイン(モダン)

by 岩SHOW

 全盛期を過ぎた選手が数年の低迷期を経て復活する、という展開が好きで......メジャーリーグで今季限りで引退を表明した某選手が、2016年6月現在、バカスカホームランを打ってもしかしたらキャリアハイの成績を残すのではなんて話になっている。こういうの、夢があって良いよね。まだまだ自分も伸びることができるはず!やったるぞ!という気持ちにさせてくれる。

 マジックで言うなれば......ジョン・フィンケル/Jon Finkeが2015〜16シーズンで2度プロツアーTOP8に入って衰えを知らぬところを見せつけたのはシビれたね。ただプレイヤーもそうだが、個人的にはデッキが再浮上してくるという展開が好きだ。一時期成功を収めるも、対策され周りの進化に追いつけずに環境から去って......誰もが忘れた頃、最新セットのカードが新戦力としてデッキを補強し飛躍!みたいな展開がグッとくる。今日は最近再浮上を果たした「ドレッジヴァイン」を紹介しよう!

Jeremey Schofield - 「ドレッジヴァイン」
Warp 2 1.5K トップ8 / モダン (2016年5月21日)[MO] [ARENA]
2 《
3 《草むした墓
2 《血の墓所
4 《血染めのぬかるみ
4 《新緑の地下墓地
4 《黒割れの崖
1 《溺墓の寺院

-土地(20)-

4 《墓所這い
4 《傲慢な新生子
4 《恐血鬼
4 《ロッテスのトロール
2 《朽ちゆくネズミ
4 《秘蔵の縫合体
4 《臭い草のインプ
4 《復讐蔦
4 《ゴルガリの墓トロール

-クリーチャー(34)-
4 《信仰無き物あさり
1 《稲妻の斧
1 《壌土からの生命

-呪文(6)-
1 《大物狙い
2 《暗黒破
2 《思考囲い
4 《古えの遺恨
2 《突然の衰微
1 《インプの悪戯
3 《骨までの齧りつき

-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)

 発掘能力で墓地を肥やし、《復讐蔦》など戦場に戻ってくるクリーチャーを一気に展開して殴り勝つビートダウンが「ドレッジヴァイン」だ。このデッキはモダン制定時から《面晶体のカニ》で墓地を肥やすタイプが存在し、その特異な動きからファンも多かったが......《死儀礼のシャーマン》という《復讐蔦》の天敵の前では活躍できず、もっと安定したビート・コンボが活躍する中で年々とにかく厳しくなる墓地対策を前にして消えていったデッキである。

 第一の転機は《ゴルガリの墓トロール》の解禁。このカードが使用可能になって、ちまちました墓地肥やしに頼らず6枚一気にガサッと落とせるようになった。まずはこれで爆発力が上昇。しっかりと調整したデッキでは、このカードの発掘は6枚ドローと同義である、と言っても過言ではない。これで《臭い草のインプ》《壌土からの生命》と併せて、発掘デッキにとって理想的であるとされる発掘カードを9枚採用してデッキを作ることが可能となった。

 第二の転機は『イニストラードを覆う影』から得た新戦力。《秘蔵の縫合体》はプレビューの段階から発掘系のデッキで活躍するのではと言われ続けていたが、その予想を裏切ることなく「ドレッジヴァイン」にフィット。《墓所這い》《恐血鬼》《朽ちゆくネズミ》《復讐蔦》と墓地から還ってくるクリーチャーがこれだけ入っていると、ゲラルフが縫い合わせたこの秘蔵っ子もワラワラと墓地から湧いてくることだろう。戦場にはタップ状態で出てしまうが、次のターンからはブロックに回れるのも素晴らしい。《墓所這い》《恐血鬼》にはできない芸当だ。

 そしてもう1枚、意外なイケメンがデッキの必須パーツに。《傲慢な新生子》だ。この1マナ吸血鬼、生け贄に捧げることで手札を1枚捨ててカードを1枚引くことができるため、リミテッドのマッドネス・昂揚達成要員としていい仕事をするカードではあるのだが......まさかモダンで使われることになるとは。1ターン目にこれを出して生け贄に捧げ、《ゴルガリの墓トロール》を捨てて発掘、ここで次の発掘カードに繋げつつ、《恐血鬼》に縫合体といったヤツらがどっさり落ちれば......こみ上げる感情を押し殺して冷静にゲームをするのも難しそうだ。マナ・コストが軽いため、《復讐蔦》の復活条件「同一ターンにクリーチャー呪文を二度唱える」達成の手助けもしてくれることだろう。

 このデッキを使う時は、まずこの《傲慢な新生子》と《信仰無き物あさり》がある手札でゲームを開始したい。せめて《ロッテスのトロール》くらいないとデッキは動き出さない。これらのカードで墓地に発掘カードを落とし、ドローを置換して墓地を肥やし、蘇るクリーチャーたちを殺到させる。シンプルだが強力で、メインは勢いのままに押し切ることができるだろう。

 問題はサイド後のゲームで......墓地対策との辛く苦しい戦いが君を待っている。《思考囲い》で手札から抜く、《突然の衰微》《古えの遺恨》で叩き割るという対策の対策は用意されているが、これを引けるか否か・またこれらを採用したことで爆発力の落ちたデッキでどう戦うか? 試練の時を迎えることになるだろう。これらのカードならば流行の墓地対策《安らかなる眠り》《大祖始の遺産》あたりには対処できるが......例えばこのデッキが流行ってくると《虚空の力線》なんかが採用されるようになるかもしれない。これには上記のカードでは太刀打ちできないので《天啓の光》《自然の要求》のようなエンチャント破壊をしっかり採用してトーナメントに持ち込んだ方が無難かも?

 この手の墓地依存デッキは流行ると対策されて勝つことが厳しくなるのが世の常。覚悟を持って、楽しい発掘ライフを!

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