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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青赤コントロール(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青赤コントロール(スタンダード)
by 岩SHOW
現スタンダードに存在するカードで、最強の1枚を決めるのであれば? 非常に難しい質問だとは思う。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》か、《龍王シルムガル》か、《炎呼び、チャンドラ》《ヴリンの神童、ジェイス》《集合した中隊》《大天使アヴァシン》......正直なところ、好みの問題でもあるように思える。いわゆる「唱えたら勝ち」系のカードで言えば......やはり《絶え間ない飢餓、ウラモグ》が浮かぶ。10マナとスーパーヘビー級ではあるが、バリバリッとパーマネントを2つ追放しつつ降臨する破壊不能の10/10という、戦場をちゃぶ台返しするエルドラージの巨人。攻撃すればライフだけでなくライブラリーも20枚追放と、対戦相手に徹底的に敗北を与えるために久遠の闇より生まれし邪神である(※1)。
(※1:エルドラージは、多元宇宙に存在する次元と次元の狭間「久遠の闇」に満ちる穢れていない=色を持たないマナより生まれてきた存在であるという。)
そんな現環境最強クリーチャーであるウラモグを扱うには、やはりランプ戦略が手っ取り早い。当コラムでも何度か紹介してきた赤緑が主体ではあるが、最近では黒緑という形も出てきたようで。いずれにせよ《ニッサの巡礼》《爆発的植生》《ニッサの復興》といったカードを有する緑を中心に、時間を稼いでマナを伸ばしてウラモグまで繋げる、というデッキはシンプルで扱いやすく、しかし構築はちょっとの違いが大きく響く、奥の深いデッキである。
話がそれそうだったが、戻して。ウラモグを扱うにはランプが一般的。では、ランプ以外のアプローチはないのか? 今日は、この唯一無二のフィニッシャーを使うことを目指して構築された、あるコントロールデッキを紹介しよう。
6 《島》 4 《シヴの浅瀬》 4 《高地の湖》 4 《さまよう噴気孔》 4 《魔道士輪の魔力網》 4 《見捨てられた神々の神殿》 2 《繁殖苗床》 -土地(28)- 3 《希望を溺れさせるもの》 3 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(6)- |
4 《面晶体の記録庫》 4 《予期》 4 《次元の歪曲》 4 《虚空の粉砕》 2 《コジレックの帰還》 4 《意思の激突》 2 《秘密の解明者、ジェイス》 2 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文(26)- |
3 《難題の予見者》 2 《焦熱の衝動》 2 《侵襲手術》 2 《否認》 4 《熱病の幻視》 2 《コジレックの帰還》 -サイドボード(15)- |
アメリカはインディアナポリスで開催されたStarCityGames.com Classic にて、TOP8に入賞した「青赤コントロール」。以前のスタンダードにも《スフィンクスの後見》と《アルハマレットの書庫》を搭載した同色のコントロールデッキは存在した。青の打ち消し呪文と赤の火力で相手の攻勢を捌き......しかし、フィニッシャーのパワーが乏しかったため、活躍は長くは続かなかった......というか通のデッキすぎてなぁ。『イニストラードを覆う影』発売直後に《氷の中の存在》をフィーチャーしたタイプのものも登場したが、やはり勝ち筋としては細かったか、流行ることはなくプロツアー後のメタゲームからは完全に消え去っていった。
そこで、分厚い勝ち筋《絶え間ない飢餓、ウラモグ》の採用である。これを運用するために土地は28枚、《魔道士輪の魔力網》《見捨てられた神々の神殿》《繁殖苗床》という2マナ以上を生み出すことも出来る土地を多めに採用し、《面晶体の記録庫》まで採用してしっかりと10マナへの到達を目指す。「赤緑ランプ」などでは土地をサーチしてくる呪文などを唱えて自分からマナをガンガン伸ばしてウラモグ着地を目指すが、このコントロールデッキはそれとは異なり、毎ターン確実に土地を引いて静かに置いていく、という方法でゴールを目指す。
もちろん、土地を8枚9枚静かに置いていく過程を対戦相手が見守っているはずもなく、苛烈に攻め立ててくるだろう。これを捌くのが打ち消し呪文と除去。ここのチョイスが実にシブく......《次元の歪曲》《コジレックの帰還》《虚空の粉砕》と、無色呪文がズラリと並ぶ。何れも軽くて使いやすいうえに、《見捨てられた神々の神殿》から出る無色呪文専用のマナをその支払いに充てられることを覚えておこう。
これらの呪文と《炎呼び、チャンドラ》《秘密の解明者、ジェイス》のプレインズウォーカーで盤面をコントロールしてゆく。そして満を持してウラモグ! このクリーチャーをフィニッシャーで採用するうえで素晴らしいのは、盤面が多少不利でも覆してくれるところ。通常、コントロールデッキのフィニッシャーは盤面を掌握しきったうえで叩き付けないと、相手にそのまま構わず押し切られたりするものだが......パーマネントを2枚抜きして破壊不能の壁となり、場合によっちゃ《コジレックの帰還》の能力を誘発させて小粒を消し去るオマケ付きだ。あと土地を1枚引けばよい、という場面で打ち消しを1枚握りしめてターンを返す時が一番至福の時なんだろうな。
サイドボードで注目は《熱病の幻視》か。パッと見不利そうな「赤緑ランプ」相手にこれを貼ると、使いきれない手札を抱えてジュワーッと焼かれてくれることだろう。というわけで黒田正城エルダーいわく「赤青系の相手には《ニッサの巡礼》で調子乗ったら死んでまうから気ぃつけて!」とのこと。2枚貼ったりするとランプ側が脂汗を流す光景を見られるかもね。
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