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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マルドゥ・コントロール(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マルドゥ・コントロール(モダン)

by 岩SHOW

 今週は前スタンダード環境に多数存在した3色デッキを振り返ったり、それらと同じ色の組み合わせの過去デッキを紹介したりしている。アブザンジェスカイバント(タルキールとは無関係だが)、と来て......ファンの皆さま、お待たせしました。今日はマルドゥ(赤黒白)デッキを紹介しよう。氏族をまとめるカンであるズルゴが(いろんな意味で)人気が出たり、氏族を代表する神話レア《風番いのロック》がアブザンに出荷されたり、最近では緑を足して「マルドゥ・グリーン」と呼ばれるタイプの方が活躍したり......何かこう、いろいろと絶妙な位置にいるな、というのがマルドゥのイメージ。

 除去に関しては、3大除去カラーが組んでいるだけあって文字通り最強の色である。「環境最高の除去」と度々称された《はじける破滅》を皮切りに、軽さがウリの《焦熱の衝動》《残忍な切断》、全体除去も《光輝の炎》に《対立の終結》に《命運の核心》にと、何でもござれ。

 特に《コラガンの命令》は、除去であるという以前に、様々なカードとシナジーを形成する素晴らしい呪文で、フォーマットの垣根を超えて大活躍。今日はモダンでこの呪文を用いる、マルドゥ所属の戦士たちにはたまらないデッキを紹介しよう。

Sergio Vivas De Los Santos - 「マルドゥ・コントロール」
7º Torneo Modern Empire Games 5位 / モダン (2016年3月13日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《平地
1 《
1 《血の墓所
1 《聖なる鋳造所
1 《神無き祭殿
3 《乾燥台地
2 《血染めのぬかるみ
2 《湿地の干潟
4 《黒割れの崖
1 《溶岩爪の辺境
4 《乱脈な気孔
1 《幽霊街

-土地(23)-

1 《渋面の溶岩使い
4 《闇の腹心
2 《ケラル砦の修道院長
1 《大爆発の魔道士

-クリーチャー(8)-
4 《コジレックの審問
3 《思考囲い
4 《稲妻
4 《流刑への道
3 《稲妻のらせん
1 《終止
4 《未練ある魂
2 《コラガンの命令
3 《ヴェールのリリアナ
1 《復讐のアジャニ

-呪文(29)-
3 《大爆発の魔道士
1 《摩耗 // 損耗
2 《大祖始の遺産
2 《石のような静寂
1 《稲妻のらせん
1 《ラクドスの魔除け
1 《終止
1 《盲信的迫害
1 《機を見た援軍
1 《塵への崩壊
1 《滅び

-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)

 スペインのEmpire Gamesというショップ主催のモダントーナメントでTOP8入りしていた「マルドゥ・コントロール」だ。最近Magic Online上でほぼ同様のリストが複数回結果を残しており、同デッキの基本形とも言えるものである。スタンダードに存在した「マルドゥ・コントロール」と同様に、デッキの構成要素は大まかに手札破壊・クリーチャー除去・アドバンテージ獲得手段・プレインズウォーカーとなっている。

 モダン環境であれば、最強の手札破壊《思考囲い》《コジレックの審問》があるので、相手のデッキがコンボだろうが何だろうが1ターン目からガンガン妨害できる。黒絡みのコントロールを使うのであれば、これらで露払いするのは嗜みであり、これらで手札を攻められるから黒系コントロールが成立している。それだけ重要なパーツである。とりあえず手札を見ておけば、どの除去をそのクリーチャーに使うか、などの組み立てもできるしね。

 そのクリーチャー除去は、さすがモダンとあって豪華なラインナップ。1・2マナでまとめられているので、いわゆる「テンポを稼ぐ」ことも容易だ(※1)。メインデッキで、純粋な除去以外も含めてクリーチャーに触る手段はなんと19枚。デッキの3分の1が相手のクリーチャーの生存を許さないとあっては、生半可なクリーチャーデッキでこのマルドゥを打ち砕くことは不可能とさえ言える。

 《稲妻》《稲妻のらせん》《渋面の溶岩使い》と、除去でありながら対戦相手のライフを削りに行くこともできる火力を採用できるのは赤いデッキの特権。攻めに転じるタイミングであったり、そもそもクリーチャーを展開してこない相手に対して除去を引くと無駄カードになってしまうが、これらの呪文であればバーン戦術に切り替えることが可能だ。その分、これらがメイン除去だと《タルモゴイフ》のような高タフネスのクリーチャーに対処できないという弱点はあるが、そこはマルドゥ。黒と白の確定除去との併用であれば何も問題はない。

(※1:4ターン目、対戦相手が4マナのクリーチャーを展開してきたのに対して、こちらは1マナの呪文で対戦相手のクリーチャーを除去する。こういった、相手のアクションに対してより軽いマナの消費で対応することをテンポアドバンテージ(略してテンポ)を稼ぐと表現する。上記の場合、3マナ分テンポを稼いでいるので、それを活かしてこちらは3マナのクリーチャーを出して展開の差をつけたり、ドロー呪文を唱えてハンドアドバンテージに還元したりして、相手との差を広げていこう。)

 アドバンテージ獲得手段は、このデッキにおいては主にクリーチャーの役目。モダンの黒の看板でもある《闇の腹心》は、毎ターンライフを代償にカード1枚をもたらしてくれる、黒系コントロールなら定番の1枚。ややスーサイドな戦力ではあるが、このデッキでは《稲妻のらせん》《乱脈な気孔》《復讐のアジャニ》とライフ回復手段は多数用意されているので安心。また、追加の《闇の腹心》である《ケラル砦の修道院長》は、得たカードをその場で使わなければアドバンテージは得られないが、ライフの損失もなく、本人も果敢持ちであるため積極的に攻撃に行ける点が素晴らしい。《コラガンの命令》でこれを使いまわせば、もう宇宙まで行ってまうよ!

 プレインズウォーカーは《復讐のアジャニ》と《ヴェールのリリアナ》。除去能力が強力であり、また相手の土地や手札を縛る能力も良い仕事をする。このデッキには大型のフィニッシャーは採用されていないが、これらプレインズウォーカーの加護を受けながら《未練ある魂》《乱脈な気孔》で着実にライフを削っていくのは「コントロールしてるなぁ」と思えて、そういうのが好きな人にはたまらないものとなるだろう。どちらも奥義起動まで行けたら、実質勝ちである。

 先日の禁止改定により、モダンで《弱者の剣》が解禁され、これと《飛行機械の鋳造所》のコンボを搭載したデッキが流行することが予想されるモダン。マルドゥには、アーティファクトを破壊できる《コラガンの命令》に《石のような静寂》《安らかなる眠り》のような対抗手段が多数ある。このリストから《ケラル砦の修道院長》を増量したり、もう少しアグレッシブな調整をしたものを使ってみたいなと思っている。風が吹くかは、マルドゥ戦士の君たちの手にかかっている!

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