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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Junk(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Junk(モダン)
by 岩SHOW
今週は特にテーマにした、というわけでもないが、前スタンダード環境で活躍が目立った3色デッキの退場を受けて、同じ色の組み合わせで活躍した過去のデッキや他のフォーマットのデッキを紹介してきた。僕自身、プロツアーやBIG MAGIC Openなどのイベントで多数の試合を実況してきて、とても思い入れのある『タルキール覇王譚』参入後のスタンード環境。多数のデッキが登場し、名勝負を繰り返し......そして去ってゆく。ここまで1つの時代の終わりを感じるローテーションは、初めてのことかもしれない。『タルキール覇王譚』『運命再編』、ありがとう!僕らは、この素晴らしいセット・時代を忘れることはないだろう。
本日紹介するデッキは、今週の1番バッターだった「アブザン・アグロ」のモダン版。スタンダードで多くの命を文字通り奪ってきた《包囲サイ》が、まだまだ足りんぞとその包囲網をモダンにまで拡げてきた結果......長年マジックを愛するプレイヤーにとっては、なんだか懐かしい"ジャンキー"な雰囲気のデッキとなった。
2 《森》 2 《沼》 1 《平地》 2 《草むした墓》 1 《寺院の庭》 1 《神無き祭殿》 4 《新緑の地下墓地》 3 《吹きさらしの荒野》 3 《湿地の干潟》 1 《黄昏のぬかるみ》 2 《活発な野生林》 2 《幽霊街》 -土地(24)- 4 《タルモゴイフ》 3 《漁る軟泥》 1 《台所の嫌がらせ屋》 3 《包囲サイ》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(13)- |
4 《コジレックの審問》 4 《流刑への道》 4 《思考囲い》 3 《突然の衰微》 1 《盲信的迫害》 3 《未練ある魂》 1 《大渦の脈動》 1 《残忍な切断》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(24)- |
2 《大爆発の魔道士》 2 《ロクソドンの強打者》 2 《外科的摘出》 2 《部族養い》 2 《石のような静寂》 2 《盲信的迫害》 1 《ファイレクシアの非生》 2 《衰滅》 -サイドボード(15)- |
かつて、今で言うモダンにあたるフォーマット・エクステンデッドにて「PT Junk」と呼ばれるデッキが『アポカリプス』の参入と同時に姿を現し、様々なトーナメントで結果を残す活躍を見せていた。《破滅的な行為》《魂売り》《ジェラードの評決》《名誉回復》などなど......黒とその対抗色の組み合わせのカードは非常に強力なものが勢ぞろいで、「PT Junk」のみならず「The Rock(and His Millions)」「マルカ・デス」などなど様々な呼称のデッキが登場した。これらをすべてひっくるめて、黒緑(+白)のデッキを「Junk」と呼ぶことが多かった。ジャンク、即ち寄せ集め。聞こえは悪いが、黒緑白の強いカードを一皿にまとめあげたデッキはパワフルそのもの。手札とパーマネントを薙ぎ払い、強靭なクリーチャーでブン殴るッ! PT(プロツアー)を征する寄せ集め、という意味合いで「PT Junk」というわけ。
この「PT Junk」の現代版が上記のデッキ。『タルキール覇王譚』参入後最初のプロツアーである、プロツアー『運命再編』のTOP8にも複数名を送り出し、成績優秀者リストにも名を連ねた実績を持つデッキである。それまでもこの手のデッキは存在していたが、《包囲サイ》《黄金牙、タシグル》の加入でデッキが引き締まり、モダンの有力デッキの地位を確固たるものとした。
やることは上記の通り単純。優秀な手札破壊&パーマネント破壊で相手の動きを捌いて、サイ率いる優秀なクリーチャーでバンバンバンと殴って勝利を目指す。カード1枚1枚が優秀で、プレイングも難しくない。僕のようなプレイヤーにはありがたいことこの上ないデッキだ!
......しかし世の中、器用貧乏という言葉があるように、このデッキも器用ではあるが、ズドンとホームランを放てる、というタイプではない。勝利するためには、地道にビートダウンしなければならない。コンボパーツ2枚揃えて勝ち、というデッキではないため、対戦相手に無限ライフコンボを決められてしまうとその場で勝利の芽が潰える。ガンガン押されている状況で、「この1枚を引ければ大逆転」というカードも特になく......このデッキを使うのであれば、そういったロマンを捨て去る覚悟が必要なのかもしれない。持てる力で、真っすぐにクリーチャーをレッドゾーンに送り出す(※1)。実直に勝利を目指したい人にはオススメのデッキだ。
(※1:グランプリやプロツアーのフィーチャーマッチのテーブルには、向かい合うプレイヤーの真ん中に赤く塗られたスペース・レッドゾーンが存在した。ここにクリーチャーカードを押し出すことが、そのカードでの攻撃の宣言を意味していたのだ。ネットでの中継では警戒持ちクリーチャーでの攻撃などがわかりにくいため、このようなアイディアが取られたのだろう。現在ではこのゾーンは赤以外の色となっていることが多いが、昔の名残で「トークンを全てレッドゾーンに押し出して......ここで投了」といった実況を耳にすることが今後もあるかと思う。)
来週はいよいよ、『イニストラードを覆う影』参入により激変したスタンダードのデッキを紹介できるので、僕自身も今から楽しみでしょうがない。どうしても現在のスタンダードを伝えることができなかった一週間で心苦しかったが......次回から、新たなカード・デッキの魅力を伝えることができるように全力投球で臨むので、読んでいただければ幸いです!
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